モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

自分で選ぶ力、自分で決める力

さて、「子どもの集中」で、
子どもが集中して変わっていく過程の始めに

①活動を自分で選ぶ

ことが必要だと書いたのですが、実はこの時点でひっかかる子どもも少なくありません。

自分で選べない、決められない。
発達を邪魔する環境に対して強く反発できないタイプの子どもです。

このタイプの子どもは、大人から見るとおとなしく目立たず手がかからない、むしろ聞き分けがよく従順に見えることが多いです。


この弱いタイプの子どもの発達を邪魔する典型パターンが
「大人の先回りお世話」。

子どもがこれからしようとすることを、周りの大人が先読み、先取りして、代わりにしてあげることです。

一見、悪いことではなさそうですが
大人の先回りによって
子どもは「自分で考えて選び、決める機会」を失います。

これが毎日の生活で積み重なると

「どうせ大人が決めるんだから
自分は何も考えなくていいや…(-_-)」

と自ら考え、選び、決めることをあきらめて、
何でも大人のいうことを聞くようになります。
この姿が、大人には聞き分けのよい子に映るのです。


中には、従順な姿のまま大きくなり、ある日突然

「自分の行きたい学校/やりたい仕事を決めなさい」

と人生の大きな岐路に立たされ、
(えっ…)と戸惑う場合も。

勉強したいこと?
行きたい学校??
やりたい仕事???
…分からない。だって今まで、大人のいう通りにしておけばそれでよかったから…急に自分で決めろって言われても…


まぁこれは極端な例として
(でも実際いるんだよな…あ、ひとりごとですよ)

「自分で考えて、選ぶ、決める」

のは、何もいきなり人生の大きな岐路でなくても
子どもが小さな時から、生活の中で体験を重ねていけることです。

そこで今回は、
「子どもが考えて選ぶ/決める」
を、幼児期にどのようにお手伝いできるか
についてです。
(あいかわらず前置き長くてすみまそん)


例)着る服を選ぶ

まずは2~3枚から、その日の服を子どもが選ぶようにします。

なぜ2~3枚かというと、
選択肢の幅をあらかじめ狭くしておくことで
選びやすくなる
からです。

選択肢が多すぎると逆に選べないのです。
大人でも、

「夕飯何食べたい?」
「…何でもいい」

ってこと、ありますよね。

「ぶり照りとぶり大根、どっちがいい?」だと、
「ぶり照り(即答)」

というようなことです(我が家の些末な例です)。

話を服に戻して、

この2~3枚の服を
・子どもが届く高さのハンガーにかけておく
・引き出しやカゴに入れておく
というような環境がいつもあると、
大人がいなくても子どもが自分で選ぶことができます。

2~3枚で慣れてきたら、子どもが自分で選んで決める環境をさらに整えます。

カラーボックスを子ども用のクローゼットみたいにしている画像をよく見ます。私もあれ、やってみたい…。下一段だけ引き出しにして、上二段分は空けておいて突っ張り棒にハンガーかけて。

子どもが自分で選び、決めるのにちょうどいい
服の量と、手が届く高さ。
楽しそう…


選んでほしくないもの(こと)は
選択肢からあらかじめ外しておく
ことも
はじめのうちは必要かもしれません。
寒い時期に半袖、とか、暑い日にニット、とか
健康を害するような選択肢は、入れません。


その上で子どもが選んだことは、尊重するように努力します。

例えくつ下が左右で違っていても、全身ピンクでも、柄on柄でも、
うわっっ何そのコーディネート、斬新!(白目)

ってなるかもしれませんが、
今まで選べなかったタイプのお子さんの場合は特に、本人が選んだことに口出しはしないスタンスで。笑

ここで大人が子どもの選んだものに口を出すと、
(…結局あなたが決めるなら、自分で決めてもムダだから、やっぱり何も言いません…)
とまた選ぶことをあきらめて消極的になってしまうかもしれないので。


選んだ結果も体験すると、
「自分で選ぶ」ことの責任も感じられます。

洋服だったら、
「今日は長袖だとちょっと暑かったな」
「今日のズボンは動きやすくてよかったから、また履こう」
「出るとき上着着ないって言ったけど、寒いからやっぱり着てこよう」
とかそういうことです。

ここでも、
「だから言ったでしょ、上着着なさいって!言うこと聞かないから寒いのよ!」
とは言わないように努力します。

大人に言われたからするのではなく
子どもが自分で考えて選び、その結果を体験して次のときにどうするか、また自分で考えられるようにお手伝いする姿勢です。

気温や体調と服装の兼ね合いは大人でもむずかしい場合が多いので、子どもは何度体験しても薄着で外に出ようとするかもしれません。でも口であれこれやかましく言わず、調節できるように上着や予備の服を影でそっと用意しておいて下さい。



毎日の着替えを例に「自分で選ぶ、決める」をお手伝いするやり方を並べてみましたが、他にも

「朝ごはん、パンとご飯どっちがいい?」
「オレンジとりんご、どっち食べたい?」
「寝る前に読む絵本、どれがいい?」

なと、生活のさまざまな場面で「選ぶ、決める」練習ができます。


①最初は選択肢を少なく、徐々に広げる
②選んでほしくないものごとはあらかじめ外す
③本人の選んだことは尊重する
④選んだ結果を体験するところまで見守る


人生は取捨選択の連続です。
大人になったときに、自分の意思で選択でき、その結果を受け止められ、その結果にも責任が持て、じゃあそこからどうしようか、ということをまた自分で考えられる。
この力は自分の人生をよい方向へ切り開いていく元となります。

幼少の頃からの「考えて選ぶ、決める」体験は、この力につながる大事なことです。例えひとつひとつは小さなことでも。と思うのです。