モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 2歳半 ムリヤリ「ごめんなさい」させるの、本当に必要ですか?

【ご質問】

「謝る」という事について、です。

息子はそれなりにワンパクで、
家にいると同居の家族に遊んでもらってる内に
ひいばあちゃんやひいじいちゃん(私の祖父母)に
思いっきりパンチしたり、
私の両親が寝てる時に目つぶししたりと、
ちょっと度が過ぎるわね(#^ω^)
って事をやったりします。

それは勿論、私や主人にもやってきますが、
主人や私はやられたら真顔の低い声で

「そういう痛い事されるの嫌いなの。
 やめてもらえる?」

としゃがんで息子の目を見ながらいい続けていたら、
私や主人には力加減したり、
やめてねと言うとやらなくなったんです。

ただ上の方達は、
「( ´∀`)いたたたたた〜!これこれ痛いよ〜」
とか
「いったぁ〜〜〜い!ヽ(`Д´#)ノ」
とか
リアクションが大きくて、
息子もその反応が楽しいみたいで
さらにやるんですよね…
(私も幼い時は親戚のおじさんがこのタイプで、
 この反応が見たくておじさんを叩いてたので
 息子の気持ちはすごくわかります)

で、その後に「謝りなさい!」
と言われるんですが、
そうすると息子は顔を横にふり、
その場を離れてしまいます。

私もその場にいれば、
「○○、ばあちゃん、今○○に叩かれて痛かったんだって。○○謝ること出来る?」
と聞くと
「いいの・・・・」
と顔を横にふって私に抱きつくか、
その場を離れてしまいます。

父母の謝りなさいって言い分もわかるんですが、
なんていうか、
父母のは“とりあえず謝りなさい”て感じで、
上の件以外にも全然関係ない所で
「ほらママに謝りなさい」
と言われて
何度か祖父母・父母にキレたことがあります(汗)

ん〜〜言いたい事がうまくまとまらないのですが、
この「謝る」という行為って
私的にはある意味産まれてから最初の
心技一体の行為ではないのかなと思うんですね。

だからこそ無理やりさせる事ではないんじゃないかなと…

なのでmontessoriloverさんの経験もふまえて
今回の「謝る」という事について
ご意見いただければなと思い
ご迷惑を承知で質問させて頂きました。



【回答】


このご相談には
分けて考えないといけないポイントが複数含まれているので
それらを整理しながら回答を進めていきます。



まず、
「ごめんなさい」についての基本的な認識は
ご相談者様がおっしゃる通り
「人から強制されるものではなく、自ら謝る」
のが理想的な形だと思います。


自分のしたことが、相手を傷つけた(事実)
ということに気づき(頭)
「悪かったな」と感じて(心)
「ごめんね」と言う(行動)

のが謝るということの本来の流れです。


ただ、謝るという行為は
大人ですら、悪いと思っていても素直に謝れない
という難しさがあり、

そこに加えて
3歳前の「自己中心的なのが普通の時期」には、
「相手がどう感じたか気づく」
ことが、まずとても難しい
のも事実です。


3歳未満の子どもは、脳の発達途上で、
自分から見た視点しか持ち合わせていない
ので
相手がどう感じたかということと
自分がそれをされたときにどう感じるか
ということが結びつきにくいのです。


だから周りの大人は何もしなくていい
と言いたいのではありません。


相手の気持ちを推し量る共感力は
この時期も含め、経験によって育まれていきます。


自分の言動によって相手がどう感じたかを知るには
「○○、ばあちゃん、今○○に叩かれて痛かったんだって。」
とご相談者様が既にされているように
大人の通訳が必要になります。


プラス、「ごめんなさい」と素直に謝る姿を
大人が代わりに見せることが
吸収する時期の子どもには特に必要
です。


もちろん吸収する時期が終わった6歳以降も
必要なのは言うまでもありませんが
この時期の子どもは特に
周りの人の言動をも吸収して自分の人格の土台にします。


「こういうときにごめんなさいっていうのか」
という体験を、理屈抜きで吸収するので
子ども本人に謝らせることよりも
私たち大人が、子どもの代わりに相手に謝る姿を見せるのが大切です。


そしてこれは
すぐに子どもに効果が出るものではないので
繰り返し見せてあげることも必要です。


そのあとで
「おばあちゃん叩かれて痛かったから、
 ごめんねしてほしいんだって」

と、イエスノーで答えられない言い方で
本当は、あなた自身に謝ってほしいんだよ
ということを伝えていけるといいと思います。

(「ごめんねできる?」という聞き方だと
 イヤイヤ期の子どもはかならず「イヤ」というので)


そのあと、子どもが謝らなかったとしても
大人が代わりにもう一度謝って
(その姿を見せて)
その場を収めて頂ければと思います。




で、この相談に関しては
もう1つ必要な通訳作業があります。
(ここが別ポイントその1)


何が相手をイヤな気持ちにさせたのかを
分かりにくくさせているのが
おじいちゃんおばあちゃんの反応です。


一見楽しそうなのに
一転して「謝りなさい!」
と怒られることで
お子さんは混乱して
「…いいの。」
と口を閉ざしてしまっている可能性もあります。


そこは、改めて
大人側だけで話し合って
こちらから協力をお願いする必要があるかもしれません。


おじいちゃんおばあちゃんの反応が大きすぎると
子どもはそれが楽しくて、よけいにやってしまうこと。
子どもの方は、楽しいと思ってやっていたのに
急に「謝りなさい」と怒られてびっくりしてしまうこと。
だから、叩かれたときには
やめてほしい、叩いてほしくないことを
まじめな顔で真剣に伝える必要があること。
実際、そうやって真剣に伝えている父母には
やらなくなってきていること。



などを、少し丁寧に説明して
子どもの気持ちを、大人側に通訳して伝える必要があるかもしれません。


ここで、注意していただきたいのが
決して「こうしてよ!」という
命令口調にならないようにしてもらいたいということです。
あくまでも「お願い」というスタンスを忘れないでください。


普段から、ご相談者様は
朝や帰宅後の忙しい時間に
おじいちゃんおばあちゃん方にお子さんを見て頂いているとのことなので
まずはそこへの感謝を先に伝えて
それから、「できれば…」という形でお願いしてもらいたいのです。


感謝の気持ちが抜けて
一方的な言い分だけを伝えても
家族間の争いのもとになってしまいます。


子どもは
(吸収する時期には特に)
家族間の人間関係をもよく見ています。


何か言いたいことがあるときに
どのような雰囲気で
どのような態度で伝えているか

特に身近なお父さんお母さんの姿は
本当によく見ています。


そしてただ見ているだけでなく
無意識にも意識的にも
その言い方や態度を吸収して
それを再現します。



ですので、もし、ご相談者様が
ご自分のご両親にキレてしまうことがあったとしても
(同居しているとそういうことはよくあると思うのですが)

そのあとで
「さっきはあんな言い方をして申し訳なかった、
 ごめんなさい」
と謝る姿勢を見せることが
お子さんに
謝るとはどういうことか
言いたいことを伝えるとはどういうことか
を伝えるいい機会にもなると思います。


お子様の育ちにとって本末転倒な結果とならないよう
ここのポイントだけは外さないでもらいたいなぁ…
と感じた次第です。




そして、お子さんの方にも
常日頃から
「人はたたかないんだよ」
ということを伝え続ける必要があります。
(別ポイントその2)


本人は遊びのつもりでやっていたとしても
叩かれるということは、いつでも誰でも痛いんだよ
痛いことはやめてほしいんだよ

ということを、根気強く
何度でも初めて伝えるように伝えていくと
幼い子どもでもだんだん分かるようになります。


特に、目つぶしは
真似事だとしても、本当に目が見えなくなってしまうおそれがあるので
大人全員が、本気でやめるように伝えてもらえたらと思います。



最後に、
そもそも子どもが人をたたいて謝る場面が少しでも減るよう
行動の目的を変える手段として

人はたたかない
を伝えると同時に
たたいてもいいもの、たたいていい場面
を与える
ことを提案します。


太鼓やボンゴ、布団たたきなど
たたきたいパワーをうまく変換させて
人をたたくことが少しでも減るよう
生活の中でも工夫してみて頂けたらと思います。


(遊んでいるうちに興奮して叩く
 という場合は、
 最初に叩かれた時点で
 真剣にやめてほしいことを伝える
 ということを繰り返してください)


***********************


長くなりましたのでまとめです。

・大人が通訳になって、子どもに相手の気持ちを伝える
・子どもにムリヤリ謝らせるより、大人が代わりに謝る姿を繰り返し見せる方が大切

・大人側にも、子どもの気持ちを伝える通訳作業が必要
・でも命令ではなくあくまでもお願いするスタンスで、日々の感謝も忘れずに

・「人はたたかない」ことは真剣に繰り返し伝え続ける
・同時に「たたいてもいいもの/場面」を用意しておく



以上です!
お返事に時間がかかり、申し訳ありません。
(いつも)

また何かありましたら、
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現在、寝かしつけについてのご相談と
その後の経過についてお知らせいただいているので
これからそれをまとめます。
また時間かかってしまうと思いますが!w