モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 2歳半 共感しても、よけい反発します

「おうちの環境/絵本について」
「時間の伝え方」
についてご質問いただいているのですが
(お返事遅くなっていてごめんなさい)

こちらの質問の方が
緊急度が高そうだったので先にお答えさせて頂きます。



【ご質問 2歳半 男の子】

息子への共感のしかたに悩んでしまいます。

最近は自己主張がハッキリし、
成長って凄いなぁと感心しつつも、
今までのような「〜したいんだよね」の共感では通じなく、
むしろ共感なんかいいから俺のやりたいようにさせろ!
と言わんばかりの「いいの!」となってしまいます。

例えば、
保育園で車で行く時に「行きたくない!」
私「○○は保育園行きたくないんだよね〜」
息子「いいの!」
私「ママと離れるの寂しいんだよね〜」
息子「いいの!」
私「……:( #´°ω°` ):イラッ」
息子「いいの!いいの!」
私、無言で保育園へ送る……。

息子もまだ言葉がペラペラと話せる訳ではないので、
自分の気持ちを言葉に出せなくてイラだたしいのは重々承知ですが、
私も魔法使いではないので正直参ってます。

なので最近は共感より、
息子「保育園行きたくない!」
私「じゃあ家で1人になるからね、誰も遊んでくれないよー」
息子「いいのー!涙」
と脅して動かす感じになり、とても自己嫌悪で、
こんな母親で息子が可哀想だなと思います……

一応モンテッソーリを基盤にしたスクールの講座など通ったりしますが、
こちらでももしご意見を聞けたらなと思いメールさせて頂きました。


【回答】

子どもが成長するにつれて
今までの関わり方が通用しなくなってきた
というのは、
大人も変わる必要が出てきたというサインです。


このお子さんの場合は
イヤイヤ期のピークを迎えて
親御さんも大変な思いをしている最中です。


イヤイヤ期のことを、モンテッソーリ教育では
「自己肯定の危機」と呼んでおり
人間の発達の中で、自立に向かう大切な節目です。


自分という存在が、周りの人とは違う別の存在だということに気づき
それを確かめるように
言われたことすべてに「イヤ!(この子の場合は「いいの!」)」
と返す時期
です。


なので、この時期の子どもにとって、
「イヤ!(いいの!)」は自分の存在を再確認する手段であって
本当に嫌な場合もあるけど、それほど嫌でない場合もある
(ただ言いたいだけのときもある)

ということを、頭の片隅に置いておくと
大人が少し楽です。


何が言いたいかと言うと、
「言葉通りの意味じゃないときもあるから
 子どもの言うこと全部に共感しなくてもよい。
 共感しつつ、少し受け流しても大丈夫
ということです。笑


言葉尻通りの意味でまっすぐ捉えすぎると
大人が疲れますよね。
私も疲れます。笑


保育園の例でしたら

「そうか~、行きたくないのか~」
と一度受け入れた後に「いいの!」と突っぱねられたら
あとは「そうなんだね」くらいに受け流し、
そのかたわら粛々と出かける準備を進めて大丈夫です。


「いいの!(怒)」の状態のときに
いろいろ声をかけると
火に油状態になることも少なくないので
共感も含めて声かけそのものを減らす
というのは一つ、改善に向かう方法かもしれません。



そしてさしでがましくてごめんなさい、
もうひとつ、どうしても引っかかるのは
「~なんだよね」
という語尾です。


共感は確かに大事です。


でも、「~なんだよね」
と言う言い回しは、
「もしかしたら(合ってるしれないし、違うかもしれないけど)こういうこと?」
という子どもへの確認の意味合いが抜けてしまっていて
「あなたの気持ちはこうなんでしょ」
という、大人からの決めつけのようにも聞こえてしまうのです。


そしてその決めつけが
子どもをいらだたせる原因の一つかもしれない
のです。


あなたの気持ちは、あなたにしかわからない。
だからこそ、確認させてもらえると、こちらも安心できるし
なによりあなたに共感したいんだよ


と気持ちでいると、
「いいの!」と言われたときに

「そっか、いいのか~」
(子どものセリフをそのまま反復して「聞いてるよ」を伝える)

「ママと離れたくないのかなぁ」
「あのおもちゃでまだ遊びたかったのかなぁ」
(ひとりごとのような疑問形での確認)

など、違う言い回しが出てくるのではないかな、と思います。


そうやって共感しつつ
「行きたくないのか~
 でも行くんだよね~笑
 帰ってきたらまた遊ぼうね~」
と、やらなければならないことは嫌でも暴れても淡々と進める


みたいなスタンスで
子どもの全部を受け止めようとせず
右から左に受け流すすべも
少しずつ身につけていけるといいのかなと思います。
(イラっとしたらムーディー勝山を思い出してください)




以上、
「いいの!」となってしまったときの対応のしかたを
思うままに書いてみました。


それと同時に
「いいの!」以外の場面で
やってみてもらいたいことが3つあります。
(すでにやっていらっしゃるかもしれませんが)


1.どういう状況で「いいの!」となるのか観察してみる

ご自身でもお子さんをよく観察してみると
「いいの!」が出やすい状況や場面が見えてくるかもしれません。

それが見えてくると
「いいの!」と言わせない対策も取りやすくなります。


例えば、
「保育園行くよ」の声かけの直前に子どもがしていたことを観察
→それを中断されたから「いいの!」

なのかもしれませんし、
ただ単に、眠いから機嫌が悪いだけかもしれません。


理由が分かると、それを取り除いたり予防したりできるので
「いいの!」を少しずつ減らせるようになります。
そのための観察を、1日5分でいいのでしてみて下さい。


2.あらかじめ伝える

保育園の例なら
「時計の長い針が4に来たら出るよ」
(数字が分からないお子さんなら印をつける)

などと、直近の予定をあらかじめ伝えておいて
「子どもと約束しておく」と
うまくいく場合もあります。
(ということは、うまくいかない場合もあるということです笑)


3.選択肢を与える

「保育園に行くよ」
という声かけだと
エス/ノーで答えられるので
イヤイヤ期の子はだいたいノーで答えます。笑

「今日はどの靴で保育園に行く?」
と、あくまでも行くスタンスは変えず、
その中で子どもが自分で選ぶ場面を作ることが
効果的な場合もあります。

この場合は
その時点での子どもの選択を尊重することが大切です。

ここで大人が、子どもの選んだものを否定すると
よけいこじれます。苦笑

極端な話、
長靴を選んだら晴れていても履いていかせる
(そのかわり、外遊び用のスニーカーは大人がこっそり持っていって園に置いておくなど工夫する)
ということです。




この3つをやってみて
それでも「いいの!」となるようでしたら
「私はできることはやった、がんばった」
とご自分を認めてあげて
あとはお子さんが泣こうがわめこうが
やるべきことを粛々と進めていってください。←こればっかり笑


「ダメなものはダメ」
「やらなきゃいけないことはやる」
という制限があって
その中で子どもが最大限に自由に過ごす
というスタンスの教育法なので
私も含めてそこはとても厳しいです。笑


(といっても、そんな大げさなことではなく
「外遊びから帰ってきて手を洗う」
とか
「ずっとトイレに行ってないからトイレに行く」
とか
生活の中で最低限当たり前のことだけですが
そこで大暴れするのがこの時期の子どもたち…笑)




ここから先は、別の話になります。


例が保育園に行く行かないの話だったので

「本当に行きたくない場合もあるな…
 園生活で何か嫌なことがあるのでは…?」

という可能性がゼロではないのかも
とも感じました。

おそらく違う
(園に行く行かないだけでなく、多くの場面で「いいの!」となる)
んだとは思いますが

そこはお子さんの様子をよく観察して
心配ならば園の先生に
今のお子さんの様子をお伝えしてみてほしいなとも思いました。

「家ではこうなのですが、園ではどのような様子でしょうか」

と一言(連絡帳でも口頭でも)伝えてもらうだけで、
保育園の先生としても
家の様子と照らし合わせて、総合的に判断して答えることができますし
園での様子の見方も少し変わってくるかもしれません。


もし、「園ではとても楽しそうです」
「特に変わった様子はないです」
というお返事だったら、何の問題もないので
「いいの!」への対策を、日々の生活の中で探して見て下さい。



長くなりましたのでまとめです。

・「いいの!」と言いたいだけの場合もあるので受け流してもOK
・共感の言い回しを「~なんだよね」じゃないものに変えてみる
・共感も含めた声かけを最小限にしてみる

・子どもを観察して、どんな状況で「いいの!」が出るか分析
・あらかじめ伝えて約束しておく
・子どもが選べるようにしておく

・「園に行かない」があまりひどいようなら園の先生にも相談して、子どもの生活を総合的に判断する


もし改善されない場合は、またお知らせください。