モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 4歳半 急に不安定になって荒れています③

続きです。

(ご相談内容と回答①こどものいえ(習い事)について)
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(回答②子どもの言動の分析と対処)
montessorilover.hatenadiary.jp



かんしゃくを起こす一つ手前の状態として、
感情のコントロールが難しくなっている
ことが挙げられます。

どんなときに「感情のコントロールが困難」になりやすいのか、
相談者様が観察・分析した要因が、

>間違えたときや失敗したとき、
>またそれを指摘されたとき。
>自分の方が劣っていると感じたとき。


これがまさに、次の行動③につながるなぁと思ったのです。


③間違えるのが嫌で最初からやらない
/失敗を絶対に認めない
/人のせいにするようになった

 

>例えば「ママ、一緒にお絵描きしよう」
>と息子に誘われて一緒に絵を描くと
>「ママの方が上手。もうヤダ!!!
>お絵描きなんてしない!!!」
>とぎゃーっと怒ってお道具を乱暴に扱ったり、
>私が描いた絵を破ってぐちゃぐちゃにしたり、
>別の部屋に行ってしまったり、といった具合です。


この例一つとってみても
垣間見えるのは、

人と比べて自分はどうか
優れているのか/劣っているのか

という相対的評価によって
自己評価が低くなって
おり、

「私は私のままでいい、大丈夫」

という自分への絶対的信頼感が大きく揺らいでいる心理状態です。


さらに、ここに付随して
表れているのが、次の状態だと考えられます。

④集中力がなくなった
 テレビばかり観たがるようになった


相談者様の分析にもありましたように、
今まで1時間2時間集中できていた子が
急に集中できなくなったのは
何か不安があるからであり、
テレビは現実逃避なのだと思われます。


ですので、今お子さんに必要なのは

「何かができる・できないに関わらず
 そのままで丸ごとオッケー!」

という、自分への基本的信頼感を高めることです。


人と比べている間は
自分の本当の満足感は得られません。
(これは大人も同じですね)


「自分がどうありたいのか
やりたいかやりたくないのか
楽しいのか楽しくないのか」

よりも、

「人にどう評価されるか」

が優先された状態だと、


失敗したらなんか言われる
→だから最初からやらない
もしくは
→失敗したことを認めない
→失敗したら人のせいにする

という、防衛的な行動になるんだと思うのです。


(私もそういう子どもでしたし
 何なら今も、そういうところがありますので
 このお子さんの気持ちは少し分かるつもりでいます)


自分の価値を受け入れて高めるために
おうちでできることは

あなたはそのままでいいんだよ
 何ができてもできなくても、
 私はあなたの存在が丸ごと大好き
 あなたがいてくれて本当にうれしい」

と、まずは外部から、言葉や態度で示して伝え続けること。


プラス、その中で
一緒にサポートしながらも、
自分がやりたいこと、
自分ででできることを
少しずつ増やしていく
こと。


たとえば、お母さんが台所に立っているときに
ちょっとでも「僕もやりたい」というそぶりが見られたら
できそうなところを探して、一緒にやってみる。
(葉物野菜をちぎる、野菜を洗うなどは、小さな子どもでもできます)

という、日常生活の中でできることから、

一緒にテレビを見ているときに
「ここ行ってみたい」というつぶやきが聞こえてきたら
それに近い、行けそうなところを探して家族で行ってみる。

と、春休みだからこそ、できそうなことまで。


子どもが今少しでもやりたいこと、
できそうなことを見逃さずに
楽しい/興味深いと思える実体験
生活の中で大切にしていくことで
やりたい!という好奇心をもう一度取り戻し

できた!という小さな成功体験を積み重ねていくことで
自分にはこれだけのことができる
という自信を取り戻す
ことができます。

そして、
「他人からどう思われるかが大事」
から
「自分がどう思うかが大事」
にシフト
していけるのではないかと思います。

これらのことは、今すぐ劇的に変わるというのは難しいかもしれません。
長い目で気長にサポートすることが必要です。


さらに、
もし失敗してしまっても責めるのではなく、
どうやってリカバーするか
その方法を淡々と示すこと
も大切です。


何度も同じ例で恐縮ですが、
水をこぼしたら雑巾やモップで拭く。
ガラスや瀬戸物を割ったらほうきとちりとりで集め、掃除機をかける。
洋服を汚したら洗濯する。


失敗に敏感な子どもには特に、
リカバーの方法を、具体的にやって見せることで
「失敗してもだいじょうぶだよ
 やり直せばいいんだよ」
とポジティブなメッセージを送り続けることが必要です。


(毎度毎度同じような話ですみません
 でもどんな悩みを考えても、同じところにたどり着くんだよなぁ)



ちなみに、上記以外の
⑤片付けができなくなった
 順番に並ぶ際に割り込むようになった
 汚い言葉を使うようになった

あたりは、発達が進んで
「個」から「集団」の中の自分に移っていくフェーズで
頻繁に見られる言動でもありますので
あまり心配しすぎなくて大丈夫かと思います。



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で、ですね
ここで幼稚園の環境を改めて見直してみると

・整列は早い者勝ち
・給食を食べ終わった人から遊べる

あたりはやっぱりひっかかる(笑)んですが、


私だったら、ですが
今まで書いてきたことと同じ対応を
幼稚園の先生に求めるかというと
それはできないかな~、と思います。


いや、本音を言えば
こうだったらいいのにな~
なことはいろいろとありますよ。


個人的感想としましては、
のびのび系の園というよりは
ほっておいたら弱肉強食というか
早く動ける子(≒だいたい春夏生まれの体格のいい子)
が有利になりがちな子どもの関係を
良くも悪くも、放置気味の園なのかな~
というのが本音です。


モンテッソーリに限らず
子どもひとりひとりが主体で、
ひとりひとりが大事な存在と考えている園だと

(早い者勝ちにこだわる子どもがいることで)
イヤな思いをしている子がいるんだったら
それは見過ごさず、きちんと介入して
気持ちを伝えあいましょう、
話し合ってどうすればいいか考えましょう
と促す姿勢があると思うんですね。

給食一つとっても
「子どもひとりひとり、食べられる量や
 好き嫌いは違うから
 盛り付けの時点で、ひとりひとりに合わせる」
園もあるんです。
(たぶんお子さんの園は、一律の量を食べなければいけないのではないかと)


こういう園ばかりだったらいいんですけど

私が知る少ない例だけ見ても
子どもが抱いている嫌な気持ちを
「集団生活だから」
「集団に合わせるのも大事だから」と
スルーしてしまう園もある/先生もいる
のが現状です。

それは、園の方針だったり
先生個人の性格によるものだったり
先生の力量によったり、理由は様々です。


でも何にせよ
私が保護者の立場だったら
園の方針や先生のやり方に
(思うところはあったとしても)
ケチをつけるようなものの言い方は
極力しないように心がけます。


これは、自分が現場の先生の立場であることも大いに関係しています。

思い描く理想はあっても
100%それを体現できているかというととてもとても、
そこに関してはまだまだ自分の力不足を感じますし、
こうしたいなと思っても、それが実現できない現場事情を
自分が経験しているからというのもあります。


この相談者様のお子さんの通う園の先生方も
大人1~2人で、30人強の子どもたちを見なければいけない中で
一生懸命保育をされていると思う
(一生懸命の方向が違っていても、そうだと信じたい)ので、


保護者としてのスタンスはあくまでも

「実は、家での子どもはこれこれこういう様子なんですが
 園ではどのような姿でしょうか」

という情報の共有と、

「親である私自身が、どうしたらいいか困ってるんですが
 こういう場合、家ではどのようにしたらよろしいでしょうか」

という相談に尽きると思っています。


ただ、ひとつだけ重視したいのは

「こちらが子どものことで本当に困って
 相談を持ちかけたときに
 誠意をもって対応してくれるかどうか

です。

 
これに関しては
相談者様からお返事いただいております。

「話し合っても分かり合えないかもしれない、
 という漠然とした不安。
 正にそうなのだと思います。
 息子の言動が明らかにおかしい、と感じている私に対し
 こどものいえの先生にしても幼稚園の先生にしても
『大した問題じゃないですよ〜』
 という感じだったことに温度差を感じてしまったというか。」


もう、これだけは同業者として
自分への戒めも含めて、はっきり言います。
(以下、かなり過激な意見になるかもしれないことを先にお断りしておきます)


保護者の方が不安な思いをしているときに
さらに不安な思いにさせてしまうのは
保育者のプロとして未熟
なのだと思います。


子どもの育ちに寄り添うということは、
子どもを育てている保護者の気持ちにも寄り添うということです。
そして一緒に、協力して、子どものために尽力するということです。


だから子どもの様子がおかしかったり
子どものことで親御さんが不安を感じていたら
そこにひとつひとつ注力して、
一緒に悩んで、一緒に考える。
この姿勢があるだけでも、
親御さんの心持ちはだいぶ違うと思うのです。


私が腹を立てているのはそこです。
どうも、真剣じゃないような感じを受けてしまうんですよね。
(もちろん、相談者様の文章からのみの情報なので、
 相談者様のお気持ち側に寄ってしまうことも分かるんですが)


たくさんの子どもたちを見てきた先生だからこそ
(特に進級時期の前後は、環境の変化もあいまって)
一時的に不安定になる子どものこともよく知っていると思います。

でも、その知識があればこそ
伝え方によって、親御さんに安心してもらうこともできるのになぁ~
その努力、怠ってないかい?
とどうしても思ってしまうのです。



で、園への不満はさておき
(最初、遠慮してた割には、だいぶダダ漏れちゃったな!w)


もし、相談のスタンスで話し合ってみても
どうも噛み合わない、
どうも真剣じゃない
と残念ながら感じてしまい
親御さんの不安感が拭えないようならば、

そしてお子さんの様子が変わらないのであれば、
(ここが大事)


最終手段としてですが、
私なら別の環境を探し始めます。


おそらく、園の方針や先生の接し方は
今までと大きく変わることは少ないからです。


それだったら、我が子に合う環境を他に探してみよう!
と切り替えてしまうのが、私の考え方です。


無責任に聞こえるかもしれませんが
私にとって無責任なのは
子どもに合わないと感じているのに
その環境にいることを強いることの方です。


世の中には、本当に様々な園があって
本当にいろんな考え方の先生がいて
それぞれ方針も環境も違う
(ほんとに、180°違うこともザラです)

ということを、
働く中で身をもって知っているからこそ
できる考え方なのかもしれませんし
私自身が転勤族の親に連れられて、
いろんな教育環境を体験できたこともあるかもしれません。


だから、園や先生のやり方にはケチはつけません。
そのかわり、なんか違うな
これ以上分かり合えないな
と思ったら、自分が動きます。


なんかどうしても、
日本特有なのかな、それは分かりませんが
1つのところに長くいるのがいい
休まず毎日行くのがえらい
という、あっぱれ忍耐!的な価値観に
なぜかとらわれがちなんですけど


人は、自分のいる環境を選べる自由があります。
そのかわり、選んだ結果を受け止める責任もありますが。


合わない環境からは一時的に避難してもいいし
ある程度努力してみて
それでもどうしても合わなかったら
環境そのものを変えてもいいのです。


ここしか居場所がない!
と自分で自分を追い込まなくていいのです。


いちばん優先されるべきは
「そこにいる自分(子ども)が幸せか」

ということだと思います。



とはいえ、転園というのは、
心がまえもありますし
現実には手続きもあり
そもそも簡単に転園できる状況ではないかもしれませんので


まずは、この春休み期間を利用して
お子さん自身の意見をゆっくり聞いてみてはいかがでしょうか。


特に、こどものいえに関しては
春休み中も通うということであればなおさら、

何を感じているのか、何が嫌なのか、
どうしたいのか/したくないのか
聞き出せるのではないかと思います。


4歳半という年齢は
大人の方が、目線を同じにして
ゆったり穏やかな、安心できる時間と空間を設ければ
自分の思っていることを、
少しずつでも、つたなくても
充分に表現できる時期だと思います。


時折、変なことを言うことはあっても
大人がその言葉に隠れた意味を感じ取り
「それってこういうことかな?」
とひとつずつ確認していけば

お子さんの本音が
少しずつ引き出されるのではないでしょうか。


「どうして、こどものいえに行きたくないんだろうねぇ
 一緒に考えてみようか」
「おしごとは、楽しい?」
「お友達がイヤ?先生がイヤ?」

など、何でもいいので
子どもが態度に表している負の感情表現を
なかったことにしないで
ちゃんと受け止めてあげる
だけで
まずはいいと思います。


その上で、子どもがどのように過ごしているか
見学も兼ねて
こどものいえの先生に相談してみてください。



何となくの勝手な予想ですが
こどものいえのことが解決したら
問題行動の大半は消えてなくなるかもしれない、
となぜか感じました。
(転園まで持ち出しといて、結局そこかい!って感じですねすみません)


以前、そういう子どもがいたのを思い出したからです。


その子は習い事のく○んがイヤだったのですが
それがなぜか、幼稚園としてのこどものいえの登園拒否という
「え、私たちに直接は関係ないのか!」
てところに現れました。
(あんなに悩んだのに…w)

しかもそれが現れるのは
お母さんとの別れ際だけ。

大騒ぎしてひと悶着あって(笑)
やっと室内に入ると
何事もなかったかのように楽しく過ごしていたのでした。
だから何がイヤだったのか不思議で不思議で…

でも今思うと
「やりたくない習い事を強要する(ように感じていた)
 お母さまへの反抗」
だったのかな~と。
(それはお母様ご本人ともお話しました)



モンテッソーリ教育の特徴のひとつに
「子どもが生まれ持っている『育つ力』を邪魔しない」
という考え方があります。


何かをしてあげる、用意してあげるという以前の
環境の中に、子どもの育ちを邪魔するものがあったら
それを取り除くという「引き算」の考え方です。


今、ご相談者様のお子さんには
この引き算の発想で
お子さん自身がイヤがるこどものいえをどうするか
を考える時期にあるのではないかな、と思います。

取り除くものがモンテッソーリの教室であるというのが
いちモンテッソーリ教師としては何とも残念なのですけど。苦笑


それで様子を見てみて、
それでも問題行動が止まらない、
幼稚園もいやがっている
となったら
そのときにまた、ご相談ください。


とっても長くなってしまい
なんとも読みずらいですが
何か一つでも、ご相談者様の助けになることがあればいいなと思います。