モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

Q. 2歳半 共感しても、よけい反発します

「おうちの環境/絵本について」
「時間の伝え方」
についてご質問いただいているのですが
(お返事遅くなっていてごめんなさい)

こちらの質問の方が
緊急度が高そうだったので先にお答えさせて頂きます。



【ご質問 2歳半 男の子】

息子への共感のしかたに悩んでしまいます。

最近は自己主張がハッキリし、
成長って凄いなぁと感心しつつも、
今までのような「〜したいんだよね」の共感では通じなく、
むしろ共感なんかいいから俺のやりたいようにさせろ!
と言わんばかりの「いいの!」となってしまいます。

例えば、
保育園で車で行く時に「行きたくない!」
私「○○は保育園行きたくないんだよね〜」
息子「いいの!」
私「ママと離れるの寂しいんだよね〜」
息子「いいの!」
私「……:( #´°ω°` ):イラッ」
息子「いいの!いいの!」
私、無言で保育園へ送る……。

息子もまだ言葉がペラペラと話せる訳ではないので、
自分の気持ちを言葉に出せなくてイラだたしいのは重々承知ですが、
私も魔法使いではないので正直参ってます。

なので最近は共感より、
息子「保育園行きたくない!」
私「じゃあ家で1人になるからね、誰も遊んでくれないよー」
息子「いいのー!涙」
と脅して動かす感じになり、とても自己嫌悪で、
こんな母親で息子が可哀想だなと思います……

一応モンテッソーリを基盤にしたスクールの講座など通ったりしますが、
こちらでももしご意見を聞けたらなと思いメールさせて頂きました。


【回答】

子どもが成長するにつれて
今までの関わり方が通用しなくなってきた
というのは、
大人も変わる必要が出てきたというサインです。


このお子さんの場合は
イヤイヤ期のピークを迎えて
親御さんも大変な思いをしている最中です。


イヤイヤ期のことを、モンテッソーリ教育では
「自己肯定の危機」と呼んでおり
人間の発達の中で、自立に向かう大切な節目です。


自分という存在が、周りの人とは違う別の存在だということに気づき
それを確かめるように
言われたことすべてに「イヤ!(この子の場合は「いいの!」)」
と返す時期
です。


なので、この時期の子どもにとって、
「イヤ!(いいの!)」は自分の存在を再確認する手段であって
本当に嫌な場合もあるけど、それほど嫌でない場合もある
(ただ言いたいだけのときもある)

ということを、頭の片隅に置いておくと
大人が少し楽です。


何が言いたいかと言うと、
「言葉通りの意味じゃないときもあるから
 子どもの言うこと全部に共感しなくてもよい。
 共感しつつ、少し受け流しても大丈夫
ということです。笑


言葉尻通りの意味でまっすぐ捉えすぎると
大人が疲れますよね。
私も疲れます。笑


保育園の例でしたら

「そうか~、行きたくないのか~」
と一度受け入れた後に「いいの!」と突っぱねられたら
あとは「そうなんだね」くらいに受け流し、
そのかたわら粛々と出かける準備を進めて大丈夫です。


「いいの!(怒)」の状態のときに
いろいろ声をかけると
火に油状態になることも少なくないので
共感も含めて声かけそのものを減らす
というのは一つ、改善に向かう方法かもしれません。



そしてさしでがましくてごめんなさい、
もうひとつ、どうしても引っかかるのは
「~なんだよね」
という語尾です。


共感は確かに大事です。


でも、「~なんだよね」
と言う言い回しは、
「もしかしたら(合ってるしれないし、違うかもしれないけど)こういうこと?」
という子どもへの確認の意味合いが抜けてしまっていて
「あなたの気持ちはこうなんでしょ」
という、大人からの決めつけのようにも聞こえてしまうのです。


そしてその決めつけが
子どもをいらだたせる原因の一つかもしれない
のです。


あなたの気持ちは、あなたにしかわからない。
だからこそ、確認させてもらえると、こちらも安心できるし
なによりあなたに共感したいんだよ


と気持ちでいると、
「いいの!」と言われたときに

「そっか、いいのか~」
(子どものセリフをそのまま反復して「聞いてるよ」を伝える)

「ママと離れたくないのかなぁ」
「あのおもちゃでまだ遊びたかったのかなぁ」
(ひとりごとのような疑問形での確認)

など、違う言い回しが出てくるのではないかな、と思います。


そうやって共感しつつ
「行きたくないのか~
 でも行くんだよね~笑
 帰ってきたらまた遊ぼうね~」
と、やらなければならないことは嫌でも暴れても淡々と進める


みたいなスタンスで
子どもの全部を受け止めようとせず
右から左に受け流すすべも
少しずつ身につけていけるといいのかなと思います。
(イラっとしたらムーディー勝山を思い出してください)




以上、
「いいの!」となってしまったときの対応のしかたを
思うままに書いてみました。


それと同時に
「いいの!」以外の場面で
やってみてもらいたいことが3つあります。
(すでにやっていらっしゃるかもしれませんが)


1.どういう状況で「いいの!」となるのか観察してみる

ご自身でもお子さんをよく観察してみると
「いいの!」が出やすい状況や場面が見えてくるかもしれません。

それが見えてくると
「いいの!」と言わせない対策も取りやすくなります。


例えば、
「保育園行くよ」の声かけの直前に子どもがしていたことを観察
→それを中断されたから「いいの!」

なのかもしれませんし、
ただ単に、眠いから機嫌が悪いだけかもしれません。


理由が分かると、それを取り除いたり予防したりできるので
「いいの!」を少しずつ減らせるようになります。
そのための観察を、1日5分でいいのでしてみて下さい。


2.あらかじめ伝える

保育園の例なら
「時計の長い針が4に来たら出るよ」
(数字が分からないお子さんなら印をつける)

などと、直近の予定をあらかじめ伝えておいて
「子どもと約束しておく」と
うまくいく場合もあります。
(ということは、うまくいかない場合もあるということです笑)


3.選択肢を与える

「保育園に行くよ」
という声かけだと
エス/ノーで答えられるので
イヤイヤ期の子はだいたいノーで答えます。笑

「今日はどの靴で保育園に行く?」
と、あくまでも行くスタンスは変えず、
その中で子どもが自分で選ぶ場面を作ることが
効果的な場合もあります。

この場合は
その時点での子どもの選択を尊重することが大切です。

ここで大人が、子どもの選んだものを否定すると
よけいこじれます。苦笑

極端な話、
長靴を選んだら晴れていても履いていかせる
(そのかわり、外遊び用のスニーカーは大人がこっそり持っていって園に置いておくなど工夫する)
ということです。




この3つをやってみて
それでも「いいの!」となるようでしたら
「私はできることはやった、がんばった」
とご自分を認めてあげて
あとはお子さんが泣こうがわめこうが
やるべきことを粛々と進めていってください。←こればっかり笑


「ダメなものはダメ」
「やらなきゃいけないことはやる」
という制限があって
その中で子どもが最大限に自由に過ごす
というスタンスの教育法なので
私も含めてそこはとても厳しいです。笑


(といっても、そんな大げさなことではなく
「外遊びから帰ってきて手を洗う」
とか
「ずっとトイレに行ってないからトイレに行く」
とか
生活の中で最低限当たり前のことだけですが
そこで大暴れするのがこの時期の子どもたち…笑)




ここから先は、別の話になります。


例が保育園に行く行かないの話だったので

「本当に行きたくない場合もあるな…
 園生活で何か嫌なことがあるのでは…?」

という可能性がゼロではないのかも
とも感じました。

おそらく違う
(園に行く行かないだけでなく、多くの場面で「いいの!」となる)
んだとは思いますが

そこはお子さんの様子をよく観察して
心配ならば園の先生に
今のお子さんの様子をお伝えしてみてほしいなとも思いました。

「家ではこうなのですが、園ではどのような様子でしょうか」

と一言(連絡帳でも口頭でも)伝えてもらうだけで、
保育園の先生としても
家の様子と照らし合わせて、総合的に判断して答えることができますし
園での様子の見方も少し変わってくるかもしれません。


もし、「園ではとても楽しそうです」
「特に変わった様子はないです」
というお返事だったら、何の問題もないので
「いいの!」への対策を、日々の生活の中で探して見て下さい。



長くなりましたのでまとめです。

・「いいの!」と言いたいだけの場合もあるので受け流してもOK
・共感の言い回しを「~なんだよね」じゃないものに変えてみる
・共感も含めた声かけを最小限にしてみる

・子どもを観察して、どんな状況で「いいの!」が出るか分析
・あらかじめ伝えて約束しておく
・子どもが選べるようにしておく

・「園に行かない」があまりひどいようなら園の先生にも相談して、子どもの生活を総合的に判断する


もし改善されない場合は、またお知らせください。

Q. おうちの環境の整え方 おもちゃの数について

「おうちの環境の整え方」の回答に対して
複数ご質問頂いた中の、2問目です。


>6種類を目安に、お子さんがよく遊ぶものを中心に置いてみて下さい。
(という、おもちゃについての記載に対して)


【ご質問】

6種類の中に、お絵かき道具、工作道具なども含まれますか?
置くものをローテーションしようかなと思うときの
子どもの様子で参考になる例がありましたら教えていただけますか?
二人兄弟ですと、全部で12種類でしょうか、
それとも、兄弟合わせて6種類でしょうか。


【回答】

実はこの6種類に関しては、
私も書きながら迷ったところですw


モンテッソーリ教育はいつも、
答えではなくヒントをくれるのみなので
最終的にはこちらで考えなければいけないのですが


お子さんが「自分で元の場所に戻せる」量と種類


というのがポイントなのかなと思っています。

 

で、このご相談者様の場合は
下のお子さんが1歳代なので


・何でも引っ張り出す→散らかる
・上の子のすることを真似したがる
・ひとりでは元に戻せない


ということも鑑みて、玩具や教具の環境を整えなければいけません。


これも、私ならどうするかな
という経験論でしか書けないのですが


まず、お絵かき道具・工作道具は、それ専用のスペースを確保します。
(ビニールマットを敷いた机やイーゼルなどの近く)



そして、

・上の子しか使えないもの(色鉛筆や折り紙、ハサミなど)
・下の子も触っていいもの(蜜蝋クレヨンや厚紙、ビニールエプロンなど)

に分けてセットして
上の子のものは上の子しか届かないところに置き
それ以外は下の方に置くようにします。


粘土もこのエリアに置きます。



それ以外の玩具は
少し離れた棚に置きます。


この2つのエリア(工作系と玩具)が近すぎると
ちょっと目を離した隙に
クレヨンでレゴを塗ったり(実例w)
粘土をミニカーに詰めたり(実例www)
大人にとってはあまり好ましくないことをする可能性があるので
できるだけ離れたところに設置した方がいいと思います。


おもちゃの種類については
2人で12種類だと、すごく散らかりそうなのでw、
私なら工作系を含めて、
2人で6〜多くても8種類までに留める努力をします。



その代わり、玩具は
・上の子も下の子も遊べるもの
・発展性があるもの
を厳選します。



具体的には、これも完全に個人の好みですが

・カプラ
・レゴ(大きさに注意)
・ソフトブロック
・マグネットフォーマー
・レンガ(ドミノ)積み木
・ミニカー
・電車とレール
・人形とお布団、おんぶひもセット

などを
お絵かき・工作・粘土などと合わせて6〜8種類になるように
ローテーションして置きます。
(もちろん、お子さんが好きなおもちゃで他にあれば、リストに入れてくださいね)


例えばマグフォーマーなら
小さいときはくっつくこと自体が楽しくて
平面状のものばかり作っていたのが
年齢が上がるにつれて立体を作り
それをさらに組み合わせて新幹線やおうちを作ったり
小学校に上がったら幾何立体の展開図を理解するのに一役買ったり
と、だんだん発展していくので
ひとつのおもちゃで異年齢の子どもが同時に遊べて、
しかも長く使えます。



もちろん、下のお子さんにしか興味が当てはまらないもの
(簡単なつまみつきパズルや、「落とす」教具など)
を置いておいても構いません。

でも、上にも書いた通り
自分一人では元に戻せないのと
おそらく上の子の真似をしたがるので
やっぱり二人合わせて6~8種類程度がちょうどいいのかなと思います。


この他に、
掃除や洗濯、クッキング、動植物のお世話など
大人と一緒にする活動を組み込む形です。



ローテーションの基準としていちばん分かりやすいのは
おもちゃ(またはその入れ物)にホコリがたまってきたとき。

そこまでいかなくてもw、
何となく見ていて、
「あぁこれもう、あんまりさわってないな」
と感じたら、それは一旦しまって
別のおもちゃと交換します。


同じおもちゃでも
しばらくしまっておいてから再び出すと
もう一度新鮮な気持ちで取り組めるようです。



園でも、夕方は小さい子から年長さんまでの合同保育となることが多く
レゴやカプラ、ミニカーなどのおもちゃを一緒に使うことになるので
すぐ取り合いになったり、他の子が作ったものを壊してしまったりと
なかなか大変ではありますがw、
それでも、幅広い年齢の子どもたちが同時に遊べるおもちゃというのは
やはりありがたいものです。

何か少しでも参考になりましたら幸いです。
(他に何かおススメのおもちゃがあればぜひ教えて下さい~)




Q. おうちの環境の整え方 色調について

ご質問頂いていたのに、空いてしまってすみません。


以前、おうちの環境の整え方についてご質問頂いた方から
追加でいくつかご質問を頂いてますので
ひとつずつお答えします。
(個人的に答えやすいものからにさせて頂きますね)


【ご質問】
 
モンテッソーリの相良先生の本で
子どもにはピンクがいいと書いてあった気がしたのですが
色調がシンプルなほうがいい、
ピンク単色がおすすめ、
カラフルがいいなどありますか?

“魅力的で美しく”であればなんでもいいのかもしれませんが、
“美しい”って難しいです。。



【回答】

「魅力的で美しい」って
確かにとても主観的ですね。笑

色に関しては
どの色がいいか、というのは
その人個人の好みや
地域や国の文化に左右されるところがあるので
一概にどれがいい、と言い切るのは難しいのですが


お部屋全体のトーンとしては
シンプルな淡色がいいと思います。

理由は2つ。


1. 教具、玩具が映える背景としての色
2. 子どもを過度に興奮させない


相良先生がピンク推しなのも、そのような理由ではないでしょうか。

上の2つを満たす色ならば
ベージュ、淡いクリーム色、薄い水色や緑色など
お好きな色でいいと思います。


ただ、真っ白のお部屋は
心理学的には不安を駆り立てる
とどこかで見たことがあり、
個人的にも病室を彷彿とさせるので納得しています。
(出典が曖昧でごめんなさい)


私個人的には、インテリアでは
木や籐や竹などの
自然素材のぬくもりを感じられる色が好きなので
それらの色をベースに、
季節で入れたい色(夏なら寒色系、冬なら暖色系)
を足していけるといいな〜と思っています。
(いいな〜 の時点で今現在できてないことが分かりますねw)



個人的には
色調にも関わってくる要素として
「素材選び」がとても大切だと思っています。


モンテッソーリの子どもの環境を考えるときに
「子どもサイズ」
「本物」
はよく取り上げられるのですが


それと同じくらい
「自然素材」
というキーワードがよく出てきます。


実際、今まで見たモンテッソーリの環境で
「ここ、素敵だな」と感じたところは
自然素材の使い方がとても上手でした。


子どもだけでなく、大人も気持ちが落ち着いて
地に足をつけて作業に取り組める、そんな作用がある気がしました。




自然素材は、同じ物の中にも
濃淡のムラがあって
色の出方が均等でないので、味わいがあります。



コットン、リネン、ジュート、
ウール、シルク、革、
木、籐、竹、石、陶器、ガラス、
ホーロー、ブリキ、シルバーなど


それぞれの素材に
それぞれの色味だけでなく
異なる手ざわりや温度があります。


また、使い込んでいく中に
単なる汚れや劣化ではない、
独特の味わいがでてきます。



プラスチック製品は
最初のうちはきれいでも
だんだん薄汚れたり色褪せたりして
劣化したら、もう魅力的ではなくなってしまいます。
そしてゴミになってしまいます。



最終的に
「宇宙の中の、地球上で暮らす人間」
として、
自分や自分の生まれ育った環境を大切にしながら
他人や他の国や地域の環境とどのように調和しながら生きていくか
を考え実行していく人を育てる教育でもあるので
そういった意味でも「自然素材」は大切なキーワードのようです。


(あんまりここを強調すると
 引いてしまう人もいるからなのか、
 日本ではあまり強く言いませんが
 国際コースではかなり重要視されている印象を受けました)



これだけプラスチックが溢れている今の生活で
自然素材のみで生活するのは
なかなかハードル高いですが、


・これから購入するものは、プラスチック製品でないものにする
(ジョウロやバケツをプラスチックではなくブリキのものにするなど)
・一度買ったプラスチック製品はできるだけ長く使う
・目につくところは自然素材を使い、見えない所の整理にプラスチック製品を回す


などの工夫で、
大人にも子どもにも魅力的なお部屋を作っていけるのではないかと思います。



また、モンテッソーリさんは
子どもが生まれ育つ地域や国の文化を
とても尊重しています。


日本だったら
木造家屋そのものや
障子紙、畳、すだれ、
ほうきとちりとり、雑巾なども
我が国特有の文化のものです。


今のライフスタイル自体がかなり西洋化しているので
これもまた、時代に逆行する形になるのかもしれませんが

日本の夏の高温多湿、冬の低温少湿(っていうのかな?)
に合ったものとして
畳や木が今まで使われてきたことなどを鑑みれば
理にかなっている部分もあるのだと思います。


普段の生活の中で、
ムリのない範囲で
自国の文化を伝えられるような
魅力的な環境を作っていきたいものです。




色調の話からだいぶ広がりましたが、
色調も含め、子どもを取り巻く環境を
特に6歳までの子どもたちは、丸ごと吸収して育っていくので
(感覚の敏感期や秩序感にも影響しますね)


子どもも大人も落ち着ける環境を目指して
試行錯誤していこうと思います。
(ウチの場合は、物を減らすところからかな〜…)

Q. 子どもの園選びで悩んでいます 

【ご質問・ご相談】

娘も先日2歳半を迎え、
随分といろいろなことが分かるようになりました。
あんなにハチャメチャだった娘が、
こんなに落ち着いて人の話を聞き、
要求を言葉にして、
駆け引きとさえ思えるような言動をとるようになるとは。
(以前ご相談させていただいたこともありますが、
モンテッソーリ幼稚園の体験見学で
「制限があっての自由ですから」
と叱られるような
とってもとっても自由人でした)

モンテッソーリ女史の言葉
「お仕事を経て正常化する」を信じて
辛抱強く接してきた甲斐があると強く思います。

しかし、ここまでの辛抱強さと、
これからの辛抱強さは、
少し質が変わって行くのではないかと
なんとなく感じています。


質問に移ります。
娘は、一般的に言われる
素直にいうことを聞く子ではありません。
少し頑固というか、偏屈というか、
納得しなければテコでも動きません。

(モンテッソーリをやってきたからではなく、
もともとそういう気質だと思っています。
だからこそモンテッソーリ教育
この子に必要ではないかと思ってやってきました。)


ただ、素直にいうことを聞く子ではないものの、
悪い子でも問題児でもない と私は思っています。

きちんと順を追って話し、
こちらの要求と彼女の要求をすり合わせたところで
落とし所を見つけられたら、
あっさりとその通りに動いてくれる子です。


けれど、来年度入園を控えて
あちこちの幼稚園のプレへ通っていると、
「困った子」扱いをされているような気がしています。


今通っているのは、3園。

①純粋なAMI系モンテッソーリこどもの家
(電車とバスで最短45分、母子分離のインファントコミュニティ2時間半、完全自由活動・おやつ・お集まり)

モンテッソーリを取り入れているカトリック幼稚園
(自転車で10分、親子教室2時間半、自由活動と朝の会(歌・お祈り・出席)・制作・外遊び・おやつ(お祈り)・帰りの会(絵本・お祈り))

モンテッソーリの理念を取り入れてはいるが、表立ってモンテ園とは公言していない園
(自転車で5分、母子分離1時間半・秋から2時間、朝の会(歌・ご挨拶・出席)・制作・外遊び・おやつ・絵本・帰りの会(歌・ご挨拶))。


幼稚園は、十何人の子どもたちが一斉に動かなくてはならないので、
1人にずっと時間をかけているわけにはいかないのは分かります。

それに2年半ずっと一緒の私ほどには
彼女の要求を汲み取ることも難しいとも思います。


でも、彼女の気難しさは、
受け入れてあげるだけで半減するんです。
それをなかなか分かってもらえません。


1時間以上(大人で最短45分、娘を歩かせたら2時間)をかけて、
きちんと娘を見てくれる園(AMI系のこどもの家)に通わせるべきか、
ある程度娘にも一般的な扱われ方を幼いうちに経験させるべきか、悩んでいます。


これは、最終的に家族の問題でもあるのですが、
夫が「一般的にはこう、というのを小学校前に経験しないと!」
と言います。
そんなことを幼いうちに体験することが良いことでしょうか?


私は娘が自分からそこに気づいて
なるようになれば良いと、
2時間の道のりを通う覚悟でいますが…
それが彼女のためになるのかに自信が持てません。


モンテッソーリ教育を貫くというのは、
周囲の考えを押し切って行く強さがないと難しいと最近感じています。
娘も気難しいですが、私も気難しいと自分で思います。。。


答えにくい質問、というか、
日本の教育ってモンテッソーリ教育と相性悪いですよね、
というただの愚痴になってしまってますが…
最初にぶち当たった壁に、一周回って再びぶち当たってしまいました。

ちなみに、1番最初に叱られた園には、体験見学以来行っておりません。。。


モンテのお仕事や制作をさせたいわけではないのです。
お仕事を経て正常化する娘を見たいんです。
そこに寄り添ってくれる園に行きたいだけなんです。


母子分離のプレ幼稚園から帰ってきて、
私に抱っこ!と言ってじっとしがみつく娘を見ていると、
なにかが違っているんじゃないかと、
不安に思います。


回数を経るごとに嫌がり方がグレードアップしている様子に、
秋からはこどもの家だけに絞ろうと思わざるを得ません。


でも、小学校からは、、、?
モンテッソーリ女史の目指す世界は、日本にはないんでしょうか…

やはり質問というよりも、愚痴になってしまいました。
先生のような先生が増えるといいな、と切に願います。




【回答】

これは本当に悩ましい問題ですね。

プレの時点で、お子さんに合う/
お子さんが楽しそうな園が家から遠く、
逆に近くの園は微妙(←ごめんなさい)という場合…
悩むパターンです。


以下は回答、というよりは
私だったらどう考えてどうするかな
という話になってしまいますが…
(たぶん長くなります)


まず毎度同じ答えで申し訳ないですが
直球で子どもの意見を聞くと思います。


2才半の子に聞いても…
と思うかもしれませんが

子どもが通う園なので、
子どもの意見は
どんなに小さくても大事

だと思います。


言葉で気持ちを表すのが難しい年齢なら
お子さんの様子でこちらが判断します。
 

で、ご質問者様の場合は
このお子さんの様子を見て、
遠くても、①のモンテッソーリこどもの家に通うのが
最善なんじゃないか
というご判断だと思います。
 

それをふまえた上で
この先について考えてみますと、


<秋以降~3月まで>

・子どもが嫌がるところにはムリヤリ行かない
(嫌がっているプレはやめる)

モンテッソーリに全く関係なさそうな他の園のプレも試してみる
(最も大事な根っこのところで、モンテッソーリと共通の子どもの見方・寄り添い方をしている園もあるかもしれないので)


<来年度4月以降>

・通園に時間がかかるというデメリットを差し引いても①のこどものいえがいいと決めたなら、少なくとも年少の1年間は、がんばってこどもの家に通ってみる

・そのまま通えそうなら、年中・年長も通って卒園する

・毎日遠くへ通うのがあまりにも大変だと感じたなら、先生方に相談して、週3~4日通うことも検討させてもらう
(幼稚園は義務教育ではないので個人的にはありだと思っていますが、プレの段階で園の方にご相談させて頂いた方がいいです)

・それもどうしても大変なら、近くの園の中で、一番子どもに合う園に転入する
(それを見極めるためにも他の園のプレを秋から検討する)

・通園に時間がかかるデメリットの方が、生活に及ぼす影響が大きいと判断したなら、近くの園でいちばんいいところに通う


というのが、
私がご質問者様の立場だったら
とってみるかなと思われる行動です。


まず、プレというのは
園側・親子側ともに、相性の度合いを測るいい機会です。

どのような教育信念をもって保育にあたっているか
というのももちろん大事なんですけど、

それ以上に、現場の空気感や雰囲気が、
子どもにとっていいものかどうか、
その子らしくのびのび過ごせるかどうか
というところも、大切だと私は思っています。


また、モンテッソーリ園でなくても
モンテッソーリの考え方と同じように
子どもの個性や活動、人間関係を見守り、
必要な時に介入して
子どもの育ちを適切に援助する
園もあると思いますので

お近くの園を他にもいくつか当たってみて
「ここでもいいかもしれない」
と思える園を見つけておくのも一つの手だと思います。



次に、来年度の4月以降、入園後についてですが、

なぜ、とりあえず「年少の1年間」にしぼって
頑張って通うことを勧めるかと言いますと、

「個」を尊重してもらった子どもは
こだわりや強すぎる自己主張が少しずつ目立たなくなり、
自信や自己肯定感が育ち、それを基に
年中頃から自然に「社会性」が出てくる
からです。


・自分が頑張ってできるようになったことは、お友達も頑張ったらできるようになる(他者への共感と援助)
・自分ができることで、周りの人の役に立つことがうれしい(貢献心)
・失敗してもやり直せば大丈夫。だからお友達もそう。(失敗を恐れずチャレンジする気持ち、他者の失敗を責めない気持ち)


こういう気持ちが、年少の1年間でしっかり育まれれば
本人のこだわりや主張は少しずつ消えて、
もし、他の園に行くことになったとしても
楽しくやっていけるだけの土台になるんじゃないかと思うのです。


幼稚園が3年保育と2年保育の両方を設けているのは
子どもの年齢や性格・気質によっては、
2年保育の方が向いている場合もある
ということもあるのではないでしょうか。



最後に、ご主人のご意見との兼ね合いについてですが、
(ここがいちばん難しい!)


そもそも、ご主人がモンテッソーリの価値観を共有できていない可能性があるので

トイレなど目に留まるところに、
マンガで分かるモンテッソーリ
などを何気なく置いておいて
子どもの見方、捉え方、考え方
大人の接し方などを
知ってもらうのが先かもしれません。
(「読んで!」と押しつけがましい感じではなく、あくまでも「私が読んでるの」スタンスで置いておき、ご主人がトイレに長居したときに勝手に読んでもらうというスタンスで)



どんな人でも、知らない物事には恐れを抱き、
自分の知っている範囲の中で防衛に走る傾向があります。


そう考えると、ご主人から
「一般的にはこう、というのを小学校前に経験しないと!」
というご意見が出てくるのも、何となくわかるのです。


幼稚園・保育園の間、個性を尊重されすぎて
小学校でそれが通用しないとなったときに
子どもが困るんじゃないか
という、先回りのご心配だと思います。


なぜなら、私たち大人も
横並びの教育を受けてきているので
「みんなと同じ」がいいという価値観を
無意識に持っているからです。



今までの日本の教育が、モンテッソーリと相性悪いというのは
たぶんそこです。


さまざまな教育者が
「日本の教育は欧米の周回遅れ」
と嘆いているのはまさに、
「個性をつぶさず、尊重し合い、かつ調和の取れた集団を運営する」部分においてです。



でも、本来ならば、
小学校や幼稚園、保育園は
その地域に住む全ての子どもの居場所であるはずで、
目の前の子どもが困っているならば
そこに寄り添い、何に困っているのかを一緒に考えて
一緒に解決に導いていく姿勢が
現場に必要なはずなのです。

そうやっていくことで初めて、
子どもの個性をのばしつつ、
お互いに尊重し合う集団を育てていけるのだと思います。
(実際、あかねはそういう努力をたゆまず行っていた園だと思います)


それができない「システム」が問題なのではないでしょうか。


そして、困った子どもを生み出してしまう
今までの日本の横並び教育システムを
どうにか変えていきたいと思う人も増え
実際に変わろうとしているのも事実です。
(だから敢えて「今までの」と書きました)


実は、2018年に改訂された保育指針は
モンテッソーリの考え方とほぼ同じなんです。

一部抜粋してご紹介しますと、


⑶ 保育の方法
保育の目標を達成するために、保育士等は、次の事項に留意して保育しなければならない。

ア. 一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感をもって活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。

イ. 子どもの生活のリズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。

ウ. 子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。

エ. 子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。

オ. 子どもが自発的・意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。

カ. 一人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、様々な機会をとらえ、適切に援助すること。


⑷ 保育の環境

保育の環境には、保育士等や子どもなどの人的環境、施設や遊具などの物的環境、更には自然や社会の事象などがある。保育所は、こうした人、物、場などの環境が相互に関連し合い、子どもの生活が豊かなものとなるよう、次の事項に留意しつつ、計画的に環境を構成し、工夫して保育しなければならない。

ア.子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。

イ. 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。

ウ. 保育室は、温かな親しみとくつろぎの場となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。

エ. 子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。




文言だけ見ると、「モンテッソーリやん!」ってなります。w


でも、「じゃあ具体的にそれってどうやるの?」
というところに、まだ現場が追いついていないところもあるのです。


保育者・教育者側が
今まさに、試行錯誤中なんだと思います。


その現場の試行錯誤に
親御さん側が共感できるか
子どもがその中で大切にされるか

というのが大事なんじゃないかな
と思います。



うまくまとまらなくなってきましたがw、
いちばん言いたいのは
「ここじゃなきゃだめだ」
「この園しか考えられない」
と、自ら視野を狭くしてしまうのではなく
「ここにはこういういいところがある」
「ここに通うメリットはこれた」
と、大人の側が、ある程度視野を広く持って
選択肢を常にいくつか用意しておいてほしいということです。



たぶん私も、子どもがいたら
同じように悩む問題だというのは確かです。

でもやってみないと分からない部分があるのもまた確かです。

その「やってみる」今できることが
プレに通って園の様子を見たり
子どもとの相性を見たり
親御さんがその園に対してどう感じるかを認識したり
実際に通ってみて、どれだけ大変かを痛感したり
ということだと思います。




ただ、私自身が転勤族の子どもで
頻繁に環境が変わる子どもでしたので
それ自体をおそれていない
=もしだめだったら変わればいい
という価値観は確実に強く持っています。

それは、ご質問者様にはない価値観かもしれないので
その場合は、そこは差し引いてください。


あくまでもご質問者様の価値観でもって
お子さんが生き生きと過ごせる園を選べますよう
また、ご主人と価値観をすり合わせられますよう
少しでもお役に立てたならば幸いです。
(なんか、全然答えになってないような気もしますが…難しかったです!すみません!)



Q. 手先の活動に誘うと、途中からおままごとになってしまいます

【ご質問】

3歳8ヵ月の娘のことで、質問させてください!
細かい人形や乗り物のおもちゃ
(ハッピーセットやお子さまランチのおまけ等)での
おままごと・ごっこ遊びが大好きで、
放っておくと一人でずーっとやっています。

手先を使ったこともやらせてみようと、
ビーズをひもに通すお仕事に誘っても、
できるのですが数回やるともう飽きてしまい、
ビーズをごはんに見立てておままごとになってしまいます。

『自分で選んだ活動』というと、おままごとばかりで…
何をしたいと求めているのか?
どう観察したら良いのか?
会話や人間関係の敏感期(?)ととらえたら良いのか?
(おしゃべりはかなり上手でペラペラです)

何かハマる事がないかなぁと活動に誘いたいのですが、
うまい方法もあれば教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。


【回答】

まずは今見えているお子さんの姿を
ありのまま受け止めてみて下さい。

子どもの育ちに必要なものはいつも、
子どもの姿が教えてくれています。


ご質問の文章から見えてくるのは
・自分で選ぶのはおままごと
・ビーズ通しはできるけど、すぐ飽きてしまう
というお子さんの姿です。


この姿から考えられるのは
・ビーズ通しは簡単すぎる、もしくは興味がない
・おままごと=お母さんがしていること(主に調理活動)を真似したい
という発達段階です。


ここから、お子さんが興味を持ちそうな活動を考えてみましょう。


①調理活動

おままごとで、マジックテープの野菜を木の包丁で切ることが好きなら
バターナイフでバナナや缶詰のパイナップルを切ったり、
果物ナイフや小さな包丁でスティック野菜を切ったりするのは
もっと好きだと思います。


ボウルに卵を割って泡だて器で泡立てたり
そこに粉や牛乳や砂糖を入れて混ぜたり
ということもきっと好きだと思います。


まな板に野菜を置いて固定すれば
半分ずつピーラーで皮をむくこともできます。
(大人のように、片手に野菜を持って宙でむくのはまだ難しいと思います)


・切ったバナナや缶詰の果物にヨーグルトをかけて混ぜる
(フルーツヨーグルト)
・切った根菜をお水に入れて、調味料を入れて火をかけて煮る
(スープや煮物)
・混ぜた材料をカップに入れて炊飯器で蒸す
(蒸しパン)
/おたまでフライパンに流して焼く
(ホットケーキ)


など、お子さんの様子を見ながら
少しずつ工程を長くしていくと
自分が参加した活動によって料理が完成する
という体験に少しずつつながっていきます。


自分で(部分的にでも)作った料理を食べる
というのは
自分が能動的に参加した活動の結果を体験できるよいチャンスです。


やけどや切り傷につながりかねない、
危険(だと大人が一方的に思っているよう)な活動も
お子さんにとってはとても魅力的な活動です。
親御さんが「活動に誘おう!」と思っていらっしゃる時ならば
見守りながらいっしょにできるのではないでしょうか。


ビーズ通しなどの細かい作業以上に、
包丁や火を使う活動は
集中力、指や手首の細かい動き、注意深さを必要とします。


子どもサイズの調理器具を用意して、
この夏、ぜひ一緒に調理活動を楽しんでみて下さい。


ちなみに、包丁はちゃんと切れるもののほうがよいです。
下手に切れない包丁を使うと、間違った力の入れ加減をおぼえてしまい、逆に危ないです。


あと、お子さん用のエプロンを用意してあげるのも
お子さんのテンションがあがるかもしれません。
(大人も少し上がりますw)



②お皿を洗う、洗濯など、水を使う活動


①の調理活動~食べる までができたら
今度はぜひ、お皿洗いにも誘ってみて下さい。


汚れたものをきれいにする活動が
子どもはとても好きです。


特に夏は、水をさわっているだけでも気持ちのいい季節なので
水を使う活動に誘うにはうってつけの季節です。


踏み台を使ってシンクで洗うもよし、
洗い桶を2つ用意して「洗う用」「すすぐ用」に分け
作業台の上で洗ってもよし。


同様に、
洗濯板をつかって洗濯したり
スニーカーや上履きを洗ったりするのも
楽しいと思います。
(これはお風呂場でやってもいいですね)

調理活動の前に
ジャガイモや泥付き野菜を
たわしで洗うのも楽しいです。


私の経験だと
2歳半/3歳~年少/年中さんの年齢のお子さんが特に好む活動です。

園でも、私が掃除をしていると
「わたしもなにかきれいにしたい」
と、この年齢の子どもたちが寄ってきます。

そしてここぞとばかりに、
絵の具で汚れたトレーやビニールマットを洗うのをお願いしたり
一緒にロッカーや棚を拭いたり
拭いたぞうきんを石鹸で洗ったりしています。


汚れたものが、自分が手を使うことによってきれいになったときの
子どものすがすがしい表情は、何とも言えないものがあります。
環境をきれいにして
自分も満足
周りも嬉しい
という好循環につながります。



③興味に合った手先の活動を考える


というわけで①、②が私個人のおすすめですが
それでもやっぱりモンテッソーリ本に出ているような
細かい作業をさせてみたい!という場合、
お子さんの発達に合った難易度の活動を用意する必要があります。


>ビーズをひもに通すお仕事に誘っても、
>できるのですが数回やるともう飽きてしまい

という姿から
このお子さんにとっての発達課題は
「通す」ことではない
「通す」ことはもうそんなに難しくない
ということが分かります。


子どもは、今自分が持っている力やスキルよりも
「ちょっとだけ難しい」ことに惹かれる
のです。


そして3歳以降は
自分のしたことが結果として残ることに
より惹かれるようになります

(3歳未満は、していることそのものに惹かれて
結果に対する興味は薄い傾向にあります)


例えば、ビーズをワイヤーに通したら
それをお花やハートの形にして
安全ピンをつけてブローチにしてみるとか、

ビーズを通したひもの両端にクリップをつけて
帽子留めにしてみるとか、

自分が手を使って作ったものを
実際の生活の中で使うものとして完成させることで
子どもの関心がグッと上がるかもしれません。


フェルトにペンで印をつけたところに
針と糸を通していく縫いさしの活動なんかも
もしかしたらお好きかもしれません。

こればかりはお会いしてやってみないとわかりませんが
とにかく一つだけ言えるのは
「子どもは、すでに獲得していることには、あまり興味を持たない」
ということです。


以上、長くなりましたが
お子さんの行動様式を基に、
何か一つでも、楽しく夢中になれる活動が見つかるといいなと思います。

どうか、決してモンテッソーリ本のほうにお子さんを合わせようとしないでください☆

あとは、いろいろ試してみて
それでもおままごとがやりたい!
というのであれば
それは尊重してあげてほしいなとも思います。





Q. 子どもが集中する環境を作れません

前回までの記事のご質問に
追加でご相談がありましたので、
合わせてお答えさせて頂きます。

前回までの記事はこちら
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【家の環境の整え方について:追記】

まず、気になる点は
1日に1回は
『パソコンで何かをみたい』ということ。
ときには朝起きてすぐです。
(我が家は狭すぎることもありテレビはありません)

これは家のなかの環境が物足りないのだろうと思い、
試行錯誤していますがしっくりこない。

『このまま私が子どもを観察を上手くできないまま、
子どもが大きくなったらどうしよう!?
集中できる、とてつもない集中をしたことがある、
これは彼らへの大きな大きなプレゼントになるはずなのに、
それができない私はなんてダメなの』
と、とてもマイナス思考になってしまいます。

ただ、深く考えなければ、
息子たちは子どもらしく愛らしい子に育ってくれており、
楽しく楽しく過ごせます。

例えば子どもの様子ですが、

上の子は週に一回か二回ほど保育園に行っており、
そこではまわりをみて行動し、
手順がわからなければ先生に質問して解決しており、
皆で遊ぶときは面白い創造的なことをするらしく、
中心になっているようです
(だれ?とママは思います。。)
家で下の子とも楽しそうに遊んでます。

下の子は尊敬するほど笑顔が多く、
大声でよく笑っており、
10ヶ月くらいから『ママ』と呼んでくれます。
今は行動に関する一通りの言葉を理解しており、
行動に移してくれます
(いやなときはプンッとそっぽ向かれます(^-^))

ママに/環境に/その他に何が足りないのか?
モンテッソーリ教室に通うべきなのか?

以下、本人の興味の高さ順にしました。
4位くらいまではその日の状況で入れ替わります。(ママの主観)

●習慣
ドア開け、洋服えらび、ジャーから麦茶を注ぐ、ごみ持ち など

●その時々(毎日どれか一つは行うこと)
掃除(トイレ、お風呂、床をコロコロ/掃除機/ホウキ/雑巾など)、
お菓子作り、
食材を切る(最近、急に興味を失いました)、
切る以外の調理、卵のからむき、玉ねぎむき、
洗濯ほし/たたみ、
配膳、食器洗い(以前にとてもきれいに仕上げてくれました) など

●遊び
外遊び(砂遊び、木の実/枝/石集め、かくれんぼ、秘密基地ごっこ、遊具遊びなどなど)、
読書(200冊以上あり、毎日読みあさってますが、次々にあれが読みたいこれが読みたいとなります。読む練習/字の練習はしたいみたい)、
ごっこ遊び、ねんど、クレヨン、えのぐ、お人形あそび、お風呂で水移しや水鉄砲、ボードゲーム、おままごと、ブロックなど

●主な課外活動
公園、児童館、図書館、自然博物館(恐竜、虫、動物、魚)、室内遊び場、音楽コンサート、美術館など

●習い事
リトミック

親の力を成長させたい
というのは気持ちとしてぶれませんが、
モンテッソーリをしなければならない』
で親子がギスギスするのは違いますよね?

追伸 環境へのご解答ありがとうございます。そちらの質問もまたさせてください。本当にありがとうございます。


【回答】

お答えすることは主に3つです。


まずはじめに、
モンテッソーリ教師の私から見ても
このお母さんはお子さんのために
ものすごく頑張っていらっしゃると思います。

まずそのことを、
自分で認めて受け入れて頂けますように
と強く思いました。


そのことに絡めて、
2番目にお話したいのは
集中現象と正常化についてです。

集中現象の話が本にはよく出てくるので
「うちの子の姿と違う…」
「うちの子にはこんな集中した姿が見られない」
とご不安になるのかと思いますが、


主に、本に書かれているのは

環境が子どもに合っていなかったため
自然な発達の道筋から逸れてしまい
問題行動が見られていたお子さんが、
環境を整えることによって集中し、

その集中によって元の道筋に導かれて
本来持つ良い姿を取り戻す

という姿です。


ということは
裏を返せば

発達に合った環境にいるお子さんは
そもそも、自然な発達の道筋から逸れることが少ないので
常にその子の持つ良い面が表にあらわれている

とも言えます。


もっと具体的に言うと
生活の中で、自分で自分のことができる環境にあり、
自分がやりたいことが自由に選べて
誰にも邪魔されずに没頭できる環境
にあるお子さんは、
そもそも自然な発達の道筋を逸れにくい
=その子の持つ良さが常に表に現れている
状態
にあります。


「自然な発達の道筋から逸れないよう、
予防している環境」
が、ご相談者様のおうちの環境なのではないでしょうか。


だからこそ、
今まで親御さんが努力されてきたことを
ご自分で認めてあげてもらいたいのです。

よく笑い、健やかに育っているお子さんの姿が
何よりもそれを物語っていると
私には感じられます。


ご家庭で一番大切にしてほしいのは

自己信頼感(自分がこの世でかけがえのない存在で、大切にする感情)
他者への尊重の気持ち
を育むこと

お子さんがのびのびとした笑顔でいる時点で、
一番大切なことはクリアしています。


そこを認めてあげて
これ以上ご自分に厳しくならないであげてほしいのです。

なぜなら
子どもの周りにいる大人は
子どもにとって最も大切な「人的環境」
でもあるからです。


大人が理想を追い求めるあまり
「まだ何か足りない、私はダメだ」
と自分で自分を否定してしまう姿を見せることは
お子さんにとって果たしていいことでしょうか。
完璧でなければならない、
という価値観を刷り込むことにもなりかねません。


「できないこともやりたくないこともあるよね~
でもそれでもいいよね~
失敗もあるよね~
でもやり直せばいいよね~
そんな私も嫌いじゃないわ~」

という、どこか能天気な
完璧主義でない、それでも前向きな姿を見てもらうというのは
お子さんにとってはむしろ救いになると思うのです。

もちろん、親御さんにとっても
このような頑張りすぎない心持ちが
日々の生活をより穏やかなものにしてくれるのは言うまでもありません。


>『モンテッソーリをしなければならない』で親子がギスギスするのは違いますよね?

これがいちばん、気をつけたいところです。
親御さんだけでなく、現場のモンテッソーリ教師も気をつけなければいけないところだと思います。

もともと、子どものためのモンテッソーリメソッドなのに
メソッドを大切にするあまり
そのメソッドにそぐわない子どもを非難したり排除したりするのは
本末転倒なのではないか
というのが私の強い思いです。


親子関係においても
モンテッソーリメソッドは
あくまでも子どもが健やかに育つためのもの
であり
メソッドにこだわって親子関係が悪くなるのは
親御さんにとっても、子どもの育ちにとっても本末転倒です。


ご相談者様は、感覚的に「それは違う」ということを
既に感じ取っていらっしゃると思います。



最後に、
それでもまだぬぐえないかもしれない
「他に何かできることはないのか」
というご不安に対しての
具体的な提案があるとするならば、


・家庭菜園 簡単なハーブ(シソやバジルなど)や野菜を育ててみる
→収穫した野菜を調理活動に使う

・生き物(虫やオタマジャクシなど)を飼い、お世話をする


生き物を育てるというのは
自然のサイクルを身近に感じられる
とてもよい機会です。

自分だけでなく、人間だけでなく
他の生命がどのように育ち、どのように役割を全うして終えるのか
その育ちが私たちの生活に
どのように関わっているのか
私たち人間が
自然の中でどのような立ち位置にいるのか

そういったことを
理屈ではなく、感覚的に
子どもの心の深いところに
根付かせてくれます。

他の命を尊重する気持ち、
思いやり、
責任感、
知的好奇心

そういったものも
生き物を育てることで
子どもの中に自然に育っていきます。

できることならば
この知的好奇心が
パソコンを見たい欲に勝つといいなという思惑もあります。


・文字を書くことについて

もし、お子さんが文字を書きたい様子でしたら
五十音と絵が描かれた文字積み木を使ったり
市販のドリル的なもので練習してみてもいいかもしれません。
(見本の文字が書いてあり、薄い文字の上を3回くらいなぞれるようになっているもの)

このとき、頭から五十音順に始めるのではなく
「し」「く」などの簡単なものや
お子さんのお名前にある文字から始めてみることをおススメします。

書くものも、最初から鉛筆を使うよりは
フェルトペンなど、筆圧が低くてもしっかり書ける物をおススメします。
(3本指でしっかり持てるようになってから始めて下さい。
 変な持ち方を覚えてしまうと、筋肉が固定されてしまいそのあと直すのが大変なので)


私の場合は、文字積み木を眺めていて
名前にある「ろ」を母親に教えてもらい
「つ」を持ってきて「これも『ろ』だね!」と私が言ったときに

「これは『つ』だね。裏を見て。つみきの『つ』
裏に書いてあるものの頭文字が書いてあるんだよ」

と教えてもらったことがきっかけで、
3日間くらいずっとその積み木を見続けて五十音を覚え、
その後自分で絵本を読んだり図鑑を見たりして
文字から活動が発展していったという記憶があります。

これも知的好奇心につながることなので
パソコンの誘惑に勝てるといいなと思っています(笑)


でも、あくまでも
子どもが楽しんでできる範囲にとどめて下さい。

言語の敏感期なので楽しくできるとは思いますが
毎日これだけやる、というノルマにはしない方が
本人のやる気が持続すると思います。


おそらく、前回までに私が提案したおうちの環境については
ご相談者様はすでにご存じのこと/していらっしゃることばかりで
目新しいことはなかったのではないかと想像しています。

ということは
既に、お子さんのための環境は
ある程度整っているとも想像できるのです。


あとは、子どもにとって大切な環境の一つでもある親御さんが
自分も子どもも楽しくできる活動は何か
というところを軸に置いて、
楽しく、手や体や頭や心を使ってできることを
日々の中で探して見て頂ければと思います。


これで最後になりますが
私が親御さんにおススメしたい本をご紹介して
このご質問のお答えの結びとさせて頂きます。


「子どもへのまなざし」佐々木正


純粋なモンテッソーリの本ではありませんが
モンテッソーリと同じ時代に生き、交流もあった
エリックエリクソンという心理学者の考え方をベースに、
児童精神科医の佐々木先生が
親御さんや保育・教育関係者に向けて講演をされた
その内容が文字起こしされたものと聞いています。

なので、モンテッソーリの考え方ともとても近く
かつとても優しい、思いやりのある文体で書かれています。
文字数は多いですが、その文体のおかげで、とても読みやすく、スッと入ってきます。

私も、園児に厳しくなりすぎたな…と感じたときに
パッと目についたところだけでも読み返すようにしています。

そのつど、素直に反省できて
穏やかに前向きに子どもと接しよう
子どもを尊重するってこういうことか
と思わせてもらえます。


どうぞこの先も
悩みすぎず、ご自分を責めすぎずに
笑顔のお子さんたちと一緒に
お母さまも楽しく過ごせますように。


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Q.おうちの環境の整え方 6.台所とダイニングルーム

このシリーズ、ラストになります。
(だいぶ駆け足で来たので、分かりにくいところはまたご質問ください
 第1~5はこちら)

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〈取り除きたい物(引き算)〉

台所とダイニングルーム
1歳代のお子さんがいるおうちでは
取り除く・しまう・隠すなどの
引き算の発想を徹底すべき場所です。
「勝手にさわったら危ない」ものだらけだからです。

・火の元
・熱くなる家電(トースター、オーブン、電気ポットなど)
・家電のコード、プラグ

これらにはひとりでは絶対さわらないように
柵をつけたり、
高いところに置いたり
カバーをつけたりして
万全な安全対策を施す必要があります。


・包丁
・台所用洗剤

などが入った引き出しも、ロックする必要があります。
冷蔵庫もロックの必要性があるかもしれません。


カウンターキッチンであれば
入り口に柵をつければ一発解決なのかもしれませんが
オープンなキッチン
(壁に向かって水道やコンロ台が取り付けられているタイプ)
の場合は、
ハイハイ〜歩くようになった子どもの手が届くところに
危ないものがないように
充分に配慮しないといけないなぁと
うちのキッチンを見ながら感じています。

(今、里親登録をしているところで
そう遠くないうちに、幼いお子さんがうちに来る可能性が出てきたので
対策グッズや高さのある家具などを調べまくっているところです。
ここで紹介しているものも、購入リストの中に入ってますが
何かおススメがあれば教えて下さい)


あとは、

・大人用のお高い食器

は、子どもが小さい間は出しませんw
「触っちゃダメ」「割らないで」
という大人の都合での禁止を極力減らしたいので。

では、どういうものを出しておけばいいかと言いますと、


〈必要なもの(足し算)〉

・子どもサイズの本物の食器

割られてもあまり痛くないもの、割れにくいものを選んで
子どもの手が届く高さに置いておきます。


Duralexのガラスのコップは、サイズ的にも耐久性もすごくオススメです。
ナチュラルキッチンやキッチンキッチンでも売っています。


コップの他にもピッチャー、茶碗とお椀、お皿、スプーンなど

を置いておけば、お子さんが自分で配膳したり
家族分の配膳を手伝ってもらったりできます。


置き方のコツは
数・種類を制限して
ディスプレイするように
いつも同じ場所に置く

ことです。


・子どもサイズの調理器具
(しゃもじ、まな板、バターナイフ、マッシャー、ボウル、バットなど)

を、子どもの高さに用意してあげれば
ちょっとした調理を一緒にできます。


・スツール

があれば、食事後や調理活動のあと
お皿洗いや拭く作業を、シンクで行うことも可能です。

スツールは結局、
台所の他にも、洗面所、リビング、寝室など
様々なところで使えるので
使いやすいものを1~2個用意して、
持ち運んで使ってもいいと思います。


下のお子さんには
お子さんが開けてもいい「引き出し」を予め用意して
無害なもの(タッパーやボウル、スパチュラなど)を入れておいて
好きに出し入れできるようにしておくと
1歳の探求心を満たすことができます。
(中身はときどき入れ替えます。ずっと同じだと飽きるので)


・ゴミ箱について

1歳のお子さんから見たら「取り除いた方がいいもの」であり
3歳半過ぎのお子さんの活動には「必要なもの」でもあるので
工夫が必要です。


1つの案としては

広告で折った箱を生ゴミ入れにして
活動のときだけそれを取り出す

というやり方が考えられます。
(うちの普段の方法ですがw)


蓋付きのゴミ箱を目立たないところに別に置いて
調整活動の最後に、まとめてそこに捨てています。

里子ちゃんが来ることが決まったら
大きめ(高め)の蓋付きのゴミ箱に変えようかな〜
と模索中です。
(今使ってるのは低いので子どもが開けてしまうおそれあり)



台所と食事の場所については
「お子さんひとりで」というより
「親御さんと一緒に」活動することが多いので

大人が一緒にいる前提で、
子どもと平和に共存できる環境
を考えていきましょう。