Q. 子どもがこちらの動き方を見てくれません 0-3歳の場合
<ご質問>
【2歳8か月 女の子 動作の見せ方がうまくいきません】
服を着る際に、ボタン留めを「自分でやる!」と挑戦するのですが
はじめに、私がゆ~っくりお手本を見せても、本人は全く見ていません。
本に載っていた、ボタンをはめるとおにぎりの形になるものを
練習用に作ってみましたが、
それには興味なく、実際の衣服でやりたがります。
服のボタンも大きめですが、なかなかうまくできません。
本では「ゆっくりみせるとじっと見てくれる」とありましたが
うちの子の場合、全く見ないので
他の子はどうなんだろう?
私の見せ方が違うのかな?
と疑問に感じています。
半年程前にハンカチをたたむ時も同様でお手本は見ないで、
自分のやりたいようにぐちゃっとたたんでおわりました。
(今は裏表は逆の時もありますが、前よりは少し上手にたたみます)
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<お答え>
0-3歳の子どもに動きを見せる際のキーワードは
「一緒に」「コラボレーション」
です。
0-3歳の子どもにとっては、3歳以降の子どものように
「動きをじっと見る」「見て自分の番を待つ」のはむずかしい
というのが、実際の姿です。
もっと具体的に言えば、
見ていられない
待てない
早く自分がやりたい
でもいざやってみるとできない!キー!!!
というのは、0-3歳のお子さんには本当によくあることです。
なので、その点から言いますと、
質問者様のお子さんだけが見ることができないのではなく
ごく自然な、当たり前の姿と言えます。
(多くのモンテッソーリ本に書かれていることは3歳-6歳のお子さんに当てはまることが多く、
もし0-3歳の本で「ゆっくりして見せれば、じっと見る」と書かれているのであれば
とても残念なことですが現場体験不足もしくは机上の空論だと思わざるを得ません)
そして、質問者様のお子さんに関してもう少しつっこんで言えば
このお子さんは
「自分でやりたい」意欲が強く表に出るタイプの子だということが
ご質問の文脈全体から伝わってきます。
ここで、さきほどの
「一緒にやる」「コラボレーション」
というキーワードが活きてきます。
例えばお洋服のボタンの留めはずしがしたいのであれば
まずは子どもにやらせてみる(やりたい子なので)
→大人は子どもが試行錯誤する姿を見守りつつ、どの動作が難しいのかを分析する
→子どもが「できない!」と大人の方を見てきたら
そこで「手伝っていい?」とたずねるor「『手伝って』って言うんだよ」と伝える
→OKならできない部分をそっと手伝う
(例:ボタンホールにボタンを通すところだけ見せて、半分通ったボタンを引っ張るのは子どもがする)
→NGならまた見守る
という細かい繰り返しを経て、
最終的に「(一緒に)できた!」
となればOKです。
子どもの「自分で!」を見守りつつ
何がどう難しいのかを分析して
どこに手を貸せばできそうかを考えながら手伝う
というのを心がけていると
最初はうまくいかなくても
だんだんコツがつかめるようになってきます。
ハンカチを畳むのとは違い
ボタンの留めはずしは、できたかできてないかが
子どもにもよくわかる作業工程で
「できた!」=小さな成功体験のひとつとなります。
少し話が逸れますが、
どんなに小さな子どもでも
【本物】が好きです。
そして【目的のある活動】が好きです。
ボタン留めに関していえば
ボタンで留めるおもちゃより
(作られたお母さまの愛情と努力には敬意を示します。無駄ではないです絶対に)
【本物】の洋服を選ぶということ、
そしてボタンを留めて、着替えを自分でするという【目的のある活動】。
これもごく、自然な姿です。
質問者様のお子さんは自ら
本物を使った、目的のある活動を
自分で成し遂げる
という自然からの宿題に取り組んでいる真っ最中です。
より、ボタン留めをしやすくするには
お子さん本人が着ているものよりも
服を平らに置いた状態で
もしくは別の人が着ているものを対面で
練習するといいかもしれません。
作業工程がよりよく見えるので
自分の指の動きと、ボタン、ボタンホールの関係が
よくわかるからです。
例えばお母さんが、大きめのボタンがついた服を着て
それをお子さんに留めてもらう
なんてすると、少しお手伝いの要素も加わり
【自分のしたことが、人のためになった!】
という貢献感も得られるかもしれません。
長くなりましたが、
今回のご質問に対する一番のキーワードは
【0-3歳の子どもには「して見せる」より「共同作業」を目指す】
です。
また何かありましたら、ご質問ご意見お待ちしております^^