とある研修で、里子という存在は、
「もともと生えていた場所から別の場所へ植え替えられた木のようなものである」
と聞き、腑に落ちました。
その状態を、以下のように表現します。(私なりの解釈です)
根の状態
過去の経験:里子の根は、心の土台を象徴します。
根がしっかりと深く地中に張っていれば、木は強く健康に育つことができます。
けれども、植え替え(施設から里親への移動)という体験により根は一度引きちぎられ、
さらに不安定な環境(里親側の委託不調など)は根にダメージを与えます。
木が十分に栄養を吸収できず、成長に問題を引き起こすことがあります。
幹の状態
情緒的な安定性:幹は里子の情緒的な安定性と強さを表します。
健康でまっすぐな幹は、子どもが情緒的に安定し、強い自己肯定感を持っていることを示します。
けれども、根がぐらついている状態では幹もまっすぐ育ちにくいと言えます。
根が伸びて土台が安定するまで、幹を支える支柱や添え木が必要かもしれません。
枝と葉の状態
対人関係と適応力:枝と葉は、里子の対人関係や新しい環境への適応力を表します。
枝が広がり、葉が茂っている状態は、
子どもが新しい環境にうまく適応し、良好な対人関係を築いていることを示します。
これもまた、木がしっかり根付いてから枝葉が伸びていくという順番なので、
まずは根が土壌にしっかりと伸びて土台を作るということが何よりも重要です。
ここまでは木の状態、つまり里子の置かれた状況です。
以下はそれを取り巻く環境、つまり里親側の説明になります。
土壌と環境(太陽の光、ちょうどいい気候、酸素など)
里親の支援と環境:木が育つ土壌と周囲の環境は、里親の支援や家庭環境を象徴します。
肥沃な土壌と安定した環境は、子どもが健全に成長するための支えとなります。
里親が愛情深く、一貫した対応をし、安定した環境を提供することで、里子の成長を助けます。
水と養分
情緒的・心理的サポート:水と養分は、里子が必要とする情緒的および心理的なサポートを表します。
適切なカウンセリングや専門家の支援、里親の愛情と理解が、木に必要な水と養分となり、子どもが健康に成長するのを助けます。
まとめ
里子を木に例えると、過去の経験や環境(根)が情緒的な安定性(幹)や対人関係(枝と葉)に影響を与えます。
里親の支援や環境(土壌と周囲の環境)、情緒的なサポート(水と養分)が、里子の健全な成長を促すために非常に重要です。
これらの要素がうまく調和することで、里子は強く健康な木として成長することができます。
そしてこれらのことは、里親家庭だけではできない(難しい)ことでもあります。
植え替えられた木が根をしっかり伸ばし、大地に張るまで、
そしてその間、土壌の性質が大きく変わらないように、
上にも書きましたが、木が倒れないように支える添え木や支柱のような存在が必要かもしれません。
それが、児童相談所だったり、元いた乳児院や児童養護施設だったり、
里親専門支援員、里親相談員、
同じ立場の先輩里親さんなどの第三者であるのではないかと思います。
委託当時、コロナ化ということもあり、
なかなかこの第三者からのサポートを受けるのが難しい状態でした。
それに加えて、私の頼り下手な性格が災いして
私たち里親子はどんどん孤立していきました。
今振り返ると思うのです。
もっと第三者の手を頼ればよかったと。
でも本当に困っている当時は、その手を差し伸べることすら難しいことでした。
だから木も土壌もグラグラでした。
その間、里親である私たちは、里子のかんしゃく泣きに振り回され
生活の基盤すら危うくなりました。
食べたい物だけ食べさせる。その方が衝突が起こらないから。
動画も好きなだけ見せる。その方が里親側の私が楽だから。
歯磨きは1日1回。その方がお互い平和だから。
客観的に見たら、どうしてそうなっちゃうの
一刻も早くやめさせなさいという話ですが
それほど、子どものかんしゃく泣きは恐ろしいことでした。
けれども、かんしゃくが怒らないように行動した結果、子どもが学んだのは
「泣いたり大暴れしたりすれば大人は言うことを聞く」
という事実のみでした。
以前のブログで、比較的落ち着いてきていると書きましたが
それはかんしゃくを起こす頻度が減ったというだけの話で
残念ながらこれらの生活習慣はまだ続いています。
そしてこの生活が続くことは、里子にとっても私たちにとってもいいことではない、とずっと思っています。
これらの問題点を少しずつ解決していきたい。
そう願っていた時に、今の私たちにちょうどいい
里親支援プログラムを受けられる段取りがつきました。
今後、そのプログラムで何を学び
子どもがどのように変わっていったかをお話します。