モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

3歳までは自己中でOK?

5月、連休明け。気持ちのいい季節。
この肌寒さから抜けた直後の、湿気のない、新緑の爽やかな季節が個人的にはいちばん好きです。短いんだけど…だからこそ大切に味わいたい。


子どもたちにとっても、外遊びが気持ちいい時期。

そんな気持ちいい陽射しの中、毎日繰り返される物の取り合い。笑


「○○ちゃんのー!(怒)」
「とらないで!とらないでー!(涙目)」
「○○くんがとったー!(号泣)」


このやりとりの中で、物を奪い取るのは2~3歳前後の子どもが多いです。


で、タイトルの「3歳までは自己中でOK?」につながるわけなんですが、


実は、【発達段階的にはOK】なんです。


生まれたばかりの赤ちゃんが、
最初は寝っ転がってるだけ→ハイハイ→つかまり立ち→歩く
という順序を逆行せず通るように、
心にもある程度、発達の順序や法則があります。


1歳半過ぎから芽生えた自我が、3歳頃まで大きく育ちます。
この時期の子どもは【自分中心の世界】に生きています。
自分のしたいこと、したくないこと、ほしいもの、など自分の気持ちが最優先で
「人の気持ち」という概念がなかなか分かりません。

でも3歳半~4歳を過ぎた頃から
「他人は自分とは違う気持ちを持っている」ということにも気づき始めて、そこから【社会性】が育っていきます。

3歳までは、【社会性】が育つために必要な【自我】が先に大きく育つ、というイメージです。


なので、この時期の子どもは
「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」
を悪気なく地で行きます。いやほんとにビックリするほどに。笑


実際、2~3歳の子どもたちを見てると、
ほしいものはお友だちが持ってようが使っていようが自分のもの、だから躊躇なく奪いに行き、そして抵抗されてケンカになる
というパターンがとても多いです。

おそらく世界中の2~3歳の子どもが同じような自己中ぶりを発揮しています。笑

なので、「うちの子だけかしら…」と心配し過ぎる必要はありません。


ただし!


OKなのは発達の順序として、というだけであって
「子どもを自己中にさせておいていい」
という意味ではありませんので念のため。


この物の取り合いを
「子どもは子どもどうしの中で育つから」
と完全子ども任せにしておくと、多くの場合、

力の強い、または自己主張の強い子どもが、常に自分の意のままにほしいものを手にし、
力や主張の弱い子はいつも我慢を強いられる状態になります。
これはどちらのタイプの子どもにとってもいい結果ではありません。


ここは大人が
「こういうときはどうすればいいのか」
ロールモデルになる役割を求められます。


例えば、お友だちの持っている物を取ろうとしている子どもには

「取らないよ」(と動作を遮る)
「今、○○ちゃんが使ってるよ」(他の子の状況を言葉で伝える)
「使いたいの?」(本人の気持ちに寄り添う)
「『終わったら貸して』って言うんだよ」(ムリヤリ奪い取る以外の平和な交渉方法を示す)
「『終わったら貸して』」(と相手の子に言い、大人がロールモデルになる)


してはいけないことは止めつつ、その子の気持ちにも寄り添い、かつ言葉で交渉できるように導きます。


個人的には「本人の気持ちに寄り添う」が、ポイントなんじゃないかなと感じます。

一方的に「ダメなものはダメ!」というのも必要ですが、自我が大きく育っている時期の子どもにこれだけをやると、反発もものすごいことに。。。

そこに、子どもの気持ちに寄り添うというワンクッションをはさむと、反発が一瞬やわらぎ、そのあとこちらの伝えたいことが伝えやすくなるという感覚があります。

最終的には
「子どもが自分の言葉で自分の気持ちを相手に伝えられるようになる」
「子ども同士で話し合い、決められるようになる」
ところを目標としながら、
2~3歳の自己中な時期には、大人はロールモデルとしての役割を果たすのがいいのかなと思います。


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大人側としては
「3歳半頃までは自己中な時期」と分かっているだけでもムダにイライラしなくてすみますし
(…まぁ分かっていても、イライラするときもありますけど)
「うちの子だけが…」と不安になることも減るんじゃないかなと思います。


あと、大人側の心持ちとして
「毎回リセット」
は意外と重要です。笑

どういうことかというと、
「何度言ったら分かるの!」
と腹を立てない努力をするということです。

「何度言っても分からないから同じことをする」
のが子どもです。

この場合だと、さっき「取らないよ」と伝えた子がもう次の瞬間別のところで取ろうとしてたりするわけで、
「またかい!」とこっちは思うんですが、
子どもはそうは思わないんですね。常に自我が勝ち、毎回リセット。
だからこちらも毎回リセット。

これに慣れると、怒るどころか笑えてくる不思議。
「またかい!笑」みたいな。

でもこのリセットパワーは、子どものいいところでもあります。
過去を引きずらないので、子ども同士でケンカしてもあとくされなくまた一緒に遊べます。

と、またこれは別の機会に…

次回は3歳以上の子どもどうしのトラブルについて。