モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

0〜3歳と3〜6歳の違いって何?

という質問を、0〜3コースの同級生からされて、
即答できずに(苦笑)あれこれ考えながら話しているうちに、
ひとつ私の中で明確になったことを
今回は書き記します。


大きな違いは「意識の差」と「他人への関心度」。


0〜3歳は、まず、無意識的です。

より正確には、無意識の状態から
行動の中に少しずつ「意図」が出てきます。
でもそれは、意識と呼ぶにはまだ弱いものです。
フォーカスが当たるのは「すぐ目の前のこと」です。
だから、次から次へと興味が移ります。
今さわっていたものを放り出して、次のものに向かいます。興味が移ってしまえば、今やっていたことを、もう次の瞬間には忘れてしまっています。

以前にも書きましたが
(そして大切なポイントなので今後も何度でも書きますが)
とても自己中心的な時期です。

無意識の中から湧き出てくる意図は、
全て自分本位のものであり、
他人のためのものではありません。

自分が興味を惹かれたから、する。
他の人が使っていようが、他の人のものだろうが、そんなことはおかまいなく、私がやりたいことをしようとする。

これは脳の発達によるもので、性格が悪いとか、そういうことではないのです。
生まれ持った気質によって現れ方の違いはあれど、2歳半〜3歳過ぎ頃までは、全ての子どもが「自分が中心」です。
「人の気持ち」の存在に、まだ気づいていないのです。

一見「人のため」に見える行動も、
たまたま自分がやりたいことが、他人の喜ぶことと重なっただけであり、
「この人のために何かしよう」という純粋な他人への貢献の気持ちは
もう少しあとに出てきます。


このような、自己中心的かつ意図的な行動の積み重ねから
だんだんと強い意識が出てきます。


これが、3〜6歳の特徴「意識的」です。

より具体的には、3歳より少し前、2歳半頃から、
「これをやろう!」「これがやりたい!」という強い意識が湧き出てきます。

そのときに、ちょうどよい道具や適切な手助けさえあれば、
自分でやると決めたことを
どうやろうか考えながら、進めていくことができます。
それまでの体験にもよりますが、
最後までやりきる力もついてきています。

そして最後までやりきることができたら、
この体験を土台に、次の新しいことにもチャレンジできるようになっていきます。

さらに、脳の発達が進むことで
他の人の気持ち、というところにも
意識が向くようになります。

純粋に「人の気持ち」を感じたり、「人のため」に行動したりできるようになってくるのは、
3歳をだいぶ過ぎてから、多くは4歳前後です。


この違いをふまえた上で、
子どもの同じ行動に対する、大人の対応の違いを考えてみると、

例えば、おもちゃを取り合って、他の子どもを叩いてしまったとき。

すべての子どもに共通するのは、
「使いたかったの?」
と、まずその子の気持ちに共感すること。
言葉が拙い時期の子どもなら、自分の気持ちを再認識して、言語化することにもつながります。

その上で、0〜3歳の子どもだったら
「○○くん、取られたら泣いちゃったね。イヤだったんだね」
と、見えている事実と、相手の気持ちも代弁して伝えます。
人の気持ちにはまだ気づいていませんが、
だからこそ、その存在を知らせ続ける必要があります。

そして
「人は叩かないよ」
「『貸して』って、言葉で伝えようね」
というシンプルなルールのみを、繰り返し伝えます。


この体験を積み重ねた3〜6歳の子どもであれば
「どうして取ったらいけないんだっけ」
「どうすればよかったと思う?」
という問いかけが、ここで初めて有効になります。

それまでの体験と脳の発達度により
「自分が使っているものを急に取られたらイヤな気持ちになる」
「今、目の前の相手がそのイヤな気持ちになっている」
「急に取る代わりに、どうしたらいいか」
が分かってきているからです。

この問いかけは、3歳前の子どもには、ほぼ無効です。何度でも書きますが、脳の発達によって「自己中心的」なのが自然な時期だからです。
だから見えている事実と、シンプルなルールだけを、いつも新鮮に何度でも繰り返し伝える必要があります。

(もし、3歳までにこの体験が乏しければ、3歳を過ぎていてもここから始める必要があるかもしれません。)


こういうことを私たち大人が知っておくのは
子どもにはもちろん、
私たち大人にとっても大きな助けになります。

知らないが故に
争わなくていいところで争って疲弊することが
だいぶ減らせるからです。

もちろん、分かっていてもできないときはあるのは、重々承知の上ですが
それでも「子どもの発達の順番や、その違いを知る」ことは、助かることのほうが多いと私は感じています。

(そして個人的には、「分かっていてもできない!」というときは、子どもとの直接的な関係ではなく、大人が別のところで満たされていない原因があることが多いように思えます。)


私は3〜6歳を学んでから、今回の0〜3歳を学んだので
3〜6歳の知識だけで、いろいろ理不尽なことを0〜3歳の子にしてしまっていたなぁ、、、
と反省は尽きません。

そして「0〜3歳と3〜6歳の違いって何?」と尋ねてくれた、0〜3歳を先に学んでいる同級生が、少し羨ましくもあります。

もっとも、その同級生も、自身の子育てのときは知らなかったから、もっと早く知っていれば、、、という思いはあるようです。

だからやっぱり、知ることは大切で、知った時点でそこから少しずつでも行動に反映させていこうとすることは大切なんだなあと思います。


明日から教育実習なので、今書いたことも含めて、いろいろなことを子どもに教えてもらおうと思います。
(緊張で寝られないのですがとりあえず早く寝ましょう)