モンテッソーリ教師が里親になって気づいた、たった1つの大切なこと ~愛着関係の築き直し~

愛着関係さえしっかり作れていれば、それ以外のことはどうにかなる。モンテッソーリ教師でもある筆者の気づきに至った経緯やそこから派生する学びを綴っていきます。

デジタル時代の子どもたち

学童期の学びのところで
「できるだけ五感を使った体験を通して
疑問を持てるように」
ということを書きました。
そこに関連して、子どもにデジタル機器、いわゆるスマホiPad、パソコンなどを使わせるのは、いつからがよいのか、という話。


という議論になると私が決まって持ち出す(笑)のがこちら↓

スティーブ・ジョブズが自分の子どもにiPhoneやiPadを使わせなかったわけ


iPhoneiPadをつくった本人の言うことだからか
妙な説得力があるのです、私にとっては。


ここに子どもの発達の順序や法則を裏づけることで
もう一歩深く考えられるのかなと。



乳幼児期(0~6歳)は、五感(さわる、見る、聴く、匂いを嗅ぐ、味わう)を通して生まれてきた世界を知り、身体の機能、脳、精神面を発達させながら生活に適応する時期。
各種敏感期(感覚、運動、秩序、言語など)も発達・適応のための強化期間のようなものです。

学童期(6~12歳)は、五感を通した体験に基づく疑問から学ぶ時期でもあり、主に友達との関わりのの中で社会性やルール、コミュニケーション能力を学ぶ時期でもあり、安定した健全な身体と心を育てる時期でもあります。


言語、コミュニケーション能力に関して、NHK スペシャルで見た面白い実験をご紹介します。ちょっとうろ覚えなのが危ういですが(^^;


(以下実験内容)
アメリカ人の赤ちゃんに、テレビを見せます。画面では中国人が中国語で話していて、赤ちゃんはそれをじぃっと見ています。周りからは、すごく集中しているように見えます。

このときの赤ちゃんの脳の動きを調べると
言語を司る脳の領域が、ほとんど働いていないことが分かりました。

今度は、テレビの中で話していた中国人が赤ちゃんの前に表れて、直接話しかけます。

そのとたん、赤ちゃんの言語領域の脳が活発に働きだしたのが計測(観測?)されました。

その後、①テレビから中国語で話しかけられる体験を重ねた赤ちゃんと、②生身の人間から直接話しかけられる体験を重ねた赤ちゃんを比べたところ、

中国語の微妙な発音やイントネーションを聞き分けようとしたり、発しようとする力が①の赤ちゃんはさほど発達しなかったのに対して、②の赤ちゃんは著しく発達しました。


この実験では、
人の言語領域の脳は、テレビを通しては発達せず、生身の人間とのコミュニケーションの中で発達する
と結論づけています。
(実験紹介終わり)


言語だけでなく、運動能力も、感覚を研ぎ澄ます力も、実体験、実際に運動器官や感覚器官を使うことでのみ発達するものだよな~
と、この実験結果を見て改めて感じた次第です。


ということをふまえて改めてデジタル機器使用を考えてみると、

五感の中で使われるのは視角と聴覚のみ、
運動の機会は減り、
言葉を交わす機会も減る。

これを学童期までの生活に無制限に取り入れるのは
自然本来の発達から見たら、失うものの方が大きいと感じます。


「いずれ使うものだから早めに」
という意見もよく見かけますが、

身体や脳や心の発達時期に旬があって
そこを逃すことの恐さを考えたら

「いずれ使うなら、ある程度成長してからでも遅くない。だって私たち大人も、大人になってから使いだして適応できているから」

と感じるのは私だけでしょうか。


そして「分別があるはずの大人でも中毒になる」ことを思うと、、、


デジタル時代の創始者が、アナログを通して育ち、子どもとの関わりもアナログだったことにどんな意味があるのか、もう一度考えてみて頂ければ幸いです。