モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

優しくポジティブな声かけは、大人にも優しい

敏感期の話をしたかと思えば、今日は大人の声かけの話…何とも計画性がなくて分かりにくい、汗。

1 子どもは自立に向かって発達するパワーを元々持っている
2 適切な環境がその発達を手助けする(適切でない環境は発達の邪魔をしてしまう)
3 大人もその環境の一部(発達をお手伝いすることはできても、ムリヤリ発達させることはできない)

という3本の柱があって、例えば敏感期は1の子ども側の話です。今日は、3の大人側のお話。


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先日、また急遽、保育のヘルプを頼まれまして
それはもう嬉しくて嬉しくていそいそと赴いたわけですが(デジャヴ)

3~6歳児クラスで一緒にお仕事させてもらった先生の声かけが、すごく落ち着いていて穏やかで優しくて、でも伝えたいことを根気よく繰り返し伝えていて…
何より、言葉選びや雰囲気がとても優しくてポジティブだったのが、とても印象に残りました。ので自分のためにも書き残します。


例)お部屋でドタバタと走り回っている子に
「歩きましょう。お部屋では、歩こうね。」


う~んそうだった。
「走っちゃダメ!」「走らないの!」じゃないんです。

この声かけの何が好きかって、まず
【禁止しない、否定しない】
ところ。
これ、言う側の大人にも優しいと思うのです。

自分が発した言葉はまず自分の耳が聞くので、そのネガティブワードの雰囲気に、言ってる方が自己嫌悪…ってこと、ありませんか。

私はあかね時代、よくそう感じていました。
(今日もまた、ダメダメ言ってしまった…)
と家に帰ってから何度ひとり反省会したことか。

もちろんダメなことはダメと伝えるのも大人の役目ですが、お互いに気持ちが沈まない言い方ってあると思うんですね。


この禁止・否定用語の代わりに、
【具体的にどうすればいいか】
を伝えてくれるのも、優しさポイントです。

走らない→歩こうね

う~ん、そうだった。
この変換のしかた、小さな子どもでもよく分かるのでほんと好きです。


話は少しずれるかもしれませんが、よく「ちゃんとしてよ!」と怒っている大人を見かけます。
でも子どもからしたら

(ちゃんとするって、どうやるの???)

ってことだと思うのです。
具体性に欠けるので伝わりにくいんですね。
私もこれに気づいていなかったときは、
「ちゃんと座って」
「ちゃんと食べなさい」
と、連呼していました。


ダメの代わりに、具体的にどうすればいいか、を言葉にして伝える。

このポジティブ変換、意外ととっさに出てこないのですが、心のどこかに置いておきたいポイントです。


さらに、この声かけには続きがありました。

「走りたい人は、お外遊びの時に走ろうね。
お部屋の中では歩きましょう」

走りたい子に、走っていいところ・ときを伝えていました。

走りたい!というパワーは、
運動の敏感期(0~4歳半)には抑えがたい、身体の内側から溢れ出る欲求の1つではあります。

だからと言ってそこを尊重し過ぎて、いつでもどこでも走り回っていいか、というとそれはやはり違うわけで。

スーパーやお店の中、お部屋の中、人が密集しているところ、車通りの多い道など、走ったら危ない場所、迷惑な場所というのは必ずあります。
そこをしっかり、小さな頃から伝えていくのも、大人の役目です。

その上で、お外で走ろうね、と走れる場所(や時間)を伝えて、そこでは思う存分走り回れるようにする。

制限の枠組み、逆に言うと自由の枠組みをしっかり伝えてくれるのも、本当の意味での優しさポイントだと思います。



さらにさらに、「歩き方」を、先生が実際に
【やって見せて】いました。

言葉だけだと伝わりにくいことも、実際にどうやるかを大人が見せると、より具体的にどうすればいいかが伝わります。百聞は一見にしかず。

先生が音をたてないように静かに歩く様子を、子どもも真似しているのが何とも微笑ましく、でもこれってすごく分かりやすいな~としみじみ。

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この、走らない→歩こうね の他にも

・部屋で大声を出してしまう子に:
「静かにしなさい!」→
(わざととても小さな声で)
「このくらいの声でも聞こえるよ、大丈夫」

・何度も同じことを連呼する子にも:
「何度も同じこと言わないの!」→
(優しい穏やかな口調で)
「一回で聞こえてるよ、大丈夫だよ」

・お弁当の時、箸置きで遊び始めた子に:
「箸置きで遊ばない!」→
「箸置きはどうやって使うんだっけ?」
(こう、と子どもがお箸を置く)
「そうだね(笑顔)」

・だらーんと座っている子に:
「ちゃんと座って!」→
「もう少し、いすを前に引きましょうか」
(とやって見せる)

などなど、時間いっぱい、優しい声かけを堪能しました。

この日は2歳半~3歳半くらいの子が中心だったのですが、この先生の優しさがクラス全体ににじみ出ていて、それが子どもたちにも伝染して、とても落ち着いていて穏やかな雰囲気でした。
いや~心洗われた…大人の私が…


3歳頃までは【無意識的吸収期】といって、
周りのことを何でも吸収して自分の人格の一部にしてしまう特殊な時期なので、大人の雰囲気が子どもにいちばん映りやすいときでもあります。

この優しいポジティブな声かけが、子どもたちの人格や今後の人生を、優しくポジティブなものにしてくれるんだろうな…
などと、仕事しながらしみじみと感じていました。

(無意識的吸収期、運動の敏感期については、別枠で詳しく書きます。いろいろ追いついていなくてごめんなさい)