モンテッソーリ教師が里親になって気づいた、たった1つの大切なこと ~愛着関係の築き直し~

愛着関係さえしっかり作れていれば、それ以外のことはどうにかなる。モンテッソーリ教師でもある筆者の気づきに至った経緯やそこから派生する学びを綴っていきます。

里子が里親に引き取られたときに上手くいかないことがあるのはなぜ?里子特有の生い立ちと体験

里子が里親に引き取られたときにうまくいかないことがあるのは、
多くの複雑な要因が関係しているためです。
以下に主な理由をいくつか挙げます。

1. 過去のトラウマや不安定な経験
里子が過去に虐待やネグレクト、頻繁な転居などの不安定な生活を経験している場合、
新しい環境に適応するのが難しくなることがあります。
これらの経験は子どもに深い情緒的な傷を残し、
新しい里親との信頼関係を築くのを難しくしてしまいます。

2. 愛着障害
過去の経験によって、里子が愛着障害を持っていることがあります。
愛着障害は子どもが他者との健全な絆を形成するのを難しくし、
情緒的な安定性を損なうことがあります。
これにより、里親との関係がうまくいかないことがあります。

3. 適応ストレス
新しい環境、新しいルール、新しい家族に適応することは
子どもにとって非常にストレスフルな状況です。
この適応ストレスが過剰になると、行動問題や情緒的な不安定さが現れることがあります。

4. 里親の準備不足
里親が子どもの背景やニーズに十分に理解や準備ができていない場合、
適切な対応ができず、問題が生じることがあります。
里親が養育に関するトレーニングを受けていない場合、特に難しい状況に直面することがあります。

5. コミュニケーションのギャップ
里親と里子の間でコミュニケーションがうまくいかない場合、誤解や摩擦が生じやすくなります。
これにより、信頼関係が築けず、関係がうまくいかないことがあります。

6. 既存の家族構成
里親家庭に既に他の実子がいる場合、里子との間で嫉妬や対立が生じることがあります。
これが新しい家族関係の構築を難しくすることがあります。

7. 専門的サポートの不足
里親と里子が専門的なカウンセリングや支援を受けられない場合、
問題が解決されずに深刻化することがあります。
専門的なサポートは、里親と里子の双方にとって非常に重要です。

8. 期待の違い
里親が里子に対して過度な期待を抱いていたり、
現実と異なる期待を持っていたりする場合、
失望やフラストレーションが生じることがあります。
これにより、関係がうまくいかないことがあります。

まとめ
里子が里親に引き取られたときにうまくいかない原因は多岐にわたります。
これらの問題を軽減するためには、里親が子どもの背景やニーズを理解し、
適切なトレーニングやサポートを受けることが重要です。
また、専門家の支援を受けながら、
子どもの情緒的なニーズに対応し、信頼関係を築く努力を続けることが必要です。


我が家の場合、当てはまるのは主に3の適応ストレスと、8の期待の違いでした。
(今振り返れば、です。その当時はこんな分析をする余裕は全くありませんでした)

家族に子どもが増えるということは、双方にとって大きな変化です。
子どもの方はその大きな変化に耐えられず、常に抱っこを求め、
かなわないときは1時間近くのかんしゃく泣きという形で
適応したい、でもしきれない気持ちを表現していたのだと思います。

そして大人側の私たちは、
その気持ちに応えたくても物理的にも心理的にも全部には応えられず、
お互い苦しんでいたのだと思います。

そして私の場合、モンテッソーリ教師であり保育士であるという自負が
逆に子どもを追い詰めていました。
今思うと、私は目の前の子どもを見ずに、
今まで見てきた子どもたちの姿を思い出しては
「おかしい…この年齢だったらもっといろんなことができるはずなのに」
という自分の中の期待値だけどんどん上げて、
当の里子本人にプレッシャーを与えていました。
この子が今までどういう経験をしてきて、どういうことを経験してきていないか。
そこがすっぽり抜けて、モンテッソーリ理論で教わった発達段階と年齢だけを当てはめて
現実にはそこに追いついていない子どもを叱責したり、子どもに勝手にガッカリしたり。
それでは安定した愛着関係が築けないのは当たり前です。

愛着関係を築きたい→子どもの行動に耐え切れず里親側がイライラする→愛着関係が上手く築けない

この負のスパイラルに気づいたのはだいぶあとになってからでした。(続く)