Q. 兄弟げんかの対策 ②ケンカしにくい環境づくり
前回からの続きです。
montessorilover.hatenadiary.jp
今回は、物の環境について。
兄弟げんかが起こりにくくなるような、おうちの環境を考えてみます。
(う~ん、なかなかの難題…苦笑
なので、思いつくままに書いてみますね)
パッと思いついたのは、以下の3つの手段です。
①スペースを分ける
②道具を分ける
③興味の対象の違いを利用
ひとつずつ、解説していきます。
①スペースを分ける
上の子のスペース、下の子のスペースをそれぞれ確保する、という考え方です。
・机をそれぞれに用意する
・小さなマットを1枚ずつ用意し、それぞれがそのマットの上で遊ぶ
・ひとりが机、ひとりがマット
と、何でもいいんですけど、とにかく一人ずつの専用のスペースを決めて
お互いに距離を置くという方法です。
モンテッソーリのお部屋は、
子ども用の一人机や、活動用のマットが必ずあり
子どもそれぞれのパーソナルスペースを確保するのに一役買っています。
特に3歳以下の子どもの部屋は、「個」が主体で
一緒に活動するのはまだ難しい時期なので
ひとり完結型の活動ができる環境です。
(3-6歳のお部屋になると、小グループでも活動するようになるので
2-4人掛けのテーブルや、大きなマットも用意されています。)
モンテッソーリ園のように、
子どもの発達に合わせて
0~1歳4ヶ月/1歳4ヶ月~3歳/3~6歳の部屋を分ける
というのは、おうちでは難しいと思いますが、
机やミニテーブル、マットの力を借りて
パーソナルスペースを確保するという一つの方法は
おうちでもできることかなと。
(ちなみに国際コースの先生がものすごくお気に召していたのは
ニトリの50×80のフロアマットでしたw)
でも、こう書きながらも、
「下の子は、上の子の真似がしたいんだろうなぁ
同じことがやりたいんだろうなぁ
だから、ケンカするのに、それでも近づきたがるんだよなぁ」
とも感じるので、
近づいて遊びたい場合はやや弱い手法かもしれません。
う~ん難しい
ということで、次の方法です。
(諦めが早い)
②道具を分ける
上の子専用、下の子専用の道具を用意するという方法です。
これは特に、お絵かきや工作、粘土などの創作活動に有効です。
クレヨン、はさみ、のり、水性ペンなどを
それぞれ専用のお道具箱に入れて置きます。
名前が読めない場合は、それぞれの印を決めて
道具につけるという手もあります。
(星、ハートなどのシールを貼るなど)
…ただ、これもですね、
レゴブロックやプラレール、トミカ、カプラなど
量や種類のある同じおもちゃを使って一緒に遊びたい場合は
あまり有効でないな~と。むーん
ご質問の文章からは、
どのような遊びで取り合いになるかはわからなかったのですが
上のお子さんが男の子ですし、
おそらく上記のような遊びが好きなのではないかと…
そして取り合いになるのではないかと。
もしくはお兄ちゃんが作ったものをとろうとするか。
(なんで推測なのにこんなに描写が具体的なのかというと、
今まさにうちの園で起きていることだからですw
毎日2歳の子たちに「お兄ちゃんが作ったものはとらないんだよ~」「お友達が使ってるから待っててね~」の繰り返し)
ということで次の方法も試してみましょう。
③興味の対象の違いを利用
おそらくこれが、今回思いつく中でいちばん有効なのではないかと思っております。
(園では有効であることが多いです)
下のお子さんが2歳台ということで、
この時期、いちばん魅力的な活動
「日常生活の活動」に誘ってみることをオススメします。
日常生活の活動とは、
テーブルを拭く、窓ふき、洗濯物を干すなどの
いわゆる大人にとっての「家事」です。
大人にとっては、家事が好きな人は別として
家事≒ノルマ的な意味合いが大きい(省略できるところはしたい)ものですが
2〜3歳の子どもにとっては、何とも魅力的な活動です。
園では(何度も書いている話で恐縮ですが)
この時期の子どもたちがやりたがる、
お洗濯や洗濯物を干す作業、窓ふき、フロアワイパーで床を拭くなどの家事的な活動ができるように
子どもサイズの道具が、子どもの手が届くところに置いてあります。
これらの活動は、子どもたちがものの取り合いなどで険悪なムードになってきたときにも有効です。
(大人の手は要りますが)
「一緒にお洗濯物干そう」
「私はほうきではくから、○○くんはフロアワイパーで拭いてくれる?」
などど声をかけると
それまで取り合っていたおもちゃをほっぽり出して、我先にと集まってきます。
おもちゃで遊ぶことと同じくらい
時にはそれ以上に
大人のしている活動は魅力的なのです。
逆に、もうすぐ5歳の上のお子さんにとっては
自分で考えておもちゃで遊ぶ方が、もう魅力的かもしれません。
今までに家事的な活動をしていて
それが楽しい!という経験をしていればまた別ですが
4〜5歳を過ぎた頃からは、
大人が何も誘わなければ
今までの体験に基づいて、
自分が楽しい、面白いと思った活動を
自分で意識的に選ぶようになってきます。
今回のケースでは、
この興味の対象が違うことを利用して
そもそもケンカしない環境を作れるのではないか
と思っています。
妹さん専用のエプロンや掃除道具、
お盆や台所用品などを用意して
妹さんを家事に巻き込むことで
その間、お兄ちゃんは自分の活動に没頭できます。←こちらも大切なこと
少し大人の手が必要なテクニックではありますが
やってみる価値はあると思います。
そうやって、下のお子さんが楽しそうに家事をしている姿を見て
上のお子さんも「僕もやりたい」と言ってくる可能性も高いです。
そうしたら、上のお子さんにも
エプロンを用意して
家事を分担してみることをオススメします。
「自分のことを自分でする」段階から
「人のために活動する」段階に
導くことができるかもしれません。
それはそれで、嬉しい成長です。
大人は家事、子どもは遊び
という役割分担は
大人の固定概念かもしれません。
2〜3歳の子どもにとっては、
家事も、おもちゃでの遊びも
同じように楽しいものです。
これらの発達段階を利用して
ケンカしない環境を考えてみることで
大人も、子どものケンカに振り回される回数が減り大人の方もラクになる可能性が高いです。
思いつくままに書いてみましたが
まずはひとつでも試してみて頂いて
また結果をお伝え下さい(^^)
フィードバック(経過報告)があると
私もまた、学びになります♡
というわけで次回は
トイレラーニングの経過報告を頂きましたので
そちらを紹介させて頂きます。
(お忙しい中、丁寧にご報告下さり、本当にありがとうございます)