モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

6ヶ月~4歳頃 秩序の敏感期

を知ったときの納得度は、かなりのものでした。
それまで、訳分からないとしか思えなかった小さな子たちのこだわりは、これが背景にあるのか…!と。

その特徴を、あかねの思い出と絡めつつ綴ってみます。

・2歳1ヶ月女の子Aちゃん。
朝の登園のときからグズグズ、お母さんに抱っこ。

母「すみません、今日はいつも来る道が工事中で…回り道したら、これです(苦笑)」
先生たち「あぁ~(納得)」


・2歳4ヶ月の女の子Bちゃん。
お弁当の時間に、その子のスプーンとフォークのセットが見つからず、

私「Bちゃん、今日はあかねのスプーンで食べようか」(と持ってくる)
B「……(への字口で無言)」

しばらく食べずにいて、そのうちシクシク泣き出しました。

どうしよう~困ったな~、と思っていたらもう一人の先生がリュックの中に落ちていたBちゃんのスプーンセットを見つけてくれました!

私「ごめんねBちゃん、あったよ!」

シクシク泣きながらも、ようやく食べ始めたBちゃん。ホッとひと安心。
(…ちゃんと探せよ、って話ですね我ながら。申し訳ないです)


・3歳になりたての年少さんCくんと、そのお兄ちゃんの年長さんDくん。
ある日、二人のお箸セットが逆に入っていたことがあり…

「もー!なんでだよ!なんでまちがえるんだよ!」

と半べそで地団駄踏んで怒る弟Cくんと対照的に、
兄のDくん
「しょーがないじゃん、お母さんだって忙しいんだよ」

・1歳8ヶ月女の子Eちゃん。
お昼寝のとき、いつもはすんなり眠りにつくのに、何だか落ち着かずモゾモゾ眠れない様子。しまいには泣き出しました。しかも割と大きな声で。他の子が起きてしまう…汗
(でも、今日に限って何でかな?)と思ったとき、ふと布団の位置がいつもと違うことに気づきました。
といってもほんの15~20cmほどの差です。普段は布団の端っこが家具にくっついているのに、この日は離れていたという程度の差。

私「Eちゃん、ちょっと1回起きてくれる?お布団直すから」

と布団をいつもの位置に戻したら、あっという間に眠りにつきました。


…とまぁ、例を挙げればキリがないのでまとめてみますと、

特徴:
生活の中の
・場所
・順序
・持ち物(これは誰のもの、という持ち主と持ち物の関係)
などの秩序に強い感受性を示す。
【いつも同じ】ことを求める。
秩序が崩れることを強く嫌がり、泣いたり怒ったりする。

時期:
生後6ヶ月頃から表れ、2~3歳がピーク。
4歳を過ぎた頃から徐々に落ち着いてくる。


上の兄弟の例で、お箸が入れ替わっていたという同じ事柄に対してお兄ちゃんは平気だったのは、お兄ちゃんの秩序の敏感期はもう過ぎていたからです。

しかしなんでこの時期だけ、こんなにも強く秩序に反応するんでしょうか。

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大人と違って、生まれてまもない子どもは、体験したことがないことがほとんどです。
勝手が全く分からない、未体験の世界の中で心のより所になるのが、ものの場所や順序、持ち物などの秩序が整っているということ、
【いつも同じ】であることです。

【いつも同じ】ことで子どもが得られるのは【安心感】。

安心感をベースに、自分の行動範囲やできることを少しずつ広げていきたいのがこの時期です。
なので頼りにしていた秩序が乱れると、とたんに不安になり、大きなストレスを感じるのです。大人から見たら小さなことでも。

秩序は子どもに世界を教えてくれる道しるべのようなものです。秩序があることで、子どもは少しずつ周りのことが分かり、世界を広げていくことができるのです。

秩序を元に体験が増えて世界が広がると、今度はその自分の体験を頼りに新しいことにチャレンジできるので、その頃には秩序に対する感受性は消えてなくなります。


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大人でも、普段は意識しませんが、【いつも同じ】であることが安心をもたらすんだなと感じたことが。

私はこの4月からの半年で2回引っ越しをしたのですが、予想以上にストレスを感じ、2回目の引っ越し後には体調を崩してしまうほど疲れました。

スーパーはどこ?から始まり、病院は?薬局は?100円ショップは?雑貨屋さんは?
燃えるゴミの日はいつ?分別ゴミはいつどこに捨てられるの?大型ごみの捨て方は?
駅までの道はどう繋がっているのか、どの沿線がどう繋がっているのか、ここにはどうやって行けばいいの、、、(涙目)

勝手が全く分からない環境の中で、それこそ体験を重ねて重ねて何とか今は落ち着きましたが、これって大人でもストレスなんだな~と思わされました。頭では分かっているつもりでも。

感情を言葉で表せない小さな子どもだったらなおさらだろうな…と、ここにきてなぜか秩序の敏感期の子どもの気持ちを疑似体験するハメに、笑。いや、結果よかったんですけどね。


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大人側が秩序の敏感期のことを知っておくことで、
単なるこだわりやワガママだと思っていたことが実は…と気づくことができます。

ほんと、知らないと単なるこだわりにしか見えないんですよね。
スプーンなんてどれでも一緒でしょ!って、知らなかったら言ってしまいそうな。 
(うちの子、こんな小さなことにこだわって…大丈夫かな)
と心配になってみたり。
もしくは、ワガママだと思って怒ってしまったり。

でも秩序の敏感期がかんしゃくや大泣きの背景にある場合は、心配しなくてもいい、怒らなくてもいいと思えるだけでだいぶ楽です。

さらに、秩序の敏感期を見極められると、かんしゃくや大泣きの原因にも気づきやすくなり、それを取り除けるように。
(布団の例では気づくのにちょっと時間がかかりましたが、汗)

状況によってどうしても秩序が保てない場合でも、
「~がイヤなんだよね、そうだよね、イヤだよね」
と子どもの気持ちを受け止めて代わりに言葉にしてあげるだけで、子どももだいぶ落ち着きます。

このあたりが、大人が楽になるポイントかな、と思います。