モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 2歳7ヶ月 日付や時間の伝え方

【ご質問】

娘(2歳7ヶ月)に日付や時間を教えたいです!

娘は時間の感覚はざっくりとしていて、
でもなんとなく、
家でこれくらいのことをしたら出かける時間
とか、
昨日と今日と明日があるという
現在過去未来という感覚には気づいているようです。
(過去のことはきのう・この間
 未来のことはあした、と言っています。)


日常では、時計の針がここまで進んだら
という話をしたり、
カレンダーを低いところにかけて、
今日はここです。
お父さんがお休みの日はここです。
とか言ってみたりしてはいます。


●そもそも、2歳7ヶ月で、どの程度の理解が可能なのか?
●理解したとして、生活にどう落とし込んでいくと、感覚が養われるか。
●出かけるまでの時間や寝る時間をどう説明したら良いか。
●日々判を押すように同じことができれば理想ですが、そうならない時にどう説明したら良いか、

何かアドバイスをいただけたらなと思っています。
よろしくお願いいたします!



【回答】

いきなり希望を壊すような答えで申し訳ないのですが
時間感覚の認識というのは
乳幼児にとっては難易度が高いもの、ということを
最初にご了承いただければと思います。


なぜなら、この時期の子どもは
「今、そのとき」に全力を注いで生きているからです。

何かに夢中になっているときにムリヤリ別のことに誘うと
かんしゃくを起こすのはこのためです。


これは、小さなお子さんといる大人には
特に覚えていてもらいたい、
大人と子どもで大きく違う点の一つです。


大人は、今までの経験と、生活の必要性から
何時までにこれとこれをする、
締切がここだから、逆算して
今やらなければいけないのはこれ、
などと時間軸に合わせて動くことができますが

子どもは、目の前のことを
時間軸に関係なく、満足行くまでやりたがるのが
本来の姿です。


そこに、日常の中で少しずつ、 
必要に応じて「時間に合わせて動く」練習をしている最中です。

大人にとっての「これまでの経験」を、
今少しずつ積み重ね始めている
というイメージです。


「難しいこと」だという大前提の上で
「時間軸を認識できる経験をどのように積み重ねていくか」を
モンテッソーリの子どもの見方をヒントに
思いつくままに書いてみようと思います。

<秩序感>

2歳7ヶ月は、この秩序感がピークだと思うので
そこを生かして(?)
時間の流れを身につけていけるといいのかなと思います。


秩序≒順序や位置などが「いつも(だいたい)同じ」こと
を非常に好む
(≒秩序が乱れるのが許せない)
のが
秩序の敏感期の7ヶ月頃~2、3歳頃までなので

生活の中でも
「いつもだいたい同じ流れ」
があると、
子どもにとっても、「今これをしているから、次はこれだな」
と予測を立てたり、見当をつけたりすることができるようになります。


といっても、
「何時何分にはこれ!」
というような、
分単位でできっかり分けた時間割のようなものではなく
もっとザックリとした一連の流れです。


朝の流れでいったら
起きたら顔を洗って
着替え、
朝ご飯を食べて
リュックに荷物をつめ、
靴を履いて園に行く

みたいな大きな枠組みのことです。
(こんなにうまくはいかないと思いますが!)


ここで、以前ご相談下さった方のその後の経過から
時間軸も上手に活用して
お子さんが(イヤイヤながらも)自分で動くようになってきたという一例をご紹介させて下さい。


*********************

あれから、枠組みだけを伝えて
声掛けそのものを減らす
ようにしました。

例えば、
私「7:30になったら1階におりて、洋服着るよ。洋服着たら保育園行くからね~」
息子「いいの。」
私「そっか~いいのか~(私、その場を離れて自分の準備)」

・・・・7:30になる。

私「はい、7:30になったよ~下に降りて服着るよ~」
息子「いいの!」
私「いいんだね~、じゃあママ先に下に降りてるね~」
息子「いいの~!(泣)」

といいながら自分で下に降りてくる。
私を見つけて「いいの!」としがみつく。

私「おー、自分で降りてこれたね~(←ゆるい感じで)
  じゃあ洋服着替えよ~、
  でさ、○○上着さ、ブルドーザーにする?消防車にする?」
息子「・・・・しょうぼうしゃ」
私「お!消防車かっこいいもんね~、
  じゃあズボンどうする?黄色にする?紺にする?」
息子「きーろ」

とという感じで選ばせて、
選ばないで「いいの!」になったら
「じゃ~ママ選ぶね~」という風に
かる~い感じに、”暖簾に腕押し”をイメージしながら対応しています(笑)

それと私自身もいつもより早起きして
身支度を早くする事で
心に少し余裕出てきたりもしてます。

それを息子も察してるのか、
息子も早く起きるようになって、
その分、ひいじいちゃんやばあちゃんや
私の両親と遊んでもらって
あらかた満足しているみたいなので、
ご相談した後から「いいの!」とはなりますが、
癇癪までには行かなくなりました!
本当にありがとうございました。(T▽T)

**********************


この方がうまくいった理由の1つは
「今、そのとき」を一生懸命過ごしている子どもに
「すぐ次のプラン」
をあらかじめ伝える
ことで
幼い子どもでも見通しをつけるサポートができたから。

(もちろん、ママ以外の方々のサポートがあってこそなのは言うまでもありませんが)


ご相談者様の
「時計の針がここまで進んだら」
というのも、
子どもとの共通認識として
この時間に、次はこれをするということを伝えているので
そのまま続けて頂ければと思います。


応用編としては
朝の流れ、降園後の流れなどを
目で見て分かるように一覧表を作るのも一つの手です。


時間軸を時計の絵やおもちゃの時計で表し、
その横に行動(例.起きる、歯を磨く)をイラストと文字で表す。


時計が読めなくても
針の位置が同じ形になったら○○をする
という認識ができます。


一部療育の方法として取り入れられているものですが
すべてのお子さんにとって、時間軸の理解につながる
目で見て分かりやすい方法だと思います。


表にすることで、大人の声掛けが減らせるのも大きい所です。


2歳7か月の今の時期は
7時20分などの中途半端な時間ではなく
ちょうどの時間(8時、6時半など)をベースにするのが
より分かりやすくてよいと思います。


>●日々判を押すように同じことができれば理想ですが、そうならない時にどう説明したら良いか

これはもう、
予想できる範囲であらかじめ伝えておくか、
その場で「これこれこういう理由で今日はこれを先にするよ」
と伝えて
秩序が乱れて不機嫌になったら
「いつもとちがってイヤだったのね」と
その不機嫌な気持ちを受け止めてあげる
くらいしか思いつきません。笑

お休みのおでかけなどは
「何時に出発します」
くらいは伝えておけるといいですね。



<数の敏感期について>

おそらく、このブログで一番触れていない敏感期です(笑)
モンテッソーリ≒数≒早期教育!みたいな走り方をしないように、つい避けてしまう…


時計の読み方や、時間の概念に関係する敏感期の一つなので
ざっくりお伝えしておきますと、

時期はだいたい4~6歳頃
(毎度しつこいですが個人差あります)

読んで字のごとく、数への興味が高まる時期です。


数の敏感期につながる前段階の発達が

・秩序の敏感期/秩序感(人間の傾向性)
・感覚の敏感期
・正確さを求める、数学的思考(人間の傾向性)
などです。




数の認識の進み方は

数量と音の認識(1個2個など)
→数字の認識(1、2という数字の形と音が結びつく)
→数量と数字が結びつく

という順番です。

幼いうちは、言葉で数を数えられても
数字の表す量を実は理解していないこともあります。
それも、経験から少しずつ自己訂正されていくので
その場で「違うよ」と直す必要はありませんが、
「数えてるけど、まだ意味は理解してないな」
という大人側の認識は必要かもしれません。


時間軸に関しては
言語の敏感期も手伝って
「きのう、きょう、あした、あさって」
「今日は9月2日」
とカレンダーを見て確認したり
日ごろの会話の中で
時間軸の言葉を使って話すことで
子どもの認識を徐々に深めていくことができるので
ご相談者様が日々されていることを
そのまま続けて下さい。


余談ですが
小さい子(年少さんくらいまで?)は
いったん寝ると、寝る前のことは「きのう」になるようです。

お昼寝明けに
「きのう、こうえんいったの」
などと話すのですが、
よく聞いてみると
その日の午前中の話だったりして、
そんな言い間違いもとてもかわいらしいです。
(これも特に強く訂正はせず、
「お昼寝の前に行ったの?」などとこちらが言いかえて聞くようにしています)


<時計の読み方・使い方>

一般的には、時計の読み方は小学校に入ってから習いますが
モンテッソーリ園では、日々のお仕事の中で
数の敏感期を迎えて
二桁の数の量と数字が一致して、
飛びの数(一目盛りで5など)が認識できた子どもには
時計のお仕事も提供されます。


私個人の超・リコメンド商品は
「ふんぷんクロック」。
(最後にリンク貼っておきます)

長針と短針の目盛りが分かれているので
時計の1=5分
が目で見て分かる優れものです。


ただ、気をつけてほしいのは
時計が読めるようになった
=時間に合わせて計画的に行動できるようになった
ではないということ。
そこはもうひとつ、上の能力が求められます。


こういうものや
前述の時計の絵やおもちゃの時計を使って
日々の生活の中で、時計が読めるようになってくると
時計に合わせて行動するのが楽しくなり
徐々に、時間軸に合わせて行動できるようになっていきます。
そこから、見通しを立てて行動することに繋がっていきます。



以上、思いつくままにつらつらと書いてみました。

お子さんの発達とともに
できることや必要なことがまた変わって来るかと思いますので
そのときはまたコメント欄からお知らせください。