モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 子どもに合う園の選び方

【ご相談 ① 2歳4ヶ月 女の子】

待機児童でようやく保育園に入れてホッとしたのもつかの間、
3ヶ月後転勤でまた違う地方に来たため待機児童になり
家庭保育を再開しました。

一度保育園見学に行ったときに、
門の前で後ずさりしていました。

その姿を見て、3歳になってから
保育園か幼稚園に行ってもらおうかと思ったのですが

一度保育園に通う経験をしていたなら、
なるべく継続して保育園へ行くよう努めた方がよいのでしょうか。
モンテッソーリの考え方ではどうなのでしょうか?


【ご相談② 2歳4ヶ月 男の子】

息子の幼稚園を考えはじめています。
住んでいる地域にモンテッソーリ園はないようなんですが
息子に合う園をどのように選んだらよいのか、
園と息子をどのように見たらいいのか
アドバイス頂けたらうれしいです。

先日、いくつかプレ幼稚園の体験会に参加したのですが
息子はなかなかじっと座ってられず先生の話も聞いてませんでした。

そもそもまだあまり言葉を喋れない息子なのですが、
集中力がある子なら
どんな園に入っても楽しめるのかもしれない…とも思いました。

話を聞く、というのを促すのに私が普段できることがあれば教えて頂きたいです。



【回答】

園の選び方についてのご質問を
お二方から同じタイミングで頂きました。
共通するお答えもありますので
この記事の中で回答させて頂きます。


まず、お一人目の

待機児童→やっと保育園入園→その3ヶ月後に引越、再び待機児童に

この流れだけ見ても、
本当に大変でしたね…
と思わずにいられません。


親御さんはもちろんのこと、
お子さんも、急激な環境の変化を体験して
新しい環境に慣れるのに、
今少し時間を要しているのではないかと思われます。


保育園見学をされたときに
お子さんが門の前で後ずさったのは
「え、また環境変わるの?」
ということを無意識のうちに、敏感に察知して
警戒したが故の行動なのではないかと思います。


ですので、このお子さんの様子も鑑みて
「保育園に通っていたから
その後も継続して保育園に通ったほうがいいのか」
というご質問に対しては


「親御さんのご事情が許すのであれば
今、ムリに新しい保育園に入れなくてもよい」


というのが回答になります。


参考までに
AMI(国際モンテッソーリ協会)の見解は


「0,1,2歳児クラスの施設は、
午前中〜お昼過ぎの4時間程度を
子どもが過ごすことが理想的であり

長時間子どもが過ごす必要がある施設は、
働かなければならない大人の方の都合に合わせたものである
(だからこそ、子どもにとってよりよい保育環境を提供できるように
施設の大人が試行錯誤することが求められる)」


ということですので、
もし親御さんが
今すぐ働きたい、子どもを預けなければいけない
のではないのなら、

お母様が最初に感じられた通り、
3歳を待って、保育園または幼稚園をお探しになるとよいのかなと思います。

今は、新しいおうち、新しい場所に慣れようと一生懸命の時期なのではないでしょうか。



そしてここからは
お二人目のご質問にも共通する
「我が子に合った園の選び方」
についてです。

これに関しましては
あくまで私の考え・意見になりますことをご了承ください。
(私というフィルターを通しているので
 モンテッソーリエッセンスは必ず入りますがw)


先日のプチトークイベントでも
「先生(私)だったら
 どういう目で園を選びますか?」
と熱心に尋ねられ
なかなか頭をひねったのですが


一つの目安となるものに


園の子どもと接している先生方が
笑顔かどうか


があるなぁということに
そこで気づかされました。


子どもの周りにいる大人が
笑顔で過ごせているかどうか

これってすごく大切なことです。


この笑顔には、

子どもが好き
子どもと過ごす時間が楽しい

はもちろん、

この仕事が楽しい、安心して働けている

という気持ちも現れていると思うのです。



大人は、子どもにとって
大切な【人の環境】
です。


6歳までの吸収する時期は特に
大人がどのような気持ちで、どのような態度で
過ごしているか
ということを、スポンジのように吸収して
自分を作っていきます。


子どものそばにいる大人が笑顔である
ということで

あなたと一緒にいて楽しい
あなたと過ごすことは私にもいいことだ
あなたがいてくれて嬉しい
あなたの存在が、大切で愛おしい

という無言の、でもとても大きなメッセージを
子どもは無意識のうちに受け取っています。


これは子どもの

私がいるこの世界は、いいところだな

という、
「世界への基本的信頼感」を育む環境です。


これは
人生を歩んでいくために必要な
精神的な2本の脚

のひとつです。

(もうひとつが、自分はこれだけのことができるという「自己への基本的信頼感」です)


先生の笑顔というのは
この「世界への基本的信頼感」が育まれる環境の
1つの目安となります。


逆に
先生の笑顔が少ないな
と感じられる園は


何かしらの理由で
先生自身が満たされていない
子どもに笑顔で接する余裕がない
という可能性があります。


先生が笑えていない、その背景には
様々な理由があると思うのですが、


・子どもより自分が主役の保育
 自分の思い通りに動かない子どもは好きじゃない 
 という考えがどうしても抜けない。
 だから子どもとしょっちゅう対立関係になってしまい、
 怒ってばかりになってしまう。
(本当に本当に残念なんですが、まだまだ少なからずいます…)


・子どもと接するのが好きでこの仕事に就いたはずなのに

書類作業や作り物など、保育以外の業務が多過ぎる
就業時間が長過ぎる。
休憩や休みが充分に取れていない。
行事が多過ぎ、準備に追われ過ぎて肝心の子どもと向き合えていない。
お給料が(仕事内容の責任の重さや大変さに比べて)安すぎる。

 など、勤務上のシステムが悪いため、
 気持ちの余裕がない、だから笑えなくなっている。


・職場の先生どうしの人間関係に疲れている 
 本当は子どものために変えたほうがいいんじゃないか
 と思うことがあっても、言えない
 もしくは聞いてもらえない。自分が折れて従うしかない。
 でもそれってすごく疲れる。だから笑顔がなくなってしまう


などなど、自分の経験からパッと思いつく原因を挙げてみました。
(暗い話になってしまってすみません)





先生が笑顔
=先生がハッピー
=そこにいる子どももハッピー


だからこそ、
先生が笑顔でいられる園って
とても大事だなぁと感じます。


保護者の立場としても
笑顔の先生の方が、安心すると思います。

何か子どものことで相談したい
と思ったときに言いやすいのも、
仏頂面よりは笑顔の先生だと思います。


もちろん、園にいる子どもたちの笑顔があるのは、大前提で。


保育園、幼稚園に我が子を預けるということは
自分ではない他の人に、時間・期間限定とは言え
子育てや教育を委ねるということなので


100%、自分の考えや理念通りに育ててくれるかというと
それはまずムリといいますか、
まぁ難しいことなんですが


もし何か、園や先生の対応に対して
モヤモヤしたり、疑問に思うことが出てきたときに

オープンに聞ける雰囲気なのか、
シャットアウトされた雰囲気なのか

というのは、長い目で見てけっこう大事です。


その目安が
先生たちの笑顔
なのかな〜と思います。




そこも含め
見学に行ったときに
もしくは公園などの公共の場で
園児や先生たちを見かけたときに
親御さんご自身が感じ取った雰囲気や空気は
意外と無視できないと思います。


ちょっと違和感…
なんかもやもやする…


というのも、充分な判断材料になります。



もちろん、危ないことを止めたり
子ども同士のいざこざの仲介をしているときは
笑顔ではないですが。(当たり前か)




ちなみに、
「園見学に行ったときに、子どもが話を聞けなかった」
のは、2歳児の自然な発達なので、心配し過ぎないで下さい。

自分が興味あること、楽しそうなこと
にしか向かえないのが自然な時期です。


大人向けのお話は
お子さんにはきっとつまらなかったことでしょう。笑


お子さんが興味があること、
例えば車、電車が好きなら
車や電車の絵本を読み聞かせることを
毎日毎日繰り返していると

気づいたら、他の長い絵本でも聞けるようになっていた
という成長はありますが
それはあくまでも結果であり

絵本は、聞けるようになることが目的ではなく
親子で一緒に楽しむものなので

一緒に楽しんで、結果として、
長いお話も聞けるようになった!

くらいの気持ちで
絵本を一緒に読む
というのは、おうちでもできることかな~

そのくらいしか思いつきませんでした^^;

(でも何度も言いますが、
 話を聞くことを「目的」とせず
 おまけの「結果」そうなったらラッキーくらいで)



話が長くなりましたが
(いつもよ)

いい園だなと思える目安の一つは
「先生の笑顔」


あとは、園の方針や規模
園庭の有無などの物の環境と
お子さんの性格がマッチしているかどうかを
親御さんがよく考えて判断していただければと思います。
(至極当たり前のことしか書けなくてすみません)


お子さんに合った園に巡り会えますよう
お祈りしています。