モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 手先の活動に誘うと、途中からおままごとになってしまいます

【ご質問】

3歳8ヵ月の娘のことで、質問させてください!
細かい人形や乗り物のおもちゃ
(ハッピーセットやお子さまランチのおまけ等)での
おままごと・ごっこ遊びが大好きで、
放っておくと一人でずーっとやっています。

手先を使ったこともやらせてみようと、
ビーズをひもに通すお仕事に誘っても、
できるのですが数回やるともう飽きてしまい、
ビーズをごはんに見立てておままごとになってしまいます。

『自分で選んだ活動』というと、おままごとばかりで…
何をしたいと求めているのか?
どう観察したら良いのか?
会話や人間関係の敏感期(?)ととらえたら良いのか?
(おしゃべりはかなり上手でペラペラです)

何かハマる事がないかなぁと活動に誘いたいのですが、
うまい方法もあれば教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。


【回答】

まずは今見えているお子さんの姿を
ありのまま受け止めてみて下さい。

子どもの育ちに必要なものはいつも、
子どもの姿が教えてくれています。


ご質問の文章から見えてくるのは
・自分で選ぶのはおままごと
・ビーズ通しはできるけど、すぐ飽きてしまう
というお子さんの姿です。


この姿から考えられるのは
・ビーズ通しは簡単すぎる、もしくは興味がない
・おままごと=お母さんがしていること(主に調理活動)を真似したい
という発達段階です。


ここから、お子さんが興味を持ちそうな活動を考えてみましょう。


①調理活動

おままごとで、マジックテープの野菜を木の包丁で切ることが好きなら
バターナイフでバナナや缶詰のパイナップルを切ったり、
果物ナイフや小さな包丁でスティック野菜を切ったりするのは
もっと好きだと思います。


ボウルに卵を割って泡だて器で泡立てたり
そこに粉や牛乳や砂糖を入れて混ぜたり
ということもきっと好きだと思います。


まな板に野菜を置いて固定すれば
半分ずつピーラーで皮をむくこともできます。
(大人のように、片手に野菜を持って宙でむくのはまだ難しいと思います)


・切ったバナナや缶詰の果物にヨーグルトをかけて混ぜる
(フルーツヨーグルト)
・切った根菜をお水に入れて、調味料を入れて火をかけて煮る
(スープや煮物)
・混ぜた材料をカップに入れて炊飯器で蒸す
(蒸しパン)
/おたまでフライパンに流して焼く
(ホットケーキ)


など、お子さんの様子を見ながら
少しずつ工程を長くしていくと
自分が参加した活動によって料理が完成する
という体験に少しずつつながっていきます。


自分で(部分的にでも)作った料理を食べる
というのは
自分が能動的に参加した活動の結果を体験できるよいチャンスです。


やけどや切り傷につながりかねない、
危険(だと大人が一方的に思っているよう)な活動も
お子さんにとってはとても魅力的な活動です。
親御さんが「活動に誘おう!」と思っていらっしゃる時ならば
見守りながらいっしょにできるのではないでしょうか。


ビーズ通しなどの細かい作業以上に、
包丁や火を使う活動は
集中力、指や手首の細かい動き、注意深さを必要とします。


子どもサイズの調理器具を用意して、
この夏、ぜひ一緒に調理活動を楽しんでみて下さい。


ちなみに、包丁はちゃんと切れるもののほうがよいです。
下手に切れない包丁を使うと、間違った力の入れ加減をおぼえてしまい、逆に危ないです。


あと、お子さん用のエプロンを用意してあげるのも
お子さんのテンションがあがるかもしれません。
(大人も少し上がりますw)



②お皿を洗う、洗濯など、水を使う活動


①の調理活動~食べる までができたら
今度はぜひ、お皿洗いにも誘ってみて下さい。


汚れたものをきれいにする活動が
子どもはとても好きです。


特に夏は、水をさわっているだけでも気持ちのいい季節なので
水を使う活動に誘うにはうってつけの季節です。


踏み台を使ってシンクで洗うもよし、
洗い桶を2つ用意して「洗う用」「すすぐ用」に分け
作業台の上で洗ってもよし。


同様に、
洗濯板をつかって洗濯したり
スニーカーや上履きを洗ったりするのも
楽しいと思います。
(これはお風呂場でやってもいいですね)

調理活動の前に
ジャガイモや泥付き野菜を
たわしで洗うのも楽しいです。


私の経験だと
2歳半/3歳~年少/年中さんの年齢のお子さんが特に好む活動です。

園でも、私が掃除をしていると
「わたしもなにかきれいにしたい」
と、この年齢の子どもたちが寄ってきます。

そしてここぞとばかりに、
絵の具で汚れたトレーやビニールマットを洗うのをお願いしたり
一緒にロッカーや棚を拭いたり
拭いたぞうきんを石鹸で洗ったりしています。


汚れたものが、自分が手を使うことによってきれいになったときの
子どものすがすがしい表情は、何とも言えないものがあります。
環境をきれいにして
自分も満足
周りも嬉しい
という好循環につながります。



③興味に合った手先の活動を考える


というわけで①、②が私個人のおすすめですが
それでもやっぱりモンテッソーリ本に出ているような
細かい作業をさせてみたい!という場合、
お子さんの発達に合った難易度の活動を用意する必要があります。


>ビーズをひもに通すお仕事に誘っても、
>できるのですが数回やるともう飽きてしまい

という姿から
このお子さんにとっての発達課題は
「通す」ことではない
「通す」ことはもうそんなに難しくない
ということが分かります。


子どもは、今自分が持っている力やスキルよりも
「ちょっとだけ難しい」ことに惹かれる
のです。


そして3歳以降は
自分のしたことが結果として残ることに
より惹かれるようになります

(3歳未満は、していることそのものに惹かれて
結果に対する興味は薄い傾向にあります)


例えば、ビーズをワイヤーに通したら
それをお花やハートの形にして
安全ピンをつけてブローチにしてみるとか、

ビーズを通したひもの両端にクリップをつけて
帽子留めにしてみるとか、

自分が手を使って作ったものを
実際の生活の中で使うものとして完成させることで
子どもの関心がグッと上がるかもしれません。


フェルトにペンで印をつけたところに
針と糸を通していく縫いさしの活動なんかも
もしかしたらお好きかもしれません。

こればかりはお会いしてやってみないとわかりませんが
とにかく一つだけ言えるのは
「子どもは、すでに獲得していることには、あまり興味を持たない」
ということです。


以上、長くなりましたが
お子さんの行動様式を基に、
何か一つでも、楽しく夢中になれる活動が見つかるといいなと思います。

どうか、決してモンテッソーリ本のほうにお子さんを合わせようとしないでください☆

あとは、いろいろ試してみて
それでもおままごとがやりたい!
というのであれば
それは尊重してあげてほしいなとも思います。