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モンテッソーリloverのブログ

モンテッソーリ大好き教師の綴りごとです。

「何もしてないのに!」の罠

子どもどうしがトラブルになって
その状況を大人に説明するときに
よく出てくるのが

「何もしてないのに」

というセリフ。

「何もしてないのにAくんがぶった!」
「何もしてないのにBちゃんが泣いた」


これ、かなりの割合で

本当に「何もしていない」ことはありません。

トラブルに至るまでの過程の中に、
そうなった原因があることがほとんどです。

でも、だからといって
ウソをついているわけでもなさそうなんですよね。
どうして「何もしてない」って言うんだろう?


というわけで今回はこの

「何もしてないのに!」

という子どものセリフの裏側を探ってみようと思います。




まず、3歳半頃までの子どもの場合。

「自分がしたことが相手にとってはイヤなことだった」
ことに気づいていない
=自分は何もしていない

と表現することが圧倒的に多いです。

なぜなら、自己中心的な発達の時期だから。

montessorilover.hatenadiary.jp


自分の気持ちにしかフォーカスできない、
「自分がこうしたら、相手がどう思うか」
なんて想像もできない時期。

この時期の「何もしてないのに!」は、
心からそう思っているので、
言っている本人に悪気はないのです。



少しずつ他人の気持ちに気づき始めてから、
目安としては3歳半頃を過ぎたあたりから

「気づいていない」場合と
自分がしたことが相手はイヤだったんだな
ということは何となく感じつつも
「自分を正当化したい」、
自己弁護のウソをつく場合とが混在します。


無意識にしろ意識的にしろどちらの場合も
大人の対応は基本的には同じ。だと感じます。


まずは、
トラブルになった双方の言い分をどちらも聞いて
冷静に状況を把握するよう努める。

そして
「あなたがこうしたことを、
相手はこういう風に感じて、
だからこうしたんだって」
ということを双方に伝える、
分かりやすく簡潔な通訳の役目を心がける。


例えば
「何もしてないのにAくんがたたいた!」
とCくんが訴えてきた場合、

CくんだけでなくAくんの話も聞いて、
(それでも曖昧なら周りで見ていた子どもの話も聞いてみて)
状況を判断。

そのたたいた理由が
「僕(Aくん)が持っていたおもちゃを
 Cくんがムリヤリとった」
だったら

Cくんには
「CくんがAくんのおもちゃ取っちゃったのが
 イヤだったんだって」
と伝え、

Aくんには
「お友だちをたたくのはよくないね。
『僕が使ってるから取らないで』
 って言えるとよかったね」
と伝えます。

で、できれば
「取ってごめんね」「たたいてごめんね」
と言い合えるように導けるとベストかな~
というのが私感です。


この通訳的な仲介のしかたによって
無意識の子どもはもちろん、
「何もしてない!」と自己弁護する子どもも

何もしていないわけではなかった、
自分が何かしたことが、相手の行動を引き起こした
ということを改めて意識することができます。

そして
「何もしてない!」
という一方的な主張が通らない経験を
何回も積むことで

「何もしてないのに!」
という自己弁護のウソをつくことが
だんだん減っていきます。


逆に、大人が子どもの
「何もしてないのに!」を鵜呑みにして
一方的に相手を罰するような経験が増えるほど、

「何もしてない」って言っておけば
自分は怒られないんだな
周りの人が自分の味方になってくれるんだな

というゆがんだ情報が子どもの中にインプットされて
「何もしてないのに!」
を多用する流れを作ってしまいます。


私たち大人が心がけたいのは
「何もしてないのに!」を鵜呑みにしないこと。

それだけで、必要以上に不安になったり
怒ったりすることが、大人のほうも減るはずです。

そのセリフがでてくるまでの状況をできるだけ把握して
把握した状況を、双方にわかるように穏やかに伝え、
言葉での穏やかな解決を目指す。

というところを、保育者の立場としては心がけています。