モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

1歳2ヶ月頃から出てくる子育てのお悩み①子どもがテーブルにのぼります

以前にお返事を書いた方(とそのお子さん)のその後が気になっております。
皆さま、新年度いかがお過ごしでしょうか。

私の方は、
職場の親子モンテッソーリクラスも
夕方の保育も
子どもたちやその親御さんたち、
先生方と楽しく過ごさせて頂いております。


今回は、親子クラスでよく頂く質問を
こちらでもご紹介致します。
(なぜならブログの方にご質問が来ないからw 待ってまーす!www)

親子クラスは1歳半頃までのお子さんとその親御さんを対象としているので
その頃の育児の中で抱く疑問やモヤモヤの
最大公約数 みたいな感じです。



【ご質問】1歳4ヶ月 男の子

家の中で、テーブルやキッチンカウンター(!)にのぼるようになりました。

最初は「だめよ」と言っておろしていたのですが
あまりにも頻繁にのぼるので
私も注意し疲れてしまって、

最近はテーブルの真ん中にいるときは
(落ちないからいいか…)
と放置気味です。
それでもいいのでしょうか。
本当はどういう対応をしたらよいのでしょうか。



【回答】
どんなに小さなお子さんにも
「していいこと、いけないこと、その理由」
を伝えてあげて下さい。

プラス、
「したい動きを存分にできる環境」を
別で用意してあげましょう。



言葉がまだつたない、小さな子どもでも
大人の態度や接し方から、様々なことを吸収し、学んでいます。


ちょっと耳が痛い話になってしまうかもしれませんが、
テーブルにのっているときに
大人が何も言わない、放置しているというのは

「テーブルに乗ってもいいんだよ」
という無言のメッセージを
子どもに送っていることと同じです。

無意識に吸収する時期の子どもはなおさら
そのメッセージをもそのまま受け取り、自己構築の材料にします。


そして、同じ行動をしているのに
言われる時と、言われないときがある
というのは
子どもの判断力を混乱させます。

そして
なんでダメなのか、
これをしたらどうなるのか
ということを自分で考え、
判断するということが難しくなります。


「テーブルには登らない」
という、人間としてのルールを
一貫して伝え続けてあげるのが
大人の役割の1つ
です。


子どもが小さいから、まだ分からないから
ではなく、
まだ分からないからこそ

「テーブルはご飯を食べるところよ、登らないよ」
「危ないから登らないよ
 あなたが痛い思いをするんだよ
 それは私もいやだよ」

ということを、愛情をもって繰り返し伝え続けてあげて下さい。


で、親御さんが注意し疲れてしまう
(そしてあきらめてしまう)という
現実的な問題点への対処法ですが


この場合でしたら、
「登る」動きが思いっきりできる環境を
テーブルやキッチンカウンターではない
登ってもいいところで
設けてあげて下さい。

一戸建てのおうちでしたら階段、
アパートやマンションでしたら共用階段
もしくは公園の小さなすべり台の階段など

登るという全身運動が
心ゆくまで楽しめるところに
連れて行ってあげましょう。



子どもがいくら言っても同じ行動をする理由の1つは
「それが今、発達が求めている課題だから」
です。


吸収する時期&運動の敏感期の働きのコンボで

「今、身につけたい動き」を何度も繰り返す
(ことによって、思い通りに動く身体を作る)

のが、主に6歳までの子どもの特徴(目的)です。


今の職場でも
お昼寝明けの元気な子どもたちが
そのパワーをありあまらせて
お部屋中を走りまくったり
机や棚によじ登ったり
ということが、たびたび起こります。--;


そのときの最善の解決策は
「お外に出て、思い切り身体を動かす」
です。
昨日がまさにこれでした(苦笑)


雨でお外に行けない日は
棚や机を寄せて、お部屋を広くして
音楽をかけて踊ったり、
体操をしたりして
とにかく運動のパワーを発散させます。


思い通りに動けるようになりたいから、動く
のがこの時期の子どもたちだからです。


止めても無駄ということは
理論的にも経験的にも重々承知しています。
「座って遊びなさい!」
なんて、むなしいセリフも全く響きません…笑


話が逸れましたが、
登りたい子どもには、登らせてあげるのが最善策です。

ただし、テーブルやキッチンカウンターではなく
登ってもいい階段で、です。


その間、目を離すことはできないので
大人も付き合う必要はありますが
1歳4ヶ月のお子さんだったら
ピッタリ後ろにくっついていなくても
一番下で見守り、
万が一バランスを崩して転がってきたら
途中でサッと受け止める
くらいの気持ちで大丈夫だと思います。
(または最初から階段の下の方に座って待機しているか)

もしくは、
いきなり階段が怖ければ
外にある2,3段の段差から
始めてみるのも手です。


今の子どもたちは特に
自由に動いて、試行錯誤する」体験が
私たち大人が子どもの頃よりも
減っているように感じます。

子どもは、実際に動いて体験したことから
多くのことを学びます。

登る動きひとつをとっても
子どもはたくさんのことを試しています。

手はどこをつかんだらいいのか
足はどういう風にあげたらいいのか
目はどこを見ていればいいのか
降りるときは前向き?後ろ向き?
どういう動きをしたときにバランスを崩したのか

などなど
たくさんのことを瞬時に感じ取り、考え、判断して
体験したことからまた次の判断が生まれます。

身体(運動)と脳(知性)と心(意志)
をつなぎ合わせて統合していく
という大切なことを
動く中で行っています。


ですので、止めても止めても繰り返す動きは
今、子どもが身につけようとしている動きなのだと理解して
その動きができる限り可能な状況を作ってあげて下さい。

自由に動ける環境+一貫した制限
を与えることで
子どもは生まれ持った自然な発達の道筋に沿って
まっすぐ育つ
ことができます。


親御さんが辛くならない範囲で(これも大事!)
他の大人の方とも協力して
・したい動きができる環境
・したくてもしない制限
を合わせて与えてあげて下さい。