モンテッソーリ教師が里親になって気づいた、たった1つの大切なこと ~愛着関係の築き直し~

愛着関係さえしっかり作れていれば、それ以外のことはどうにかなる。モンテッソーリ教師でもある筆者の気づきに至った経緯やそこから派生する学びを綴っていきます。

里子という存在をもう一度見つめ直す。社会的養護下にある子ども特有の経験とは

里親側の自己観察を終えたところで、
今度は里子側の観察に移ります。
その前に、里子を含めた社会的養護下の子どもたちの
背景について綴りたいと思います。


社会的養護下にある子ども、
すなわち養護施設や里親家庭などで育つ子どもたちは、
家庭で育つ子どもたちとは異なる特有の経験をします。

これらの経験は、彼らの発達、感情、社会的スキルに大きな影響を与えることがあります。
以下に、社会的養護下にある子どもたちの特有の経験についていくつか挙げて説明します。

1. 愛着の問題

社会的養護下にある子どもたちは、しばしば複数の養護者と関わることが多く、
安定した愛着関係を築くことが難しい場合があります
これにより、愛着の問題が生じることがあります。

不安定な愛着: 養護者が安定しない場合、子どもが不安定な愛着を形成することがあります。
信頼感の欠如: 一貫したケアを受けられないことから、大人に対する信頼感が欠如することがあります。

2. トラウマとストレス

社会的養護下にある子どもたちは、
家庭内の虐待やネグレクト、親の喪失など、トラウマとなる経験をしていることが多いです。

トラウマの影響: 過去のトラウマが、子どもの行動や感情に深刻な影響を与えることがあります。
例えば同じ行動をしても、この時は怒鳴られた、別の時は何の反応もなかったという一貫性のない体験により、
自分自身の感情に自信が持てなくなることがあります。
ストレス反応: 高いストレスレベルが持続することで、感情調整や行動制御が困難になることがあります。

3. アイデンティティの形成

子どもたちは、自分の出自や家庭環境に関する複雑な感情を抱くことが多く、
自分のアイデンティティを形成する過程で困難を感じることがあります。

自尊感情の低下: 自分が施設や里親家庭で育っていることに対する否定的な感情が、自尊感情の低下を引き起こすことがあります。
出自に関する質問: 自分の出自や生物学的な家族についての質問が多くなり、その答えを見つけることが難しい場合があります。

4. 教育と学業の課題

社会的養護下にある子どもたちは、学業面で困難を抱えることが多いです。

学習の遅れ: 頻繁な転校や不安定な家庭環境が、学習の継続性に影響を与えることがあります。
特別な支援の必要性: 多くの子どもが特別な教育支援を必要とする場合があります。

5. 社会的スキルと人間関係

社会的養護下にある子どもたちは、人間関係の構築や維持において特有の課題を抱えることがあります。

信頼関係の構築: 新しい人間関係を築くことに不安を感じることが多いです。
人間関係の不安定さ: 一貫した人間関係を持つことが難しく、人間関係が不安定になることがあります。

6. サポートの必要性

社会的養護下にある子どもたちは、特別なサポートを必要とすることが多いです。

心理的サポート: トラウマやストレスに対処するためのカウンセリングや心理療法が必要です。
教育的サポート: 学業面での遅れを取り戻すための個別指導や特別な支援が求められます。

まとめ

社会的養護下にある子どもたちは、家庭で育つ子どもたちとは異なる特有の経験をします。
これらの経験は彼らの発達、感情、社会的スキルに大きな影響を与えるため、適切なサポートと理解が重要です。
親や教師、社会福祉関係者がこれらの課題を理解し、適切な支援を提供することが、子どもたちの健全な成長と発展に不可欠です。


里親研修でもこのような話は出てきましたので
全く知らないわけではありませんでしたが、
やはり改めてまとめてみると、
中々のしんどさを抱えた子どもを育てようとしていることは間違いありません。

このような難しい状況の中で
希望の光を見つけました。
それが「子どものレジリエンスを信じる」という話です。(続く)