モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 集中現象って何ですか?①子どもの姿

【ご質問 2歳1ヶ月】

超基本的過ぎて
聞くのも恥ずかしいのですが、
やっぱりよく分からないのでお伺いします。

集中現象ってなんですか?
ということです。


娘は、歩く、走る、ジャンプ、階段の昇り降り…
と一通りの大きな動きを獲得したようで、

ようやく最近、指先でつまむことに
興味が出てきたようです。

今までは見向きもしなかったつまみ付きパズルや、
ビーズ、あんぱんについた芥子の実を懸命につまんでいます。

今までは一般的に言われるよりも
指が不器用だなぁという印象だったのですが、
ここに来て急に指先でつまみ出して、
これが敏感期??
これが中心から外に向かって成長するってこと??
という思いで見ております。


なのですが、
集中現象ってどういうものなのか、
イマイチわかっていない母です。

あんぱんの芥子の実は取ってるなぁと思ったら
急にやめてお皿にあんぱんをほっぽり投げ、
食べもしません!

ビーズはつまんでるなぁと思ったら
急に投げて遊び始め。

つまみ付きパズルは、
1回全部外してはめ直して、
できたぁ!!と喜んだらおしまい。


今一番繰り返すのは、
積み木やブロックを並べて
「食べるものを運んでいます!」
というおままごとと融合した謎の遊びです。
「これはなんですか?」と聞くと
「カレーライスです」とか
「お味噌汁です」とか言われるので
食べるふりをすると大喜びです。
延々とおかわりを運んできてくれます。

水を注ぐ。というのも好きで、
「お水ください!」と言われるので、
計量カップに少量の水を入れて渡すと
自分のコップに注ぐ。

だけど、集中現象には今のところ
出会えていない気がします。
どれも一生懸命でとても真剣ですが、
集中とは違う気がします。

集中現象って一体どんな状態のことを言うのでしょうか?

変な質問で申し訳ありませんが、
教えていただけたら幸いです。



【回答】

ご質問の文章を読む限りですが、
ご質問者様が感じられているように
2歳1ヶ月の娘さんは、おそらく、
集中現象にはまだ至っていません。


集中現象に至る入り口に
今ようやく立ったのかな、という印象です。


回答がまた長くなりそうなので、

①集中現象とは:子どもの姿と発達
②集中現象に至るための環境の条件
③集中現象を邪魔しない大人の条件

の、いつもの3枠に分けてお答えしていきます。
(さぁ〜うまくまとまるのか〜、、、汗)




①集中現象とは?子どもの姿


ざっくり言うと

A. 自分で選んだ
B. 目的のある活動を
C. 手や身体を使って
D. 繰り返し、没頭して
E. 深い満足感を持って自分で終える

という一連の流れです。


モンテッソーリ教育で使われる「集中現象」は
A-Eの条件が揃って、
子どもが没頭した(プラス満足して終えるまでの)
状態のことを指しています。


具体的な例を挙げると、

テレビを見ている
ゲームをしている

などの、一見集中しているように見える状態は
手や身体を使っていない(脳も一部しか使われていない)ので
集中現象とは呼びません。
見せかけの集中状態とでも言いましょうか。



基礎の基礎に戻って、
モンテッソーリさんの著書に
集中現象がどのように書かれているかといいますと、


「はめ込み円柱の活動をしていた3歳半の女の子が
 あまりにもその活動に没頭して
 何度も何度も繰り返すので、

 周りで大きな音をたてたり、歌を歌ったり、
 道具と椅子ごとその子を上に持ち上げたり(!)
 邪魔になるようなことを敢えてしてみたけれど、

 それでもおかまいなく続け、
 最後は、深い大きなため息をついて
 何とも言えない安堵の表情で終えた」


という主旨のことが書かれており
このような子どもの姿が、
他にも多く見られたと記載されています。


(参考までに、はめこみ円柱はこちら↓)




そして、この集中現象に至った子どもは、
必ずと言っていいほど
活動後に、子どもの困った状態(乱暴、臆病など)が影をひそめ
代わりにその子どもが本来持つ良い人格(素直さなど)が表に現れた

とも書かれており
これは「Normalization 正常化」と呼ばれています。
正常化という言葉の響きが強いので、誤解が生じやすいのですが
「子どもが本来の発達の道筋に戻る」という意味合いです。



ここからは、私の個人的な保育経験の中で見た
「集中現象」に至った子どもの姿の特徴を書き記します。


・周りで他の子どもたちが騒いでいても、
 自分のペースで自分の活動を続けている


音や声がした方をチラ見くらいはしますが、
それよりも今、自分がしている目の前のことの方が楽しいし、大事なの。
という感じで、黙々と作業を続けていました。


自分が好きな活動をまだ見つけられない子どもたちが、
「なんか分かんないけど楽しそう!」
と音のした方にわらわらと集まってきて
カオスになる(笑)姿とは対極の、
静かで、でも強い意志を感じる姿だったのが、
個人的には印象に残りました。


・本当に何度も繰り返す。満足するまで同じことを延々と行う。

例えば、お洗濯だったら
洗濯かごの中のものを1つ選んで、
手洗いからすすぎ、しぼるまでを一通り行います。

まだやりたい!となったら、2枚目を同じように繰り返します。

本当に没頭すると、洗濯かごの中身を全部洗い、
それでも足りないと汚れものを探しに行きます。


大人の発想だと「まとめて洗えば早いのに」
と思いがちなんですが、
子どもは、洗う〜しぼるまでの一連の動きと段取りを獲得したいので
大人から見たら、まどろっこしいようなやり方を敢えてします。


・終わったあと、本当に幸せそう
これはね…本当に満足そうな、幸せそうな顔をするんです、
集中した後の子どもって。
というわけで、特につけたすことはありませんw




この、クラスの中で数人が集中している状態から

徐々に、皆それぞれがやりたい活動を見つけ、
それぞれが黙々と目の前の活動に没頭するようになってくると、

クラス全体がシ〜ン…となることがあります。


それは、大人が「静かに!」と黙らせた不自然な静けさではなく
子ども一人ひとりが、目の前の活動に没頭しているが故の
何とも心地よい静けさです。


もちろん、「ここどうやるの」
「ちょっと手伝ってもらえる、」などの自然な会話や、
ある程度のざわめきはありますが、

30人の3〜6歳の子どもたちが

ある子はお洗濯、
またある子はアイロンをかけ、
別の子は花を活け、
別のところではお茶を入れ、
また別でホットケーキを焼き、
イーゼルでお絵描きをする子、
数のビーズを数える子、
ひらがなをトレーシングペーパーに写す子、
国の特徴を調べる子…など、

それぞれがバラバラに動いているのに、
クラス全体では何とも言えない調和感があって、
なんか、すごいわこれ。 
と感じました。



この集中現象はなぜ起こるのか
ということを考えると、

子どもが
「これをやりたい!」
という自分の意志で活動を選ぶことが始まり

自分の思い通りに手や身体を動かしたい、できるようになりたい
という強い生命欲求を元に
活動を繰り返す中から、
自然と起こる現象
です。


つまり、

「これを今やりたいの!
 今、この動きを身につけたいの!」

という、発達の欲求が
身体の動きに強く現れることが
集中現象に至る入り口
となります。


ご質問者様のお子さんは
「つまむ」動きが今楽しいように見受けられました。


でも、ご質問の文章にあるような
「あんパンのケシの実をつまむ」
「ビーズをつまむ」
動きは、

つまむという【動きそのものが目的】であり
その先に明確な目的がない
ので

つまんだものを投げてみる、という
大人から見ると謎の、
時には困った行動につながってしまいます。^^;


困った行動につながらないようにするには
大人の知恵が必要になってきます。



1.今やりたいであろう【特定の動き】が繰り返せる道具を用意する

これは、「eye-hand coordination 目と手の協応」と呼ばれる活動で
【動きそのものが目的】となっています。


つまむ動きを繰り返す活動で
1歳半〜2歳半くらいの子どもが好むものとしては、

・つまんで穴に落とす(コインと貯金箱)
・つまんで挿す(つまようじと楊枝さし)
・つまんだビーズをモールに通す(大きめのビーズとモール)

などがあります。



これらの、「つまむ」活動が入っていて
繰り返すことができる道具を
トレーにセットして
使い方を見せてあげることで

つまんで→投げる
という困る行動は減らせると思います。


さらに、トレーに置いてセットしておくことで

自分で選んだ活動を持ってきて
活動を行い
終わったらまたトレーごと元の場所に戻す

という、集中現象に至るサイクルに近づくことができます。



ただ、この「目と手の協応」の活動だけだと
集中の度合いは弱く、
特定の動きができるようになったら
すぐ飽きてしまう

というのが
熟練のモンテッソーリトレーナーのお話であり、
私の今までの経験からも納得するところです。


なぜなら、目的の動きができるようになると、
次の、まだできない動きがしたくなるのが
子どもの発達
だからです。


モンテッソーリの園でも
 短期的に、必要な子どもがいるときに
 出すのはいいのですが、
 1ヶ月も1年間もずっと出しっぱなしだと
 そのうち誰も見向きもしなくなり、
 ただのお部屋の飾りになって
 ホコリをかぶって置かれているのをよく見かけます)



目と手の協応の活動へ誘い、
繰り返しを促すことで
困る行動を減らす

のを第一弾とすると、



2.目的の動きが入った日常生活の活動に誘う

のが第二弾です。


つまむを例に挙げると、

・床に落ちたゴミをつまんで、ゴミ箱に捨てる
・ボタンを留める(ボタンをつまんでボタンホールに通す)、スナップを留める
・花の茎をそっとつまんで、一輪挿しにさして活ける
ミニトマトやイチゴのヘタを、優しくつまんで取る
・ゆで卵の殻をむく
・洗濯バサミをつまんで、干す


など、思いつくありとあらゆる日常生活の活動に誘うことで
「つまむ」という短期的な目的だけではない、
その先の大きな目的に向かって活動する
ことができます。



大きな目的とは

・自分で自分のことをする
(ボタン、スナップ、クッキング系など)

・周りの人や環境のお世話をする
(掃除や洗濯、花を活ける、クッキング系など)

です。
クッキング系の活動は両方の目的を含んでいます。


(子どものお皿洗いに使用↓)



特定の動きを身につけるために繰り返す
→その動きをもって、自分や環境の世話をする

という発達の欲求を大人が見逃さずに援助できると
子どもが活動を選び、繰り返し、
集中現象に至るお手伝いができるようになります。


ご質問者様のお子さんが、
「集中現象に至る入り口に立ったところ」
だと申し上げたのは、

つまむという高度な動きができるように
手が発達してきたことで、
つまむ動きを繰り返す
もしくは
つまむ動きが入った日常生活の活動を繰り返す
段階に入ってきた

という意味です。


「つまむ」を獲得しようとしている時期には、
手首をひねる(蛇口、注ぐなど)、
手に持ったものの操作の力加減を調整する(野菜や花の持つ力)
など、多岐にわたる動きも同時に獲得しようとしています。


日常生活の活動には、
そのような多種多様な手の動きが、数多く含まれています。

なので、目と手の協応の活動から始めて
徐々に、日常生活の活動に
(一部だけでも、1回だけでも)誘っていくと
やりたいであろう手や体の動きを練習し、
獲得するいい機会となります。
(これは②の環境の話なので、次回もう少し丁寧に書きます)



2歳1ヶ月ということで
3歳前は無意識に吸収する時期ということもあり
「意志」というよりは、少し強い「意図」程度で、
やりたいことはたくさんあるものの、
興味がすぐに目移りして、
繰り返すことは少ないかもしれません。


でも、無意識吸収期だからこそ
目と手の協応の活動、日常生活の活動に
部分的にでも、1回でも参加する機会があると、

吸収した体験をきっかけとして
ある特定の動きを繰り返し、
集中現象を起こす可能性はぐっとあがります。


最後に、
集中している子どもの中で何が起こっているかというと

運動(身体)と意志(心)と知性(脳)の統合

です。


手や体を使う【運動】、
やりたい!できるようになりたい!という【意志】、
どう動かせばいいのか、どうやったらできるようになるのかという【知性】

この3つを、活動の中でフル活用し
統合させています。


正常化というのは
この3つが統合されて、
身体も心も脳も満たされ、落ち着いた状態なのだと
私は思っています。


逆に、この3つがバラバラだと
3つの発達欲求が満たされずに、
困った状態として表れる、と理解しています。


目と手の協応、
日常生活の活動

は、3つの発達欲求を満たし、統合させて
子どもを良い状態に導いてくれる
大切な活動です。


一般的にはまだ早いんじゃないかと思われるような活動、
1歳半~2歳半/3歳の子が
バナナを自分で切って食べたり、
そのお皿を洗ったり、
洗濯をしたり、窓を拭いたり
ということを提供しているのは

本当は子どもの発達に合った
子どもが求めている活動だからです。


で、その子どもの発達に合った活動(環境)と
その環境にいる大人の話を
次回、その次と書きたいと思います。

相変わらず長くてごめんなさい!

【経過報告】紙オムツ併用のトイレラーニング その後

こちら↓の記事で書かせて頂いたことを
実践して経過報告して下さったので
そちらをシェアさせて頂きます。^^

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【以下、ご報告】

ご回答ありがとうございます!
この1週間ほど、色々と試させていただいたので
お礼方々、ご報告をさせていただきたいと思います。


まず、大人が踏み台がわりになるというのに
目から鱗が落ちる思いでした。
さっそく、外出先でトライしてみたところ
出すことはできなかったのですが、
座ることができました。
これから家でも時々練習をして
外出に備えていきたいと思います。


また、オムツの非常用トイレというのに、
目から鱗が吹っ飛びました。
(落ちるなどという表現では足りないほどの衝撃でした!)

そして、親がオムツを非常用と思うだけで
こんなにも子どもに影響があるのか
と思うほどの効果でした。


私が、オムツは非常用だ!!と思ったその日から、
お漏らし(外出でパンツとオムツの二重ばきの時を含む)が
半分以下になりました、、、!!!!
やはり親が迷いを持っているのは良くありませんね、、、。


夜間のオムツ二重ばきですが、
オムツを履いている安心感?なのか
全く効果がなかったので、

漏れる心配はあるものの、
思い切ってパンツとパジャマズボンの上からオムツ(!?!?)
というスタイルにしてみました。

するとさっそく申告がありまして、
着替えることができました。

布団が少し濡れましたが、
オムツなしほどの被害ではありませんでしたので、
セーフです(笑)


私が落ち着いているおかげでしょうか
娘もぐっすりと眠れているので
このまま様子を見ていこうと思っております。


今までは朝起きると濡れてたり濡れていなかったり、、、
という状況でしたが、
おかげさまで、
「寝入ってから2時間ほどの間にだけ漏らす」
ということがわかり、
成長を待つとともに
寝る前の水分摂取時間の調整などで対応できそうです。


それはそうと、今までほぼ一晩じゅう
濡れたオムツで過ごしていたんだなぁ(T_T)バッチイ!!


娘も自信がついてきたのか、
パンツ生活を楽しんでいるようです。
オムツを履きたがることがなくなっているように思います。


実はお恥ずかしい話ですが、
娘は1歳前からずっとトイレにはついてきていて、
ひどい時は股の間から覗いています。
やめてー\( 'ω')/<ウオアアアアアアアアアアアアーッ!!!

なのでトイレには憧れがあるようではあるのですが。

うんちについては、
まだ踏んばるのが難しいのですね。
おまるの導入を検討して、
彼女が踏ん張れる環境を再度整えてあげたいと思います。

出ないけどトイレでうーん!と唸ってるのは可愛らしくもあるのですが(笑)
まぁパンツでするなら、それはそれで洗って洗って洗いまくってやるぞー!!
と息巻く母です。がんばります。


長くなりましたが、おかげさまで、
娘のトイレットラーニングに心穏やかに寄り添っていけそうです。
本当にありがとうございます。

(ご報告、終わり)


**************************


ありがとうございます。

一番うれしいのは、やはり

相談者様がトイレラーニングに心穏やかに寄り添っていけそう

ということと

お母さんが落ち着いているから、
お子さんも不安な気持ちが減ってパンツ生活を楽しんでいる

この2点です。


吸収する時期の子どもは
本当に何でも、
周りにいる大人の感情すらも吸収しているんだなぁ
と改めて感じさせていただきました。



あとは、相談者様が、記事をヒントに
ご自分で考えて応用しているのも素敵だと思いました。
(パジャマの上からオムツは思いつきませんでしたが
 かなりいいアイデアですね)


私も、「これが答えだ!」と強気に書けるわけではなく

「う~ん、モンテッソーリの子どもの見方から考えたら、
 これってこうなるのかな
 だからこうすればいいんじゃないかな、
 でも実際はやってみないと分からないな」

というように、悩みながら迷いながら
試行錯誤で書いているので、
(前回の記事はまさに、その迷いが炸裂してます…^^;)


皆様からフィードバックをいただけると
また学びになり、
うまくいかなかったとしても
そこからまた、改善策を考えられたりするので
本当にありがたいです。

(だからといって、相談したら必ず結果を教えて下さいと言うことではないですよw
 そんなプレッシャーいやだw)


引き続きご質問、ご相談お待ちしております。
こちら↓の記事のコメント欄にご記入ください。
montessorilover.hatenadiary.jp


基本的にはコメントは非公開で
記事の中で、匿名で相談内容のみを公開させて頂いておりますが
匿名でなくても大丈夫です!という方は
その旨もお知らせください。

あと、ご感想を非公開希望の方もお知らせください。
(結果のフィードバック及び皆様へのシェアのため、
 基本的に匿名での公開とさせて頂いております)

一度ご質問頂いた方からの
再度のご質問も大歓迎です^^



余談ですが
こちらのブログでは文章だけのご回答なので
どうしても伝わりにくい、わかりにくいこともあるな~と感じており
直接お会いしてお話しできたらもっと早いし、もっといいのにな!と感じてもいます。

なので、
訪問型のモンテッソーリ子育ち支援相談室
みたいなものも頭にあるんですが、

いかんせん世間知らず&のんびり&まぁまぁ臆病なもので
保険や金銭面、ニーズがあるのかなどを考えるたびにひっかかりw、
まぁとりあえずは、文章だけでもいいかな~
みたいな感じになってます。

奇跡的に形になったらまたお知らせしますね。
今の仕事とかプライベートのバランスもあるしな



最後の方、ほぼひとりごとですが
ご質問がある限り、ここは続けていきますので
よろしくお願い致します。

Q. 兄弟げんかの対策 ②ケンカしにくい環境づくり

前回からの続きです。
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今回は、物の環境について。
兄弟げんかが起こりにくくなるような、おうちの環境を考えてみます。
(う~ん、なかなかの難題…苦笑
なので、思いつくままに書いてみますね)



パッと思いついたのは、以下の3つの手段です。

①スペースを分ける
②道具を分ける
③興味の対象の違いを利用


ひとつずつ、解説していきます。



①スペースを分ける


上の子のスペース、下の子のスペースをそれぞれ確保する、という考え方です。


・机をそれぞれに用意する
・小さなマットを1枚ずつ用意し、それぞれがそのマットの上で遊ぶ
・ひとりが机、ひとりがマット


と、何でもいいんですけど、とにかく一人ずつの専用のスペースを決めて
お互いに距離を置くという方法です。


モンテッソーリのお部屋は、
子ども用の一人机や、活動用のマットが必ずあり
子どもそれぞれのパーソナルスペースを確保するのに一役買っています。


特に3歳以下の子どもの部屋は、「個」が主体で
一緒に活動するのはまだ難しい時期なので
ひとり完結型の活動ができる環境です。


(3-6歳のお部屋になると、小グループでも活動するようになるので
 2-4人掛けのテーブルや、大きなマットも用意されています。)


モンテッソーリ園のように、
子どもの発達に合わせて
0~1歳4ヶ月/1歳4ヶ月~3歳/3~6歳の部屋を分ける
というのは、おうちでは難しいと思いますが、


机やミニテーブル、マットの力を借りて
パーソナルスペースを確保するという一つの方法は
おうちでもできることかなと。


(ちなみに国際コースの先生がものすごくお気に召していたのは
 ニトリの50×80のフロアマットでしたw)





でも、こう書きながらも、

「下の子は、上の子の真似がしたいんだろうなぁ
 同じことがやりたいんだろうなぁ
 だから、ケンカするのに、それでも近づきたがるんだよなぁ」

とも感じるので、
近づいて遊びたい場合はやや弱い手法かもしれません。
う~ん難しい


ということで、次の方法です。
(諦めが早い) 


②道具を分ける


上の子専用、下の子専用の道具を用意するという方法です。


これは特に、お絵かきや工作、粘土などの創作活動に有効です。
クレヨン、はさみ、のり、水性ペンなどを
それぞれ専用のお道具箱に入れて置きます。

名前が読めない場合は、それぞれの印を決めて
道具につけるという手もあります。
(星、ハートなどのシールを貼るなど)



…ただ、これもですね、
レゴブロックやプラレールトミカ、カプラなど
量や種類のある同じおもちゃを使って一緒に遊びたい場合は
あまり有効でないな~と。むーん


ご質問の文章からは、
どのような遊びで取り合いになるかはわからなかったのですが
上のお子さんが男の子ですし、
おそらく上記のような遊びが好きなのではないかと…
そして取り合いになるのではないかと。
もしくはお兄ちゃんが作ったものをとろうとするか。

(なんで推測なのにこんなに描写が具体的なのかというと、
 今まさにうちの園で起きていることだからですw
 毎日2歳の子たちに「お兄ちゃんが作ったものはとらないんだよ~」「お友達が使ってるから待っててね~」の繰り返し)


ということで次の方法も試してみましょう。



③興味の対象の違いを利用

おそらくこれが、今回思いつく中でいちばん有効なのではないかと思っております。
(園では有効であることが多いです)


下のお子さんが2歳台ということで、
この時期、いちばん魅力的な活動
「日常生活の活動」に誘ってみることをオススメします。


日常生活の活動とは、
テーブルを拭く、窓ふき、洗濯物を干すなどの
いわゆる大人にとっての「家事」です。


大人にとっては、家事が好きな人は別として
家事≒ノルマ的な意味合いが大きい(省略できるところはしたい)ものですが
2〜3歳の子どもにとっては、何とも魅力的な活動です。


園では(何度も書いている話で恐縮ですが)
この時期の子どもたちがやりたがる、
お洗濯や洗濯物を干す作業、窓ふき、フロアワイパーで床を拭くなどの家事的な活動ができるように
子どもサイズの道具が、子どもの手が届くところに置いてあります。


これらの活動は、子どもたちがものの取り合いなどで険悪なムードになってきたときにも有効です。
(大人の手は要りますが)


「一緒にお洗濯物干そう」
「私はほうきではくから、○○くんはフロアワイパーで拭いてくれる?」

などど声をかけると
それまで取り合っていたおもちゃをほっぽり出して、我先にと集まってきます。


おもちゃで遊ぶことと同じくらい
時にはそれ以上に
大人のしている活動は魅力的なのです。


逆に、もうすぐ5歳の上のお子さんにとっては
自分で考えておもちゃで遊ぶ方が、もう魅力的かもしれません。


今までに家事的な活動をしていて
それが楽しい!という経験をしていればまた別ですが

4〜5歳を過ぎた頃からは、
大人が何も誘わなければ
今までの体験に基づいて、
自分が楽しい、面白いと思った活動を
自分で意識的に選ぶようになってきます。


今回のケースでは、
この興味の対象が違うことを利用して
そもそもケンカしない環境を作れるのではないか
と思っています。



妹さん専用のエプロンや掃除道具、
お盆や台所用品などを用意して
妹さんを家事に巻き込むことで
その間、お兄ちゃんは自分の活動に没頭できます。←こちらも大切なこと


少し大人の手が必要なテクニックではありますが
やってみる価値はあると思います。



そうやって、下のお子さんが楽しそうに家事をしている姿を見て
上のお子さんも「僕もやりたい」と言ってくる可能性も高いです。


そうしたら、上のお子さんにも
エプロンを用意して
家事を分担してみることをオススメします。


「自分のことを自分でする」段階から
「人のために活動する」段階に
導くことができるかもしれません。
それはそれで、嬉しい成長です。



大人は家事、子どもは遊び
という役割分担は
大人の固定概念かもしれません。


2〜3歳の子どもにとっては、
家事も、おもちゃでの遊びも
同じように楽しいものです。



これらの発達段階を利用して
ケンカしない環境を考えてみることで
大人も、子どものケンカに振り回される回数が減り大人の方もラクになる可能性が高いです。



思いつくままに書いてみましたが
まずはひとつでも試してみて頂いて
また結果をお伝え下さい(^^)


フィードバック(経過報告)があると
私もまた、学びになります♡



というわけで次回は
トイレラーニングの経過報告を頂きましたので
そちらを紹介させて頂きます。
(お忙しい中、丁寧にご報告下さり、本当にありがとうございます)

Q. 兄妹げんか どう対応すればいいですか? ①大人の介入のしかた

【ご相談】

兄妹との関わりについて質問させて頂きます。

息子(4歳10カ月)と娘(2歳1カ月)の2人の子どもがいます。

娘のことばがよく出るようになってから、
今までよりも2人で一緒に遊ぶことが増えてきました。
そんな時にだいたい、物の取り合いでケンカになります。

私が間に入って、2人の気持ちを代弁したりするのですが
それでいいのでしょうか?

「自分の気持ちは自分で言おうね」
と促しているのですが、
息子が話しても、娘にギャーっと泣かれると
息子は話をしたくなくなるそうで。。。

そして息子はすぐに
「ママー!〇〇ちゃんが!」
と私に言いにきます。

ママにどうして欲しいのかと聞くと
「〇〇ちゃんが悪いから怒ってほしい」と。

過去の記事で、大人に伝えにきている時は、
【子どもの思考が停止した状態】
だということを読みました。

できればうまくいかなかったとしても、
子ども同士で話してみてほしいのですが、
親の私としては、どのように関わったらいいのでしょうか?
正直なところ、やりとりに疲れてしまっています(苦笑)



【回答】

3歳以下の子どもが含まれたケンカの場合、
大人の介入がある程度は必要になります。
ですが、「そもそもケンカしなくていい環境」を作れると
大人の負担が減るのも事実です。


今回は、3歳以下の子どもがいる場合に
なぜ大人の介入が必要なのか
どのように介入するのが望ましいのか
子どもの発達とともに、お伝えします。
(環境の話は次回お伝えします)


ご相談の文章の中で触れられていた、

「子どもが大人に言いに来るのは
 子ども自身が思考停止しており、
 ジャッジを大人にしてほしい
(そして自分に有利なジャッジをしてほしい)
 という気持ちの表れ」

ということを書いたのがこの記事↓であり
それはそれとして事実なんですが、

montessorilover.hatenadiary.jp



この記事に出てくる、ケンカをしている子ども達は
皆、3歳以上です。

その場合、子どもたち自身で話し合って決めることが可能であり
子どもたちに求められることでもあります。


ただし、最初から
「あなたたちで決めてね」
と突き放すというよりは
(記事の中では若干そういう言い方もしてますがw)


もっと幼い頃、1~2歳の頃から
大人が子どもの気持ちや要求を代弁して
通訳のように伝えることを繰り返す、その積み重ねの上で
3歳過ぎて、子どもが自分の気持ちや要求を言葉で伝えられるよう
導く、というイメージです。



そしてここが今回のポイントなのですが、

3歳以下の子どもが関わっている場合は
どうしても大人の仲介が必要になってきます。


なぜなら、3歳頃までは
【自己中心的なのが当たり前の時期】
だから。


この時期の発達を理解するには
運動と脳の発達を知る必要があります。


まず、1歳半頃、
歩いてどこにでも行けるようになった子どもは、

「自分が、お母さんや周りの人とは異なる存在である」

ことに気づきます。

運動の発達と心理的発達の関係で、
物理的に大人から離れられるようになることで
心理発達にも「自我の芽生え」という影響を及ぼすのです。


ここから

「自分で!」
「イヤ!」←本当にイヤというよりは、「あなたと私の考えは違う」という意志表示としてのイヤ

が増えてきます。
いわゆるイヤイヤ期ですね。


そこに加えて
「(ぜーんぶ)私の!」
という、極めて【自己中心的な】気持ちも表面化してきます。



この自己中心的な時期のことが分かる
「サリーとアンの課題」
という発達テストがあります。


①サリーが持っているボールをカゴに隠して、立ち去ります。(アンはそれを見ています)
②サリーがいない間に、アンがボールをカゴから箱に移し替えます。そしてアンもその場を去ります。
③サリーが戻ってきて、ボールを探すのですが、

サリーはカゴと箱のどちらを先に見るでしょうか?


というクイズに答えることで、発達段階がわかるというテストです。



普通に考えると、
答えは「カゴ」


なんですが、



3歳児にこの質問をすると、
多くの子どもが「箱」と答えます。


同じ質問を4〜5歳児にすると
多くの子どもが「カゴ」と答えます。



このテストの答えが意味するのは、

3歳の時点では

「自分が見て知っていること(アンがボールをカゴから箱に移したこと)は
 他の人もみんな知っている(だからサリーが最初に探すのは、箱)」

という自己中心的な物の見方、考え方にとどまり


4歳過ぎた頃から

「サリーの立場で考えると、
 アンがボールを箱に移したのを
 サリーは見ていない、だから知らない。
 だからサリーが最初にさがすのは、カゴ」

という、他人の立場に立った見方、考え方ができるようになってくる

ということです。


これは脳の発達に関係があります。


前頭葉という部位は
脳の中で一番最後に発達します。
生後4〜5ヶ月から発達し始め、
ゆ〜っくり発達して、10歳頃に完成します。

前頭葉には様々な役割があるのですが
人間を人間たらしめる脳、と言われており

具体的には
・感情のコントロール
・行動抑制
・モラル
・社会性の発達
などにも関わっています。(他にもいろいろあります)


その発達も
経験から学び、脳に刻み込まれていく
というイメージです。


ざっくりまとめると、
3歳頃までは、脳の発達により
自己中心的な観点で物事をとらえており、
経験によって、自己コントロールや社会性が発達していく

ということです。


この自己中心的な3歳以下の子どもたちに
首尾一貫した制限を伝え続けるために
大人が関わる
ことが重要になってきます。


具体的には

「自分/他人/物をわざと傷つけない」
「自分がされてイヤなことは、人にもしない」

という、人と暮らすうえで至ってシンプルなルールを
ケンカやトラブルを通して、伝えていくことが大切
になってきます。


大人は、子どもがふたりいると
年齢が上の子どもに
いろいろ要求しがち ←私自身の反省も込めて

なのですが、

今回のご質問のケースでは、
お話が必要なのは妹さんに対してかもしれません。


なぜなら、妹さんはまさに【自己中心的な時期】真っ最中だから。


現場を見ていないので
あくまでも文章からの推測ですが、

お兄ちゃんの方は、
4歳10ヶ月、もうすぐ5歳という年齢から
友達と一緒に遊ぶ上でのルールを
少しずつ身につけてきていると推測します。


そこに、自己中心的な発達時期の妹さんがきて
お兄ちゃんが使っていたものを取ってしまい、

お兄ちゃんは妹さんに手を出すのではなく
(たまに出すときもあるかもしれませんが)
あくまでも使っていたものを取り返す。

でも妹さんは「ぜんぶ私の!」という捉え方なので
自分のものを取られたと思い、泣く。

妹に泣かれたお兄ちゃんが
困ってお母さんを呼ぶ。

という流れが、なんとなく思い浮かびました。


もちろん、お兄ちゃんの方が
おもちゃを独り占めしたり
ずっと貸してあげなかったり
ということもあるとは思いますが、

発達だけ考えると
理不尽な要求が多いのは
妹さんの方なのではないかな、と思いました。




上のお子さんが
「自分がされていやなことを人にしない」
「自分も人も物も傷つけない」
というルールを守って遊んでいて、

下のお子さんが、上のお子さんと一緒に遊びたいのなら

下のお子さんもそのルールを守る義務があります。

ちょっと厳しめに言えば
ルールが分からないと一緒には遊べない、ということです。
(ここは集団遊びになると、子ども同士の方がシビアです)


人が使っている物は取らない
使いたいときは「貸して」とたずねる
「いいよ」と言われたら使える
そのときまだ使っていたら、終わるまで待つ


などの一定のルールの中で初めて
子どもたちは安心して一緒に遊べるのです。

そのかわり、ルールの範囲内では
思い切り集中・没頭して、満足して終える「自由」があります。



この「一貫した制限」の中の「自由」を
子どもたち一人ひとりに伝えていくのが
大人の役割
です。


「お兄ちゃんが使っているものはとらないんだよ、違うのを使おうね」
「お兄ちゃんが終わったら貸してもらおうね、終わるまで待とうね」


などと、淡々と伝え続けることで
妹さんにルールを伝えるのはもちろんのことですが


このやり取りを聞いているお兄ちゃんの方も
「こういうときは、そういう言い方をすればいいのか」
ということを吸収して、少しずつ自分の言葉にしていきます。


間に入る大人が、子どものロールモデル(お手本)になるイメージです。



3歳以下の子どもは
自分の要求が通らないと、かんしゃくを起こすことがあります。
(妹さんの泣きも、かんしゃくの1つではないかと思います)


それでも、いくら泣いても
必要最低限の制限があるんだよ
その中で人は人と一緒に生きていくんだよ

ということを、繰り返し、根気よく
伝えていく必要があります。


かんしゃくを起こしてしまったら
そのときにどれだけ声をかけても火に油なので
泣き方が弱まってきたところで、
声をかけてみて下さい。


子どもが自分で、怒りの気持ちを落ち着けることができた

という体験も、この時期に必要なことなのです。



とは言え、
毎回毎回、ケンカのたびに大人が介入しなければならないのは
大人にとってもとても疲れることなので

そもそも、ケンカをしなくていい環境づくりを考えてみよう!
というのが次回のお話です。すでに長いのでw
(そっちの方が難しいので時間かかるかもしれません、すみません)

Q. トイレラーニング オムツ併用でも大丈夫ですか?

【ご感想・その後の経過ご報告】

前回、トイレの環境について、
台が高くて踏ん張れないことや
大人のトイレに恐怖を感じているのではないかとのご指摘をいただき、
まずは踏み台を改善してみました。

パック飲料をよく飲むので、紙パック踏み台を作成してみました。
手作りで見た目はイマイチなのですが、
大人が乗ってもぐらつかない頑丈な作りにしました。
もちろんまたがったときに両足がつくようにしました。

すると、私がなにやら工作をしているのが気になったらしく、
作っている最中から台に乗りたがり、
トイレに設置した途端、
補助便座を自分で便器に乗せてまたがったのです!!

もうなんだかそれだけで感動してしまいました。

そしてやっぱり不安定な小さな台では恐怖があったのだろうと
申し訳なく思いました。

そこから1ヶ月ほどは、こちらは特になにも言わず、
娘が興味を持ったときに座ってみる。を繰り返し、
先月2歳の誕生日を迎えた頃には、
おしっこが出てしまったときには
一度トイレに行って座る、という流れができました!!

そこからは、ちょっと漏れた後にトイレまで我慢して、座って、
残った分をチョロっと出す、というような状態が続いています。
盛大にお漏らししてしまうときもあるのですが、
パンツの時は出たことを必ず教えてくれるようになりました。

そして着替えた後、濡れたパンツは汚れ物バケツに入れてくれます。
新しいパンツを自分で選ぶことも、
足さえ入れればパンツを引き上げることもできるようになりました。
本当に次々とできるようになって感激で震えました。
あの時アドバイスをもらえて本当に良かったと深く感謝しております。


【ご相談 2歳1か月】

ここからは相談です。

家でのトイレトレーニングは
おかげさまで少しずつ進んでいるのですが、
外出時や夜間は完全にオムツです。
これをパンツにする勇気が持てません。

なぜなら、
外出先のトイレはたいてい、大人用だからです。

子ども用補助便座があっても
踏み台がないところが多く、
娘はそういったトイレは
「おかあさんのトイレだったね。」
と言って嫌がります。

子ども用のトイレも、まだ少し大きく、
乳児用のトイレのあるところは
こどもの家や保育園くらいです。


夜間は、お漏らしが怖いというより
朝までぐっすり眠らせてあげたいのです…
夜中にパンツにしたら
急に泣き叫んで起きるようになってしまい、
そんなに負担になるならとオムツにしたところ、
朝までぐっすり眠ってくれたので…
まだ時機ではない、と思っていいのでしょうか。

娘は
「オムツならおしっこうんちをしても大丈夫だ」
と思っているような節があります。
例えば、パンツを喜んで履いていたのに、
お漏らしが数回続くと「オムツが良い」と言い出したり、
うんちをしたいときには、オムツを履きたがります。


パンツ自体は大好きで、
「オムツいらなかった(彼女は嫌なときこういう言い回しをします)。
 パンツにする」
ということの方が多いのですが、、、

外出先でオムツをすることで、
オムツの方が楽だと思ってしまうのではないかと不安です。

いつもトイレの話ばかりで恐縮ですが、何かアドバイスをいただけたら幸いです。




【回答】

お子様の発達【だけ】考慮すれば
ずっとパンツで過ごすのが理想的です。

ご質問にもありますように

オムツをしている方が濡れないし、服も汚れないし、
今の時期だったら寒い思いもしない
遊んでいても中断されない

という都合のよさを、
お子さん自身が感覚で分かってくる時期だからです。
(そうすると、ご質問者様が不安に感じているように
 自分でオムツを選んできたりします)


そもそも、モンテッソーリでパンツの使用をすすめているのは

「子どもが濡れたことに自分で気づいて着替える」
→「濡れる前にトイレに行く」
という排泄の自立を促すため
なので

そこにどうやったら近づけるか、
という考え方をしてみましょう。


ここからは、モンテッソーリにヒントをもらった
私個人の提案です。
モンテッソーリ的に正解かどうかは分かりませんが
目指すところと現実の間を取る形でのご提案です)


・パンツの上にオムツをはく重ね着スタイル
・オムツの、非常用トイレとしての使用


この2点を提案します。


今、オムツを限定的に使用しているのは

①外出時
②排便時
③就寝時
④おもらしが続いたあと

ということですので、それぞれの場面ごとに考えてみます。



①外出時、子どもの足がつくトイレがない場合

(デパートや施設の方が読んでいらしたら、ぜひ踏み台の設置をお願いします)


まず、パンツの上に紙おむつをはいて外出します。

こうすることで、万が一漏らしても
その被害をパンツだけにとどめることができ、
子どもも「濡れて気持ち悪い、着替えたい」
という感覚を得ることができます。


漏らす前に、子どもが
「おしっこしたい」と教えてくれたら
もちろんトイレに連れていきますが、

そこに踏み台がない場合は、

子ども用便座を置き、その上に座らせて
靴を脱がせ、

大人(自分)の両脚に、子どもの足を乗せて
大人が踏み台代わりになります。
(トイレに向かい合う形で大人が座っている状態)


「おかあさんが踏み台になるから大丈夫だよ」

ということを伝えて
安心して排泄できる環境をつくる努力を一度してみます。


それでも怖くてできなかったら
オムツを非常用トイレとして使います。

オムツだけをはいて
オムツの中に排泄してもらい
そのあとすぐ、きれいなパンツとオムツにはき替えます。


お尻がきれいな状態が気持ちいい

という感覚を、子どもに持ってもらうためです。


そして
オムツは、非常用トイレのようなもの
という認識を
子どもにも持ってもらう
ようにします。


これは

②排便のとき
④おもらしが続いた後

だけオムツにしたがる場合も有効だと予想しています。


「うんちだけオムツにしたがる」のは
排便が排尿よりも難しいから。


おしっこの方がウンチより出しやすいですし、
排泄回数が多い分、練習回数も増えるので
おしっこの排泄を先に覚えるお子さんが大半です。


きばる、ふんばるというのは、
大人が思っているより
子どもには難しいのだと思います。


それでも、
お尻がきれいな状態が気持ちいい
ということをお子さんが身体で覚える
ことで

オムツに排泄したのに、そのまま黙って過ごしている
というような、トイレラーニングの進みが後退する状態は
避けられると思います。


排泄物をぶらさげたまま過ごすというのは
よく考えたら、なかなかの汚さです。
いくら今のオムツの性能がよくて、外には漏れないとしても
オムツの中で、おしっこの雑菌を繫殖させているようなものです。


全動物界を見渡しても
そんなことをしてるのは人間くらいです^^;
(自然界で自分の排せつ物のそばにいたら
 匂いで嗅ぎつけられてやられてしまうので)


そのようなことも鑑みて、
起きているときに、一時的にオムツをしたがる場合は
「じゃあパンツとオムツと一緒にはこうね」
と誘い、

濡れる感覚を味わい、濡れたら着替える
ということだけはできるように
しておくのがベターなのではないか
というのが、私個人の考えです。



③就寝時

に関しても、オムツをはくことでお子さんが安心して眠れるのであれば
この二重履きを試す価値はあるかなと思います。


ご質問の文章からは、
オムツをはいて寝た場合でも、起きるまでおしっこは出ていないのか、
それとも起きたときにはオムツがパンパンになっているのか
わからなかったのですが

もし出ていないのなら、
安心材料として上からオムツをはく

出ているのなら、
濡れたと感じたら、起きて着替えれば大丈夫だよ
と言うことを伝え続けてサポートする
(実際、このやり方だとパンツしか濡れないので、ズボンや布団が全部濡れてイヤだ、というところは避けられます)


という感じで、
「オムツにしておけば、濡れないし安心」
ということを子どもが感じ取らないよう、
子どもが自らオムツを選ばないような環境づくりをして
様子を見ます。



この「パンツとオムツの二重履き」が
ベストアンサーかどうかは
答えている私自身も迷うところではあるのですが、

あくまでも妥協策であり、
理想と現実の間をとった案であるということを
ご理解いただければと思います。



大人の方が、
オムツはあくまでも非常用
という発想でいると
子どももそれを感じ取って

緊急時には、オムツで対応するけど
あとはパンツで過ごす
というトイレラーニングが進められるのかなと思います。




で、ここからは
もし、親御さんがイヤでなければ
のご提案なんですが、




おとながトイレで排泄する見本を
子どもに示す

というのも1つの手です。


要するに、自分がおしっこやうんちをするのを
子どもに見せるってことなんですが…





えぇーーーーーーーーーーーーーーーーーー





って感じだと思いますw

が、


この時期の
「ママ/パパがしていることを自分もしたい!」
という強い気持ちは、ほんとに侮れないので

もし大好きなお母さんやお父さんが
トイレでおしっこやうんちをしているところを一目見たなら


「私も!自分で!」


という気持ちがまた芽生えて
不安な気持ちに打ち勝つ可能性が高いのもまた事実なのです。


そして、
「人はトイレでおしっこウンチをするのが
 自然なことなんだな」
ということを無意識に吸収して
トイレでの排泄に対する抵抗心が薄れていきます。


なので、こんな突拍子もない提案をさせて頂きました。
(抵抗があったら無理にとはいいませんw)



あとは、絵本で楽しく排泄の世界を知るというのも
1つの手かなと思います。
(こっちの方が、現実的な提案ですね。笑)


今、うちの園で大人気なのは
この絵本↓です。



親御さんもお子さんも、双方が笑顔でトイレラーニングを進めていけますよう、お祈りしています。

Q. トイレラーニング中の子どもが、トイレ以外の決まった場所でおもらしするように

*以前、コメント欄に頂いたご質問とその答えを再掲載しております。
(次の質問につながるため)


【ご相談 1歳8ヶ月 女の子】

今トイレットラーニング中の1歳8ヶ月の娘がいます。
1歳3ヶ月から時々パンツ着用していますが、
最近自分からパンツを選ぶようになってきました。
(本当はパンツとオムツの併用は良くないのだとは思いますが、、、)

ところが最近トイレに誘うと逃げ出すようになり、
決まった場所(リビングのテレビの前かキッズスペースの隅)
に行って漏らします。

ここでする!と決めているように思えます。

トイレの便座に座ることは厭わないのですが、
座っているときは絶対出しませんし、
出そうなときは逃げます。

これはもう諦めて、
おまるをいつもする場所に設置してあげたほうが良いのでしょうか、、、。



【回答】

いつも漏らす場所におまるを設置する前に、
このような行動に出る原因を探してみます。


ご質問から想像するに
大人用のトイレに座らせているのかなと思ったので、
そう仮定してお答えしますと
(もし全く見当違いでしたらすみません)


1歳8ヶ月のお子さんには、
大人用のトイレはとても高くて、もしかしたら怖いのかもしれません。
または、足がつかないため、ふんばるのが難しいのかもしれないです。


これを解決するには、
トイレに踏み台(スツール)を置くか、
おまるをトイレの近くに置くことで
お子さんが自分で座れて、
足をつけてふんばることができるようになります。


「ここ(リビング)はおしっこする所じゃないよ
 トイレでしようね」

とお子さんに伝えるのと併せてやってみて頂いて
それでもリビングに逃げるようであれば、
最終手段としてリビングにおまるを持っていきます。
でもあくまでも最終手段です。


ちなみに今勤務している園では、イケアのおまるを使用しています。
全然出ないのに30分おきに座りに来るお子さんもいて、
何ともほほえましいです。


トイレ用の踏み台も、
今はいろいろいいものがあるようです。


お子さんに合うもの
=お子さんが自分でトイレに座れるもの

を見つけられると
トイレ以外のところで排泄するという
大人から見たら謎の行動も
もしかしたら減っていくかもしれません。

お子さんにとって
魅力的なトイレ環境が作れますように。




Q. トイレラーニングと着替えのサポートのしかたについて

【ご相談  2歳4ヶ月 女の子】

こどもがお人形の服を脱がせて
おしっこさせているのを見て、
この春からトレーニングしようとしていたのを
寒い冬に前倒しで始めました。
服の着脱は、手伝ってやっとできる程度です。
この順番は大丈夫なのかな と思っています。

保育園に通った3ヶ月間(1歳10ヶ月から2歳)は、
お友達に触発されたのか
服を「自分で(着る)、自分で(脱ぐ)」
と言っていたのですが、

(引越で再び待機児童となった)今はそれもなくなり
靴や靴下も履かせて〜という感じです。

どういう対応をするとスムーズに自立していくのかなと思ってます。



【回答】

トイレラーニングと
着替えの自立をスムーズに進めるためには
【物の環境】をもう一度、見直してみる必要があります。


見直しポイント① 衣服

以前も衣服の選び方について触れましたが、
montessorilover.hatenadiary.jp


トイレラーニングの時期、衣服は
「子どもの自立をサポートする物の環境」の中でも
特に大切なもののひとつです。


衣服の中でも特に、
ズボンの選び方が重要になります。


2歳児のお子さんでも、自分で着脱できるズボン
という目線で見直すのは


サイズ(小さくないか)
(ピタピタのスキニーより、ゆったりしたタイプ)
素材(よく伸びるもの)
留め具(ない方がベター)


です。

もっと具体的には
脱ぐとき:腰まで下ろしたら、あとはストン!と落ちる
はくとき:両足を入れたらスッと腰まであげられる
ズボンがベストです。


このような目線で選んだズボンとパンツを
トイレラーニングの時期は、
いつもより多めに用意しておくと
お洗濯が間に合います。


もし余裕があれば
ズボンやパンツの前後ろが分かるように
前に印をつけておく
さらに大人の口や手が必要なくなります。



コメント欄で教えて頂いた
無印のズボンや
楽天の関西ベビーというお店にあるズボンがおすすめのようなので
そちらもぜひ参考にしてみて下さい。

www.muji.net


(↑クリックするとお店のHPに飛びます)



見直しポイント② お着替えの場所


低い棚やカラーボックスを
子ども用のクローゼットにして
もしくは高い棚の下の段を
子ども服置き場にして

選んだ服を置いておくと、
「子どもが自分で選んで着替える」環境を作ることができます。


ポイントは

・パッと見てどの服がどこにあるか、視覚で分かるようにディスプレイする
(ハンガーやフックにかける
 またはカゴに入れるなどの見せる収納、
 引き出しならアイテムの写真や絵をつける など)

・服の選択肢は、1つのアイテムにつき、3〜4枚
(残りは洗い替え用に別のところにしまっておき、
 子どもに見えるところは常に3〜4枚)


です。

さらに、子ども用の椅子があると
特にズボンとパンツの着脱は楽です。



「montessori wardrobe」、「子ども カラーボックス」
などのワードで画像検索↓すると
素敵な子ども用クローゼットの画像がいろいろでてきますので、一度ご覧になってみて下さい。

www.google.com


www.google.comwww.google.com





トイレラーニングの時期は
トイレやおまるの近くに

・ズボンとパンツを入れた引き出しやカゴ
・子どもサイズのイス
・汚れ物を入れる蓋つきのバケツ

を用意しておくと

子どもの着替えの「自分で!」を
よりサポートすることができます。


これも

モンテッソーリ トイレラーニング 

で画像検索すると
参考になる画像がたくさん出てきます。

www.google.com




見直しポイント③大人の手伝い方

この記事↓
montessorilover.hatenadiary.jp
でも詳しく書きましたが

「できないところを手伝って
 子どもと協力して行い
 子どもが自分でできたと感じさせる」
ような手伝い方がベストです。


ズボンをはいたときに
前はあげられても、お尻がひっかかった!
できない!やって!
となったら、

前を子ども、後ろを大人が持って
せーので持ち上げる
→はけた!


というような

子どもとのコラボレーション(共同作業)

を描いてお手伝いしてみて下さい。



お子さんが「やって~」と
最初から甘えてきたときには、

全部やってあげると子どもが何もしなくなってしまい、
逆に子どもに丸投げするとかんしゃくを起こしてしまう
という極端な結果になりがちなので、


その間を取って

「一緒にやろうね」と声をかけて
「できないところだけ見極めてお手伝い」
→徐々にお手伝いの部分が減って、
最終的に自分一人でできるようになった

を目指してみて頂ければと思います。


着替えがまだひとりでできないから
トイレラーニングは早い

という発想ではなく、

トイレラーニングも含めて
着替えの練習中

というポジティブな発想で
毎日のお着替えとトイレラーニングを
サポートしていただけたらと思います。


今後、トイレラーニングを進めていくうえで
また何か困ったことがありましたら
ご質問をお寄せください。
(こちらの記事↓のコメント欄にお願いします)

montessorilover.hatenadiary.jp