モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

育休は誰のため お父さんの役割

男性の国会議員が育休をとることについて、
日本国内であれこれ議論されてます。

私個人の考えの流れとしては、

おぉ、いいじゃない!(第一印象は賛成派)

→あれ、でも国会議員か…仕事の性質上、無理?(反対派にちょい傾く)

→え、でもそしたら、国会議員は絶対育休取れないってこと?それってなんかおかしいよね…

→そういえば「日本では、国会議員の育休制度はない」って書いてあったな。ってことは、海外はあるんだな。どういう風にやってるのかな。

(→軽く調べる、すぐいろいろ出てくる)

→育休取れる(議員本人が欠席しても民意を反映できる、公務に穴をあけない)方法、あるんだな。
そして国会議員の育休制度を取り入れてる国、めっちゃ多いな。むしろ日本、遅れてるんだな。
これを機に、その遅れてるところ含め、ちゃんと議論すればいいんじゃないかな。
お給料高いっていうのはまた別問題だから別で議論してだな、


という感じで最終的に賛成派に落ち着きました。


そして賛成に落ち着いたら、
かなりおこがましいんですけどあえて言いますと


一保育士、一モンテッソーリ教師の立場からは
子どもの声を代弁して大賛成だということを
伝えたくなりました。


育休って、もちろん大人が子育てするための制度なんですけど
元をたどれば、育つ側の「子どものため」のものなんじゃないのかな、と感じるわけです。職業柄かもしれませんが。

そして子どもの育ちのことが分かると
特に男親が育休を取ることの意義、必要性が
より強く感じられるのでは、とも感じるわけです。


今までは、

「子どもの育ちから見た、
 男性の育児参加の必要性」

なんて、知ってはいても外に出せませんでした。
日本人男性の育休取得率2.3%の現実に遠慮して。
「そんなの理想だろうがよっ!
 現実は無理なんだよ!」
って怒られそうで。

だけど話題になってる今なら
議論の材料のひとつとして
書いてもいいんじゃないかな?と。


ということで今日は
子どもは生まれたときにどんな状態にあって
何を求めているのか、
そこからどう発達するのか、
そこにはどんな環境が必要なのか、
大人、特に今回は男親はどうあればいいのか

0歳児の育ちについて
私の学んだ範囲で書いてみようと思います。
(読んで下さってる先生方、変なこと書いてたら遠慮なく教えてくださいねっ)


********


まず、生まれてきた赤ちゃんがどんな状態で、
何を求めているのかを説明するために、
お腹のなかから話を始めます。
ちょいお堅い話かもしれませんが、少しの間だけおつきあい下さい。


生まれる前の赤ちゃんは、およそ10ヶ月、お母さんのお腹のなかにいます。
このお腹のなかは、温かい羊水で満たされていて、必要な酸素や栄養が送られてくる、赤ちゃんにとって申し分ない環境です。

それが、生まれ出てきた途端、
全く違う環境におかれます。

まず自分を包み込んでくれていた温かい羊水はなくなり、外気にさらされます。
酸素を自分で取り込むために自分で呼吸を始めなければなりません。
栄養も待っていれば送られてくるわけではないので
自分で泣いてお腹が空いたことを知らせ、
おっぱいを自分で吸わなければなりません。


がらりと変わった環境により、
生まれたばかりの赤ちゃんは
「不安な状態」
がベースにあります。
(生まれ出てきた)ここはどこなの?
どんなところなの?
という不安です。

不安ベースの赤ちゃんが最初に求めるものは
「安心」です。


そしてこの不安を安心に変えてくれるのが
お母さんの存在です。

生まれた瞬間から温かい胸に抱いてくれて、
お腹が空いて泣いたらおっぱいをくれて
眠くて泣いたら抱っこしてくれて
オムツや服が汚れて泣いたら取り替えてくれて、

とにかく赤ちゃんが泣いたらすぐに
「どうしたのかな、あれかな、これかな」
と対応してくれるお母さんの存在によって

「生まれてきたここは、いいところなんだな」
「この人が、何でも受け入れてくれるんだな」

と安心して、
生まれてきた環境やお母さんを信頼するようになります。
そして

「僕は/私は、生まれてきてよかったんだな、
ここにいていいんだな、
ありのままで愛してもらえるんだな」

と自分自身の存在をも信頼できるようになります。

この基本的な信頼感、
お母さんを始めとする周りの人や、
生まれてきた環境や、
自分自身に対しての信頼感が
その後の幼児期、学童期、思春期、成人期と続く人生の、強く大きな土台となります。


かなりざっくり説明すると、
この基本的信頼感の土台がしっかり育っていれば
その後の大抵のことは乗り越えられる力になる
そのくらい大切なものです。


生まれて最初の1年、
その中でも特に最初の2ヶ月は
赤ちゃんが要求するだけ
抱っこしたり、おっぱいをあげたり、
オムツや服を替えたり、笑いかけたり
とにかく要求に何でも応えることで
赤ちゃんの基本的信頼感がしっかり育ちます。
特に授乳は、お母さんと赤ちゃんが密なコミュニケーションを取る、とても大切な時間です。


お堅い話はここでいったん終わりにして、
ここでお母さんの立場に話を切り替えます。


「赤ちゃんの要求に何でも応える」
ってさらっと書きましたけど、
これがどれだけ大変なことか
最初の2ヶ月の生活サイクルを見てみると、


昼も夜も関係なく3~4時間おきに起こされ、30分~時には1時間近くかけて授乳して、げっぷが出るまで抱っこでとんとん、オムツも汚れてたから替えて、そのあと寝つくまで抱っこして、やっと寝た…さぁ私も少し寝るかと思ったらまた2~3時間後に起こされ(お世話の1時間分、間隔が短くなる)、授乳して、以下エンドレスループ

その合間に自分も寝たり、自分のご飯の用意をしたり食べたり、トイレに行ったりシャワー浴びたり、洗濯物もたまったらしなきゃいけないし

その間も容赦なく、郵便は来るわ電話は鳴るわ買い物行けない分の宅配届くわでわーーーーーーーーーーーーーー(発狂)


ってなるな、私なら。
全国のお母さんありがとう。・゜゜(ノД`)


しかも出産という大仕事を終えたあとの
疲れた身体にこの生活。
いくら我が子可愛くても
可愛さ<<<大変さ 
になっても、ちっともおかしくないんです。

さらに赤ちゃんを産む前と後で、
ホルモンバランスが劇的に変化することによる
身体のだるさや重さら気持ちの落ち込みも半端ない時期。ホルモン恐い。


お母さんがこのような状態で、
赤ちゃんの要求に何でも快く応えられるかといったら、
おそらく無理だと思います。

赤ちゃんの基本的信頼感をしっかり育てるというのは、すごく大切なことなのに、そんなに簡単なことではないんですね。
だからこそここで、お父さんの存在が大切になってくるのです。

「男親がいても、役に立たない」
と仰る方がいますが、とんでもない!
してもらえたら助かることは山のようにあります。

基本的に授乳はお母さんしかできませんが
お母さんが授乳している間に、郵便を受け取ったり電話に出たり来客の相手をしたりして、二人の大切なコミュニケーションの時間を守ることはできます。

お母さんのトイレやシャワーの間、赤ちゃんを見守ることもできます。
洗濯や掃除もすごく助かります。
食事の用意や買い物なんて本当に嬉しいです。
寝かしつけを交替してくれたら最高です。

と、好き勝手書きましたが、笑

お父さんに求められる役割は
「赤ちゃんとお母さんを守る防壁」です。


赤ちゃんの直接のお世話をするのは、赤ちゃんから見たら一人でも充分なんですが、
一人の大人が赤ちゃんのお世話に専念するために、もうひとりの大人が防壁になることが求められるのです。


男性の育休取得率2.3%という劇的に低い日本では
この「もうひとりの大人」になるのは実家の親であることが多い(または全く誰にも頼らずお母さんひとりで育てることも今は少なくない)のが現状です。

つまり、お父さんは、ほとんど赤ちゃんのお世話やお母さんの手助けができないまま時間が過ぎ、子どもが大きくなるということです。


これの何が問題かというと、


赤ちゃんのお世話を、やらなければいけないとかそんなこと考えるひまもなく、最初のうちはほぼ不眠不休、無我夢中でやっている間に
大人と赤ちゃんの間に強い結びつきが生まれます。
これは、世のお母さん方が無意識のうちに感じていることではないでしょうか。


実は子どもだけでなく、
大人にも
「親になる敏感期」
があります。
(敏感期:環境に適応するための一過性の時期)

それが赤ちゃんが生まれてからの、最初の数時間~数日間です。

ここを逃すと、親の子どもへの愛着が無意識に薄くなるのは、科学実験でも実証済みだそうです。

お母さんは初めからお母さんなのではなく
妊娠、出産を経て
親になる敏感期に赤ちゃんのお世話をすることで
「お母さんになる」のです。

赤ちゃんが環境に適応していくのと同じように
大人の方も、赤ちゃんが生まれたという環境の変化に適応していくということです。
そしてその適応にも、旬の時期があるのです。


これは、お父さんにも全く同じことが言えます。

特に、男親の場合は
妊娠、出産の体験ができない分、
生まれてすぐの「親になる敏感期」に赤ちゃんを抱っこしたりお世話したりして、
赤ちゃんとふれ合うことが、父親としての実感を強く持つ手助けになります。


逆に、ここを逃したままだと、

家族のなかで、自分だけが親としての実感をいまいちしっかりと持てないまま、どこか子育てが他人事のような状態です。
その間にも、妻は母になり、赤ちゃんはそのお母さんと強い結びつきを作る中で、お父さんだけ置いてきぼりです。

そして育児に手を取られ、家のことや自分のことを今までよりしなくなった妻に「今までと違う…」と不満を持つようになりがちです。

残念ながら今までと違うのは当たり前です。
赤ちゃんが生まれたことで、家庭環境が大きく変わったのですから。家族はその環境の変化に適応していく必要があるのですから。
夫も環境に適応して「父になる」ことが求められているのです。

厳しいことを書き、申し訳ありません。
それでもあえて書いたのは、
赤ちゃんから見たらこの
「夫婦の不協和」
こそが、一番の不安の原因だからです。

無意識に何でも吸収する時期は、周りの人の感情も無意識に吸収してしまうのです。そしてその不安は、時には夜泣きとして表れることもあります。


赤ちゃんの基本的信頼感を育てるためには、お父さんも子育てを他人事とせず、お父さんとお母さんが助け合い、支え合って赤ちゃんのお世話をすることがとてもとても、とーっても大切なんですね。

そのためにも、男性の育休が必要だと思うのです。


ここで、実際に育休をとった男性の声を拾ってみます。

「育児ノススメ」
http://s.ameblo.jp/ikukyu-no-susume/

この方はあかねのお父様で、お子さんが兄/年中さん、弟/1歳児のときに、3ヶ月の育休をとっています。「親になる敏感期」ではなかったですが、それでも育児と家事をご自分ですることで、お子さんや奥様に対する考え方や価値観がどんどん変わっていくのが、読んでいてよく分かります。その後も「夜9時以降は残業しない、効率的に働く宣言」など、ご家庭とお仕事のバランスを考え、実行にうつしています。私の理想のご家族のひとつです。


イクメンより、ツマメン」
http://www.homework-net.com/osekkai/archives/5

この方は、上のあかねのお父様のお知り合いで、私これ読んだときほんとに感動しました。
しょせん理想は理想であって、机上の空論なのかな~と私が諦めてたことを、ご自分で体験して掴み、発信している人がいるなんて…!(驚愕)
「愛する妻を思いやる」視点から育児、家事をするって、まさに理想じゃないか。びっくりしたわ~ 
私の希望の星です。お会いしたことないですが、笑
いつかお会いしていろいろお話してみたいです。


リンクを貼る許可を頂いたのはこのお二方のみですが、育休をとった男性のブログや記事は探すといろいろ出てきます。中には経営者の方も。

育児をされた男性が皆さん口を揃えて言うことは

「こんなに大変だとは思わなかった」

ということです。

この気持ちが生まれることによって
「妻が育児をするのは当たり前」
というそれまでの意識が変わり、
そして、育児が他人事ではなくなり、当事者として育児をするようになる。

このことが、お母さんにとって、一番嬉しいことなんじゃないかな、と思います。

お父さんが当事者意識をもって育児にあたり
お母さんがそれを喜び
その喜びが赤ちゃんに伝わり、安心して育つ。

このような、優しい気持ちの循環が見えてきます。


今現在の赤ちゃんは、20年後の大人です。
その大人になるまでの間、お父さんがどういう意識でいるか。
妻に任せる、と他人事でいるのか、
家族で育てていく、自分事としているのか。
その20年間の積み重ねの差は大きいです。

20年後~その先を見据えた、
長~い目で見た「育休」議論が
これを機に、深いところでできるよう願います。

皆さま、よいお年を!
年内にまとまってよかった!笑