モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

兄弟の話 尊重された分だけ人を尊重する子どもたち

これまでの仕事や活動柄、
いろんな兄弟姉妹を見ています。
そのなかで、上のお子さんが

「お兄ちゃん/お姉ちゃんなんだから!」

って言われることって、ほんとに多いなぁ
と感じます。
たとえ1歳差であっても、まだ3歳4歳でも。
う~ん、シビア。


前回の話でもちらっと出てきましたが
上の子だろうと下の子だろうと関係なく

「自分の活動の終わりは自分で決める」

ことを、大人は尊重してあげたいものです。
上のお子さんが幼児期の間は、特に。


例えば、
お兄ちゃんが使っているおもちゃを弟が取ったとき
お兄ちゃんが怒って力ずくで取り返し、
弟が泣いて、そこへお母さんがきて
「お兄ちゃんなんだから、貸してあげなさい!」
と怒られる

っていうパターン、割と多いんですが

この場合、たしなめるべきは弟の行動の方です。

自分が使っているものを人に取られたくない、
自分の活動を邪魔されたくないのは、
上の子も下の子も同じです。

お兄ちゃんが使ってるおもちゃを弟が使いたいなら
「終わったら貸して」ほしいことを伝えて、
「待つ」ことを弟くんも覚えていかないといけません。


相手が兄弟だろうと大人だろうとお友だちだろうと
人が一生懸命していることを妨げてはいけないし、人が使っているものを勝手に取ってはいけない
ということを、
1歳半なり2歳なりの頃から
根気よく何度も繰り返し伝えていった方がいいんですね。

そして上の子も、下の子と同じように
やりたいことを自分で選び、こころゆくまでそのことをして、自分で終わらせていいんです。

おそらく大人も含めてみんな
「自分で自分の活動を完結させたい」
欲求があります。 


「活動の終わりを自分で決められる」ことで
子どもは邪魔を気にすることなく、初めから終わりまで、心行くまで、自分で選んだひとつのことに没頭、集中できます。

この没頭、集中することによって
子どもの中のよい面が、表に現れてくるんです。
(この集中現象について書くととても長くなるので
幼児期後半、3~6歳の話をするときに改めてお話します。)

兄弟の話で言えば
「自分で決めた終わり」までおもちゃを心おきなく使えることで、お兄ちゃんの気持ちがじゅうぶんに満たされ、
そうしたら弟にも快く貸してあげることができます。

逆に、いつも自分が使っているものを途中で取られたり、していることを邪魔されてばかりいると
気持ちはいつまでも満たされず、
下の子がいるところで心おきなく遊ぶことすらイヤになってしまいます。


人は自分が満たされなければ、
他の人に優しくすることはできません。

これは大人もおそらくそうだと思いますが…
子どもなら、なおさらです。

なのに、兄弟の上の子にはそのことを忘れて
「~してあげなさい!」
「○○(下の子)はまだ小さいんだから」
と言ってしまいがち。

下の子がやりたいことをやる権利ばかりが守られて
上の子が下の子に優しくするのが義務!
のようになっていること、本当に多いです。

そうやって怒られている上の子の影で、
ニヤリとする下の子を何度も見てきました(笑)

2歳でも「自分は何やってもたいてい怒られない」ことを分かってる顔でした、あれは…
う~ん、人間の適応力おそるべし。

下の子にそう思わせないためにも
上の子がしたいことを終わりまですることを
意識して尊重して、守ってあげてほしいなと感じます。

そして下の子にも、人の邪魔はしないんだよ、待つんだよということを、1歳半でも2歳でも3歳でも、何度も繰り返し根気よく伝えて頂けたらいいなと思います。

大人が根気よく粘り強くそうしているうちに、
上の子は自分が尊重された分だけ下の子のことを尊重して優しくできるようになり
下の子もまた上の子のすることを尊重して邪魔しないようになりますので。

もちろんお子さんのタイプやケンカのパターンによっては上に書いたことが当てはまらない場合もありますが
「活動の内容も始まりも終わりも
 子どもが自分で決める」
ところを尊重する、
というのだけ、心の片隅に置いておいてもらえたら何よりです。