モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

どう手を使う 0~3歳の無意識的吸収期

前回の続き、
【手を使う旬の時期、0~5歳半頃に、どう手を使うか】
についてです。


0~3歳の無意識的吸収期と、
3~6歳の意識的吸収期で
手の使い方が違うな~と感じるので、

まずは前半の3歳頃までについて。

この時期の子どもはみんな、それこそ無意識に、生活の節々で手を使おうと環境に働きかけています。そして実際に繰り返し使っています。

その片鱗が見える場面がコチラ↓


・ティッシュを全部引っ張り出す Σ(°Д°)ヤラレタ
・トイレットペーパーも全部引っ張り出す( ノД`)オーマイガッ
・シャンプーのポンプを、空っぽになるまで何度も押す(よりによって高いやつ…)
・DVDデッキに紙やらゴミやら詰める(壊れるから)
・コンセントの穴にもいろいろ詰める(感電するから!ほんと危ないから)
・排水溝の隙間に小石を落とし続ける(詰まるから…)
・引き出しの中身を全部出す(…誰がたたむのこの服)
・本棚や手の届く高さの棚の中のものも全部出す(誰が片づけるの…)
・バッグや化粧ポーチももれなく狙い、中身を出す
・口紅なんて見つけた日には大変、ふたを開け、くるくる回して、あら何か色がついた…壁や床にぐーるぐる♪(大惨事)
・ボールペンやマジックでも壁や床にぐーるぐる♪(よりによって油性…)
・水道の蛇口を開けたり閉めたり (ひねれるようになったと思ったら!)



…いたずらやないかい!(°Д°)(°Д°)(°Д°)ウガー

そう、大人にとっては。

でも子どもにとっては、
【手を使いたい】欲求に従って、その時身の回りにある環境に働きかけ、繰り返し楽しんでいる行動だったんです。
それが周りの人にとって迷惑なことだと、いたずらと呼ばれる訳です。


ここで、運動の敏感期の、大人が困る子どもの行動への対策を思い出してもらえますでしょうか。


【したい動きができる、代わりの環境を用意する】


これ、手を使ういたずら対策にも有効だと思うのです。
どうやって止めるか→どうしたらしたい動きをさせてあげられるか
のポジティブ転換です。

とりあえず、上にあげたいたずらを、子ども目線で
【どのような動きがしたいか】
【その結果どうなったのが楽しいのか】
分析してみます。


・ティッシュ →つまむ、引っ張り上げる→次のティッシュが出てくる(→つまむ、に戻りエンドレスループ

・トイレットペーパー →引っ張り出す→ペーパーがカラカラと回り続け、いくらでも引っ張り出せる(→芯だけになるまで続く)

・シャンプー →上から押しこむ→シャンプーがピュッと出てくる(→シャンプーがなくなるまでエンドレスループ

・DVDデッキ、コンセントの穴→小さな空間に物を入れる→入れた物が見えなくなる

・排水溝→つまむ、落とす→落としたものが見えなくなる、落ちたときの音が楽しい

・引き出し、本棚、バッグやポーチ→出す(ポーチはファスナーの開け閉めも楽しい)→空になる

・口紅、マジック→ふたをとる、回す→先端が壁や床につくと色が着く

・水道→ひねる→水が出たり止まったりする


こちらの予想ではありますが、実際の動きをしている子どもの目つきや手つきを観察した感じ、おそらくこんなところじゃないかな、と。


分析できたら、あとは
【したい動きができる環境の準備】です。


一番楽なのは、同じもので代替品を用意しておくこと。

シャンプーのポンプ、ポーチあたりは、中身を変えれば子ども用がすぐに用意できそう。
手首を回す、ひねる動きは、ふた付きの空き容器で。


代替品がなければ作ってしまえ~という発想。

ペーパーアイテムは、紙の部分を別の繰り返し使えるものに変えてしまう。
ティッシュの中身を、布に変えて交互に重ねて折る、
ウェットティッシュの中身を太めのひも(絡みにくいもの)に変える、など。
トイレットペーパーも芯に細長い布を固定して、巻きつけてセッティングすればいけるかな…(これは未体験)


「つまむ、穴にいれる、落とす」動きは、
茶筒やミルク瓶など、薄いプラスチックのふたに穴を空けて、工作用のダボや円柱を落とせる専用の物を作ってしまう。

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裏蓋が外せる貯金箱にコインでもOK。
郵便局でもらったポスト型貯金箱を利用したものも。

(実際子どもがいたら、いつ作るのよって話だとは思うんですが…とりあえず思いつく限りの対策を書いておきます。
そしてほんとはもっと写真あげたいのにメモリー不足って…何やねん)


ここにプラスして
できるだけダメダメ言わなくていい、
【禁止を減らす】大人の知恵工夫は必要不可欠。

大人用の触られたくないものは、高いところに置いて。または鍵かけて。

意外とここが盲点な気がするので、一度ハイハイ~3歳の子目線でおうちの中を見てみることをオススメします。子どもの動き的に魅力ある所や物がいっぱい。笑

いや、笑い事じゃないか。コンセントの穴なんて危険度高いし。
(これは安全対策グッズありますね。話飛びますが、ジェルボール洗剤とか頼むから子どもの手が届かないところに置いてって感じです。見るからに美味しそうだあれ…)

DVD デッキとかどうすればいいんだろう…(え、ここにきて疑問形?) 
だってこの時期の子は「穴を見つけたら何かを入れろ」指令が脳から出まくってますからね。高いところに置くのも限度ありそうだし。何かいい案があれば教えて下さい(他力本願かーい)



【制限の幅】も、分かりやすく設定。

お絵描きを例に。
まず水で落ちる道具だけを出して、油性のものは手の届かないところへ。
この紙の中に描いてね、もあらかじめ伝えます。それが分からないようであれば、お絵描き道具自体を一旦しまってしまうのもあり。
制限が分かる範囲での自由、この先大事です。1歳過ぎたら伝えます。


【エラー対策】も、子どもと一緒に。

もし紙以外のところに描いて汚してしまったら、一緒に拭く。
子どもの手のひらサイズの雑巾、この先よく出てくるので作っておいて損はないです。1歳のお子さんにはミトン型はめ込み式雑巾がオススメ。
(あかねやモンテッソーリ園のバザーでも毎年売ってますね)

子ども用お掃除グッズがいつも決まった場所にあると、エラー対策を子どもが自分でできるようになります。



思いつく限りの対策を書き連ねているので、全部完璧にやってねってことではないです。
できそうな所から取り入れてみて下さい。


********

いたずら対策が「代わりを作る」ってめんどくさーい

と感じるかもしれませんが、一度作ってしまうとその動きに夢中になっている間はずーっとそれをやっているので、下手なおもちゃよりよっぽどハマります。コストパフォーマンス高し。

特にこの無意識的吸収期の子どもは、まさに無意識に、したい動きができる環境に惹き付けられていくので、
ちょっと目を離した隙にヤラレてしまうことが多いんですね。
そのリスクと、作る手間を天秤にかけたら…ってここは大人側の都合の話ですが(^^;


そして何よりも、その動きに集中して、試行錯誤している間、子どもは自分を作っている、というところが重要。

目でとらえた環境の情報が脳に届き、
脳から手に指令が出て
手が試行錯誤する。

この三位一体の、目と手の協応作業の中で
脳の情報処理能力が発達し
思い通りに動かせる手が作られていき
その結果、情緒的にも落ち着いてくる。

身体も心も、子どもの望む自立に向かって発達していきます。

正直、ここの効果は計り知れないです。プライスレス。

これをいたずらとして止めるのか、
よりよい自分を作るおしごととするのか

ではだいぶ違ってくると思います。

モンテッソーリ園にある1歳児クラスのおしごとは、いたずらをヒントに得た手の活動ができるものばかり。
興味ある方は一度見学させてもらうといいですね(ってできるんだろうか)


あ、そうだ、
「同じことばかり繰り返していて、大丈夫ですか?
他のこともやらせた方が…」
と心配される親御さんも多いんですが

大丈夫です!

むしろ集中させてあげて下さい。

この「集中」する中で、脳も手も発達して情緒的にも安定するので。


できるようになるまでやりたい
もっと上手にできるようになりたい
最後までやりとげたい

のは大人も子どもも一緒。


興味のむかう先が、大人にはちょっと(かなり?)分かりにくいのは確かですが。笑

でも子どもを観察することに慣れてくると、そういう分かりにくい所も自然に見えてきます。

子どもの活動の終わりを決めるのも、また子どもです。


まとめ:
子どものいたずらは
子どもにとってはいたずらでなく、
本気で自分を作る過程。

いたずらをどう止めるか→どうしたらその動きができるか
という発想のもと、

①子どもをの動きを観察する
②したい動きを分析
③代わりの環境を用意する

おまけ;常識範囲内での制限の中で自由に&エラー対策を子どもと一緒に。


次回は3~6歳の意識的吸収期の、手を使う についてです。