モンテッソーリ教師が里親になって気づいた、たった1つの大切なこと ~愛着関係の築き直し~

愛着関係さえしっかり作れていれば、それ以外のことはどうにかなる。モンテッソーリ教師でもある筆者の気づきに至った経緯やそこから派生する学びを綴っていきます。

その問題行動はどこが問題?レッテル貼りを避けて行動を「特定する」練習

ここから先の学びは、こちらのテキスト本をベースに進んでいきます。


この本では、子どもに肯定的な注目を与えることで愛着関係を形成しつつ
社会に適応する為に必要なルールを伝えていくための方法が系統立てて紹介されています。
それぞれがとても興味深く深い学びなので、ゆっくりひとつずつ、伝えていきたいと思います。


まず初めの学びは、子どもの問題行動を特定するということについて。


私たち大人は、あいまいな言い回しをして子どもにレッテルを貼ることがあります。
「ちゃんとできない」(何をどうするのが「ちゃんと」?)
「言うことを聞かない」(それは具体的にどんな場面で、どのような言い方をした時?)
「問題児だ」(具体的にどのような場面で何が問題?)

レッテル貼りは、子どもの人格を否定してしまいます。
私たち大人は、子どもの「行動」が問題であるかどうかに目を向ける必要があります

さて、私という大人は、子どもの問題行動をちゃんと把握できているのでしょうか。
という前提のもとに、問題行動をより具体的にとらえていきたいと思います。
ここでモンテッソーリの「客観的観察」が役に立ってきます。


問題行動が明瞭かあいまいかを判断するためには、
その行動を詳細に観察し、具体的に記録すること必要です。
以下の方法を用いて、問題行動が明瞭であるかを見極め、必要に応じて改善することができます。

1. 具体的に行動を記録する

問題行動を見たままに、具体的に記述することに努めます。
行動が具体的に書かれており、絵が浮かぶものであれば、それが明瞭な行動です。
逆に、行動が抽象的であったり曖昧であれば、それはあいまいな行動です。

明瞭な行動の例:
「子どもが机を叩く」
「子どもが他の子どもを押す」
「子どもが授業中に大声で叫ぶ」

あいまいな行動の例:
「子どもが悪い態度を取る」
「子どもがいつも落ち着かない」
「子どもが問題を起こす」

2. 観察可能かどうか

行動が観察できるものかどうかを確認します。
明瞭な行動は、誰が見ても同じように認識できるものです。
一方、あいまいな行動は観察者によって解釈が異なる可能性があり、
浮かび上がって来る子どもの姿も大人によって異なることになります。

3. 頻度と持続時間の記録

問題行動の頻度(どのくらいの頻度で発生するか)や
持続時間(どのくらいの時間続くか)を記録することも、
行動を明瞭に理解するために役立ちます。
明瞭な行動は、具体的な数値で記述することができます。

:
「子どもが1時間に5回机を叩く」
「子どもが授業中に3分ごとに話し、10分続ける」
「子どもがかんしゃくを起こし、30分泣き叫び続ける」

4. 行動の前後を記録

問題行動が起こる前の状況や後の結果を記述することで、
行動の文脈を理解しやすくなります。
これにより、行動が明瞭に把握できます。

:
「子どもが新しい課題を与えられた後、机を叩く」
「友達におもちゃを取られた後、子どもが他の子どもを押す」
「抱っこされないと分かったとき、子どもが30分以上泣き叫ぶ」

5. 具体的な例の収集

具体的な事例を収集することで、問題行動のパターンを明確にすることができます。
複数の例を集めると、共通の特徴やトリガーが見えてきます。

まとめ

問題行動が明瞭かあいまいかを判断するためには、
私たち大人が子どもの行動の観察者・記録者になって行動を具体的に記述し、
その行動が常に観察できるものであるか、
頻度、持続時間、行動の前後などの要素を考慮することが重要です。
これにより、行動をより正確に理解し、適切な対策を立てることができます。


この前提を基に、次の学びへ進みます。