モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

これだけは伝えたい2つのこと②周りの人や環境を大事にする 1,2歳児

私がモンテッソーリを知ってまもない頃
陥ってしまった症状が、

「子どもを怒っちゃいけないという思い込み」

です。

敏感期やら吸収する時期やら基本的信頼感やら
子どもの内面を知って傾倒しすぎてしまい
目線が子ども寄りになりすぎて
怒れなくなっていた時期がありました。


しかしそんなはずはなかったのです。(-_-)

人としてしちゃいけないことは、
多少怒っても、しっかり伝えないといけませんでした。

それが、「人や物を傷つけてはいけない」こと。

これを伝え始めるのは、1歳過ぎた頃から。


最初の1年で基本的信頼感が育ち、
自分を大切にする気持ちが育まれたら
今度は「周りの人や環境を大切にする」ことも
伝えていきます。


子どもは1歳過ぎるとだいたい歩き始めて、
自分の行きたいところに行けるようになります。
そして1歳半も過ぎれば、
自分の使いたいものをお友だちと取り合ったり
自分が使っているものを取られそうになると
お友だちを押したり叩いたり噛みついたり、
思い通りにならないと持っているものを投げたり、
周りの人や物を傷つけてしまう行動が
どうしても増えてくる時期。

もうこの頃から、
しっかり伝えていかないとなんです。

まだ小さいから分からないんじゃないか
と感じるかもしれませんが、
分からないとしたらなおさら、伝えていかないとです。


上記行動は、子どもの発達の順序としては
至って正常だということを
先にお伝えしておきます。
1~3歳過ぎくらいまでの幼児前期は、
「自分中心」の時期です。

自分が使いたいものは他の人が使っていようが今すぐに使いたいから取る、
でも自分が使っているものを他の人に取られたら怒って何がなんでも取り返す、
人のものは俺のもの、俺のものも俺のものな
ジャイアニズム炸裂の時期です、発達段階としては。


だけど、だからといって
周りの人や物を傷つけていいということではありませんし、他の人が使っているものを取っていいわけでもありません。

子どもは子ども同士の関わりのなかで
「こうしたらいい」「これはしちゃいけない」
を学んでいくのですが
特に3歳過ぎまでは(もちろんそれ以降もですが)大人のお手本が必要です。


例えば、Aちゃんが使っているおもちゃをBくんがムリヤリ取ろうとしてAちゃんが泣いてしまったとき、

まずはBくんを止めて
「お友だちのおもちゃは取らないよ」
としっかり伝えた上で

「Bくん、このおもちゃ、使いたいの?」
とBくんの気持ちも汲み取ります。

それから
「そういうときは、『かして』って言うんだよ」
「Aちゃん、このおもちゃ、終わったら貸して」

とお手本を見せます。

ここでのミニポイントは「終わったら」。

おもちゃを使いたい気持ちはAちゃんもBくんも同じです。
Aちゃんが使い終わって満足してから、そのあとBくんが使えるんだよ
ということをAちゃんとBくんの両方に伝えます。

ただ単に「貸して」だと
「(今は)イヤ!」という返事になりがちですが
「終わったら」をつけることで「いいよ」と言ってくれることが多いと感じます。
(時と場合によっては独り占めにならないよう大人の配慮も必要ですが)


で、ジャイアニズム炸裂の1、2歳児クラスは
大人の仲介が間に合わず、
叩いたり押したり、噛みついたり(!)がどうしてもありました。
すみません…(>_<)
時には毎日のように保護者のかたに謝ることも。

お友だちにケガをさせてしまったときは
強く「ダメ」を伝えます。

ここで厳しくしても大丈夫なのは
「基本的信頼感」が育っていればこそ。

ポイントは
「あなたのことは大好きだけど
 あなたが今したことはダメ」
と伝えることです。

よくない怒り方の例は、
「~する子はキライ」

その子の行動と存在そのものを
ひっくるめて否定する言い方です。

そうではなくて、
「~したことがいけないんだよ」
と、あくまでも行動がダメだということを
強調して伝えなければいけません。

私個人の感じ方かもしれませんが
日本人は特にここが苦手な気がします。

行動がダメと、存在そのものがダメを
つい混同してしまいがちなような印象を受けます。

存在は大好きなのよ、をアピールする手段や機会が
欧米に比べて少ないからかな~
スキンシップとかハグとかキスとか。
と勝手に考えていますが理由はよく分かりません。

でも日本人の私たちは特に
心にとめておきたいところです。

ポイントその②は「毎回リセット」です。

私たち大人は何かと
「ダメって言ったでしょ!何度言ったら分かるの」
と言ってしまいがち。
でも子どもを見ていると、
どうやら毎回新鮮なんですよね、苦笑。
だから大人も毎回リセットして、
新鮮に「ダメだよ」と伝える。
これがなかなか難しいんですが、
子どもには分かるまで繰り返し何度も伝える必要があるということです。



ダメなことをダメ、と多少厳しくても伝えるのは
おそらく本当の愛です。

「人や環境を大切にする」
その反対の人や物を傷つける、人の気持ちを傷つけることが、ダメなこと
という至ってシンプルなことを、
子どもが1歳でも2歳でも、きちんと伝えていくということです。

まだ小さいから、言っても分からないから、
と伝えることをはじめから放棄するのは
子どもを本当の意味で尊重していません。
むしろ残念ながら、半分バカにしていることです。

それは、子どもが社会で自立するお手伝いを放棄しているのと同じだよ、
それは愛ではないんだよ、
とあの頃の自分に伝えてくれたのもまた、
あかねこどものいえでした。