モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 子どもが集中する活動を見つけるには ①観察のしかたで違う子どもの姿が見えてくる

【2歳3か月 男の子 お仕事(活動)に集中しません】

うちの子は集中力がないのかなと感じています。

何をするにも
「ママ、いっしょしよう」
と誘ってきて
すぐに「ママやって」と投げてきます。

好きなのは木製の車のおもちゃですが、
並べたあとは「ママ~」とお呼びがかかります。

保育園から帰ってきて甘えたいのかな
とも思うのですが、
なかなか手を割けず、
早く寝かしつけたいと焦って
あまり相手をしてあげられていません。

30分くらい一緒に遊ぶと
その後のスケジュールがおしてしまい、
息子が寝る時間が遅くなってしまいます。

(しかも、私が積み木をつんでいると、
 かたっぱしから壊してきて楽しくありません。泣)


おもちゃではなく本物がいいと聞いたので、
料理はどうかと、しめじとキャベツをちぎってもらいました。
エプロンつける!と張り切っていた割に、
おもしろく感じなかったのか
翌日もやる?と誘うと「しない」と言ってやらず。

(私としては助かりましたし、楽しく感じました。
 苦手なしめじもキャベツも食べてくれて、
 台所育児いいかも!と)

こちらが料理をしていると
「ママ!いっしょ遊ぼう」と誘ってきて、
家事がはかどりません。。


子どもの手に合う道具、ということで、
小さなフローリングワイパーも
目に付くところに置いてあります。

私が大人用のワイパーですると、
本人も少しするのですが、
その後はなぜか私に
「ここも、こっちも」と指示する係になり・・・
(私がそう言いながら教えたからか)

生活道具の使い方を黙って見せて教えようとしても、
ちっとも見ずに「〇〇ちゃんもする!」とすぐやりたがり、
少しできないと「ママして!」と言ってきます。
私もそこで「〇〇ちゃんやってみて」と返すので
お互いにだんだん険悪な感じになってしまいます。。

息子は省エネタイプで、
飽き性なのではないかと思ってしまいます。
(動きたい時期にそれはないとも思いつつ)


私の提供するものが、
ピントがずれている感があるのですが、
どんぴしゃではまるお仕事や生活訓練が見つからず、
集中現象も見たことがありません。

いま、私がさせようとしていることが、
ただ息子のやりたいことから
乖離しているだけなのでしょうか。
観察の仕方がいまいち分かりません。


私自身、根気も集中力もなく、
手先も不器用な方なので、
息子には、やり遂げる癖と器用な手を
手に入れてほしいと思うのですが、
いかんせん、親の私がこれなので
どう導けばいいのかが
いまいち理解できていない気がします。

とりとめのない内容になってしまいましたが、
どうか、迷える子羊に
ヒントをお願いいたします。


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「子どもが集中しない」
という質問者様のお悩み、モヤモヤは

「家事の間は、ひとりで集中して遊んでくれたらラクなのに」
という親御さんの立場からのご希望と

「将来、1つのことをやり遂げる子どもに育ってほしい」
という、お子さんを思うが故のご要望との
2つから来ていると、ご質問を拝読して感じました。


子どもが、何に興味を持ち、
どんなことに集中するのか。


その答えは、いつも子どもの中にある。


というのが、モンテッソーリを含む、
こどものための教育の基本的な考え方です。


私たち大人ができるのは、
子どもを観察して
子どもに合う環境を整えること。


と、さらっと書いてはみたものの
実は「観察」だけでも
意外と難しいです。


ど〜〜〜〜〜しても
「主観」が入ってしまうから。


子どものありのままの姿を知るには、
子どもを「客観的に」観察することが
まず必要になってきます。


というわけで今回は
観察のしかたについてお答えします。

(大人の接し方を含む「環境の整え方」については
 次の記事でお答えさせて頂きます)



【観察について】


例えば、子どもが泣いたときに、
私たち大人は様々な原因を想像し、
思いを巡らせます。


・眠いのかな?
・お腹空いた?でもご飯からそんなに時間たってないし…
・機嫌が悪いのかな
・オムツ濡れてる?
・どこか痛いのかな。ぶつけた?
・周りの人に言われた/されたことがイヤだったのかな

などと、泣いている原因を探します。


もしくは、

・今この状況で泣かれるととっても困る!!!

と、泣いている原因を探す余裕もなく
泣き止ませること、泣かせないことに
必死になる場合も多々あります。


そして実際に抱っこしたり、オムツを換えたり、何か食べさせたり、接し方を変えてみたり、
いろいろいろいろ思考錯誤して、
泣き止んだら一息つく、

ということを、
子どもの周りにいる大人は
日々の生活の中で
時に無意識のうちに
繰り返し行っています。


この一連の流れの中で、
大人が思いを巡らし、
考えたり感じたりする部分は全て
「主観」です。


子どもが泣いたこと
その前後に起こったこと
子どもが泣き止んだこと

だけが「客観的事実」です。


子どもを客観的に見る
というのは、
見えている「事実」「事象」だけを集めること。

その集めた事実のデータから、
行動の原因と結果、
その子の傾向などを考察する
というのが客観的観察のしかたです。


国際コースで教わった観察のしかたでは

・客観的事実と自分の主観を分けてメモすること
・見るポイント(身体全体の動き、手や指の動き、言葉、表情、食事、睡眠など)

がレクチャーされ
250時間の観察時間の中で、客観的観察をトレーニングします。


もちろん、普段の生活で
このような客観的観察を
ずっとしているわけにはいきません。

親子の関係に限らず、人は皆、
それぞれの主観、価値観を持ち
しなければならないこと
したいこと/したくないこと
してほしいこと/してほしくないこと
を持ち寄って共同生活しています。


ただ、
「この子は何に集中するんだろう」
ということを探すときだけは
自分の思いや主観をいったん脇に置いて
その子を客観的に見る必要があります。


自分が子どもに呼ばれて、
子どもと関わっている間も
もしくは、家事や自分のことをしながらでも

少し引いた目で、自分の思いを置いておいて
客観的に子どもを見ようとするだけで
少し違う事柄が見えてきます。



質問者様のご質問の中から抜粋させていただくと

・お母さんから調理活動に誘われた
・「エプロンつける!」(と着けた)
・キャベツとしめじをちぎった
・調理したキャベツとしめじを食べた
(その前まではあまり食べなかった)
・次の日も調理に誘われた
・「しない」と返した

あたりが、子どもの客観的事実です。


その間の

・はりきってエプロンを着けた(ように見えた)
・私的には助かったし、楽しかった
・苦手な食材も食べてくれて、台所育児いいかも!
・(次の日誘っても断られ)面白くなかったのか

というのは、すべて質問者様の主観になります。


上記の客観的データから、
環境を整える=別の活動を探すフェーズにうつるのですが
このデータだけだと少し足りないかもしれません。


・キャベツとしめじをちぎる手の動き、
 その時の表情、
 活動を続けた時間
・次の日に誘ったときの表情、
 その前に子どもがしていたこと


などの客観的事実がさらに必要になってきます。


それらの客観的データから

・昨日の活動にはもう満足したのかも
→活動内容を変えて誘う

・誘ったときにしていたことが楽しかったから
「しない」と言われたのかも
→タイミングを変えて誘う

・誘った内容が魅力的ではなかったのかも
→活動内容を変える

・「する?」と聞いたから「しない」と返したのかも
(イヤイヤ期あるある)
→「キャベツとしめじ、どっちをちぎる?」と誘い文句を変える



などと考察し、試行錯誤を繰り返す
というのを、私たちモンテッソーリ教師は
毎日繰り返しています。


言い方は大げさかもしれませんが

100試行錯誤して、
1つでも夢中になるものが見つかればラッキー!
10の試行錯誤で見つかったらもっとラッキー!!

くらいの気持ちでいます。



様々なことに興味がある
(その分、移り気も激しい)
タイプのお子さんもいれば、 

1つのことばかり繰り返す
(その分、他のことに興味は移りにくい)
タイプのお子さんもいます。


でもどちらのタイプにせよ
「その子が何に集中するかは
 その子の中に答えがある」
という基本的な考え方は変わりません。


そして、一度ハマった活動をどのくらい繰り返すのか
その活動にどのくらい深く集中するのか
ということも、その子の中にしか答えがありません。


それを見つけるには
「これをしてほしい」「ハマってほしい」
という大人側の思いも含めた主観を
いったん脇に置いておく客観的観察が
やっぱり大切なのです。



ここまでのまとめ:

子どもが集中できる活動を見つけるには
まず客観的観察が必要。
そのためには大人の
「集中してほしい」という思いも含め
主観を一度、横に置くこと。



で、これだけだと(充分長いのに)
質問者様のご質問のお答えの一部にしかならないので
次の記事で、大人の接し方を含めた環境の整え方について書きます。
(できれば今年中に…いやまたぐかな…)


その前に取り急ぎ!

大人が子どもの遊びや活動につきあえない、時間をさけないということに
罪悪感を持ち過ぎないでください。

お子さんから呼ばれたら
「お母さん今ご飯作ってるから行けないんだ〜」
とサラリと流して大丈夫です!

お子さんが、自分のしたいことがあるように
親御さんも今自分のしたいことがある
ということを日々の生活から学んでいくのも、
お子さんにとって必要なことです。

親御さんが「今はできない」と言ったときに
どのような反応をするかということも含めて
少し引いた目で観察してみて下さい。


なるべく早く次の記事書きます〜(答えの半分もかけてなくて私がもどかしいので)