モンテッソーリアン、里親になる。

10年モンテッソーリ教師をやってみて向いてないことが分かった(笑)ポンコツモンテッソーリアンの里親活動奮闘記録。

子どもが集中するには ②物の環境を変える

やっぱり年越しました…すみません。

明けましてもうだいぶ経ちますが、
2019年もどうぞよろしくお願い致します。


さて、前回の続きです。
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子どもが活動に集中するにはどうすればいいか
ということで、

まずは子どもを客観的に観察
→そのデータをもとに
子どもに合う環境を整える


前回の観察に引き続き
今回は環境の話です。


と、その前に

質問者様からお返事頂きました。
(ありがとうございます!)

「親の都合で『集中してほしい』と思っていたことが恥ずかしい」

とのことでしたが、

申し訳ありません、責める意図は全くなく、
ご質問の文章から分析したことを、
冷静に淡々と書くように努めた結果が
前回の記事です。

淡々としすぎて、どこか突き放したような
冷たい印象を受けられたかもしれません。失礼しました。


いろいろエラそうに書いている私も
職場(保育園)ではいまだに

「今は子どもが落ち着いてるから、あっちの掃除ができるかも!」
(と思った瞬間にトラブル勃発、手が離せなくなる)

とか、

「全員が寝ている間に書類仕事を〜!」
(と躍起になっているときに限って誰かが泣いて起きて全然進まない)

みたいなこと、しょっちゅうです。
子どもがそばにいたら、大人の思惑通りには事が運ばないのが常です。ハッハッハ(半ば諦めの境地)



だから、お子さんを保育園に預けている親御さんが
お迎え後のいちばんバタバタした(しかもお仕事で疲れている)ときに

「ご飯作らなきゃいけないから、ひとりで遊んでて〜!!!」

と思うのは至極当たり前というか、
むしろ共感しかないです。


だけど、子どもが
自分たち大人とは異なる
ひとりの人としての存在であることもまた確かです。
こちらの思うようにいかないのも
当たり前といえば当たり前。


だからこそ、モンテッソーリのお知恵を拝借して、
(言い方は悪いかもしれませんが)こちらの思惑と、
子どものやりたいことがうまく重なるような方法
またはそのヒントを探し出せないかな〜
と常日頃感じているわけです。


特に、モンテッソーリには
大人から子どもへの直接的・対処療法的な働きかけ以外の

「物の環境を変える」
という、間接的かつ根本的な改善にあたる部分も含まれているので
これを子育てに生かさない手はない、というのが私の考えです。


で、前置き長くなりましたが、
今回はその、「物の環境」のお話です。



********************


物の環境を整える場合、
つい、新しい活動やおもちゃを出したくなりますが
その前に、今ある物を整理することが必要です。

具体的には

①何を②どのように 置くか

を考え直していきます。



①何を置くか

子どもを客観的に観察していると
毎日、もしくは1日に何度も繰り返すものと、
ちょっとさわってみて、すぐやめるものがあることに気づきます。


子どもがより集中する環境を作るには
「繰り返すもの」
だけにしぼって、
あとはいったん、子どもの目に見えないところに片づけてしまうことをオススメします。


物が多すぎると、
小さな子どもの興味は次から次に逸れていって
1つのことに集中しにくくなる傾向があるからです。

そして部屋もすぐ散らかります。^^;


置く物の種類・点数をしぼることで
子どもが集中しやすくなるだけでなく
片づけもラクになります。



質問者様のお子さんは、
車を並べることが好きということで
それはまず出しておきましょう♡

その他に、お子さんの好きな物、繰り返す物をセレクトして
目安としては、4〜6種類前後のおもちゃや活動にしぼります。


ちなみに、今まで見てきた子どもたちの傾向として

並べるのが好きな子どもは
レゴやソフトブロック、ドミノ積み木、
幾何図形マグネットなど
同じ形や色、質感のものを
並べる、積む、組み立てる
ということが好きなことが多かったので

もしかしたら、質問者様のお子さんも
このようなおもちゃが好きかもしれないな〜♡
などと想像しています。




(違ってたらごめんなさい、気にしないでください^^;

そしてもしこの時点で、
繰り返すおもちゃがそんなにないよ〜
という場合は
今まで見てきた子どもたちが好んだ活動を
あとで幾つか紹介しますので、ご参考までに…)


プラス、もし可能なら

子どもサイズの机・テーブルとイスが用意できると
この時期の子どもは喜んで座り、
そこで活動することをまた喜びます。


何なら最初のうちは、座る、立つ、また座ると、
「イスに座る」こと自体が繰り返す活動の1つにもなるくらい、
自分用の机とイスがあるということが嬉しいようです。


お安いものではないので、
絶対買って!とは言えませんが
もしご用意できるのであればぜひ♡
(リサイクルショップにあったらラッキー)

もしくは
こたつ机やちゃぶ台などのローテーブルと
その高さに合うイスだけでもあるといいな〜と思います。





②どう置くか


①で選んだ物を
活動別にカゴや容器に分けて
オープン棚に並べて置く

というスタイルがオススメです。


子どもがひと目見て
やりたいことを自分で選べるからです。

子どもが自分で選ぶ→繰り返すことが
集中につながっていくので
自己選択できる環境はとても大切。


おもちゃ箱に全部入っているスタイルをよく見かけますが
6歳以下、特に3歳以下の子どもにはオススメしません。


この時期の子どもは「秩序」が大好きだからです。


車なら車だけ、
ブロックならブロックだけ というように
種類別、用途別に物が置かれている
という秩序を、特に2歳前後の子どもは好みます。


この秩序がまた、子どもの心を落ち着かせてくれて
集中に導く手助けをしてくれます。



もし、おもちゃ箱に、ブロックも車もぬいぐるみも
ぜ〜んぶ、ごちゃまぜに入っていたら

子どもの秩序感は乱されて
どこか落ち着かなくなります。


そして、例えば「車が使いたい」と思っても
おもちゃ箱の中身を全部出して
車を探し当ててからでないと使えません。


その頃には、引っ張り出した物で部屋が散らかり
1つの物で集中して遊べる環境とは
程遠いものになっているのではないでしょうか。


たくさん出した分、
お片づけもたくさんになってしまいます。。。


オープン棚スタイルなら
幼い子どもでも、元に戻しやすいのがいいところ。





オープン棚がない場合、ムリに新調しなくても
カラーボックスを横置きにしたり
高い棚の下段だけを子どものおもちゃ用スペースにしたりと
今おうちにあるものを活用することができます。



①何を②どう置くか が定まったら
設置したあと、また子どもの様子を観察します。


飽きてきたもの、触らなくなったものが出てきたら
しまっておいた別のおもちゃと取り替えて
ローテーションしていくと
同じおもちゃでも、また新鮮な気持ちで遊べます。



******************



さて、一般的なおもちゃ以外にも
3歳前後の子どもが好む活動を
幾つかご紹介しておきますので
参考になればと思います。


①目と手の協応作業

手先・指先と目を使った作業が好きな子どもは多いです。


例1)洗濯ばさみ

カゴやトレーに、洗濯ばさみを10〜20個程入れて置きます。

今までの子どもたちは
洗濯ばさみどうしをはさんでつなげて
「へび〜♪」などと見立て遊びをしたり、
カゴに洗濯ばさみを、
色を分けるまたは交互にして、はさんで並べたりして楽しんでいました。


3本指でつまむ動きと、力の調整の練習になります。
近い将来、洗濯物を干すこともできるようになります。
もう少し先の、鉛筆や箸を持つ指の動きにもつながっています。



例2)フタの開け閉め

子どもサイズの空きビンやタッパー、ファスナーポーチやがま口などを、カゴの中に入れて置きます。

どのフタをどのように開けるか
というのを試行錯誤するのが楽しいようです。
また、フタと容器の組み合わせを考えるのも楽しそうでした。

瓶のフタをひねって開ける手首の動きは
蛇口をひねる動きや
おしぼりや雑巾をしぼる動きにもつながります。

(最近のおうちは上下させるタイプの水道が多いのですが
保育園や幼稚園、学校は昔ながらのひねるタイプの蛇口がまだまだ多いです)



例3)ハサミ

2歳前後の子どもの多くが、ハサミに強い興味を示します。


トレーに子ども用ハサミと紙を置いておきます。
最初は、一回で切れる幅の細長い紙を用意します。
切った紙を入れる封筒やビニール袋も、近くに置いておきます。


親指と、人差し指・中指の3本指の使い方、
力の加減、紙とハサミの向きなど
2歳の子には難しいポイントもけっこうあるのですが

その「少し難しい」ことが、子どもの心に火をつけるようです。


それまで他のお仕事には見向きもしなかったのに、
ハサミだけは夢中になって
そこから他のお仕事の楽しさに目覚めた子どももいました。
私にとってはハサミ様々です。

以前ご紹介したPAULの子ども用ハサミは、
2歳児の手のサイズにピッタリで←これがなかなかない!
かつ紙は切れても手は切れないので、
心の底からオススメします。めっちゃお世話になってます。


はさみに関しては、
持ち歩かない、人に向けない、座って使う、出してある紙以外のものは切らない
などのお約束を最初に伝えて
それを守れる場合のみ出すようにしています。
(少しでも危ない使い方をしていたら、即没収)


例4)シュレッダー

はさみは、大人がいるところでないと出せないかもしれないと思ったので
(でも子どもが好きな活動なので勢い余って紹介してしまいました)

手動のシュレッダーの活動も好きなことを思い出し、追記です。


ゴミ箱も近くに置いておきましょう。



②アート・感覚活動・自己表現活動


お絵描きや粘土、黒板、スタンプなどの創作活動です。


例1)お絵描き(クレヨン画)

蜜蝋クレヨン(全色ではなく3色くらい)と
画用紙、小さなマット(汚れ防止用)を
トレーの上にセットして置きます。

ちなみに、クレヨンは
紙を巻いたスティックタイプのものより
ブロック型のものをおすすめします。


スティックだと力加減が分からず折れてしまったり
巻いてある紙をはがしてしまったりするので。


例2)黒板

黒板とチョーク、黒板消しをセットで置きます。

この活動で使うチョークは、
貝殻でできたものなら安心です。



例3)粘土

子どもが開け閉めできるケースに粘土をいれて
粘土板と、型抜きや粘土を切る道具などを
セットで持ってこられるように置いておきます。



活動に必要なものを、セットで置いておくと
そのまま机に持って来る→活動→終わったらそのまま戻す
と、幼い子どもでも、選ぶところから元に戻すところまで自分でできるようになります


(紙以外には描かない、マットの上で行うなど、あらかじめのお約束が必要です。
これを守れない場合は出さないという制限も伝えます)



③日常生活の活動

これは、ひとりで完結するというよりは
親御さんと協力(コラボ)して行う活動になります。
なので、棚に置くというよりは、
子どもが見えるところに常備しておくイメージです。


例1)洗濯物を干す

子どもの手が届く高さに洗濯ピンチを吊るし
靴下やミニタオルなどを子どもに任せる。
(大人はその頭上で、大きなものを干す)



例2)拭き掃除・履き掃除

子どもサイズのはたき、ほうき、ちりとり、雑巾、
持ち手を短くした小さめのフロアワイパーで
大人と一緒に掃除できるようにしておく。



園では、保育士が掃除しているときに
「私もやりたい」と言ってきたら、
子どもサイズの掃除道具を渡して
(衛生面で問題なく)できる範囲で、一緒にやっています。

なぜかフロアワイパーが人気ですw



あくまでも、やらせるのではなく、
「やりたい!」ことを一緒にする というスタンスです。


そして3歳までの子どもはとても気まぐれなので
いきなり「もうやらない」と終わることもしょっちゅうです(笑)


そういうときは
使ったものだけ元に戻して
(もしくは雑巾などは洗濯かごに入れて)
また自分の遊びに戻れるようにしています。



例3)料理の一部を一緒にする


これ、いちばん高度なんじゃないかと
私なんかは感じてしまうのですが、
質問者様はすでに、できる範囲でされていて
ホントにすごいな〜と感じます。

ご質問のお返事でも、
後日卵の殻を割る、混ぜるなどを一緒に行ったとのことでした。

お子さんが参加したいときにいつでもできるよう
ステップが置いてあるとのことで、
すでに「子どもがやりたいときにできる」環境が
整えられているな〜
いいな〜
素敵だな〜
と感じました。


・レタスやキャベツをちぎる
・ゆで卵の殻をむく
ミニトマトやいちごのヘタをとる
・ゆでたじゃがいもやカボチャをつぶす
・お出汁用にぼしの頭とハラワタをとる


など、調理工程の一部を一緒に行うことができたら
大人の「今はご飯作りたい」と
子どもの欲求がうまく重なって
いい結果になるのではないかと思います。


これも、

子どもにはやりたいときとやりたくないときの差があること
毎回やりたいとは限らないこと

を念頭に置いて

でも子どもがやりたいと思ったらすぐ参加できるようにしておく
断られてもまた違う活動内容で誘ってみる



くらいの軽い気持ちでいいと思います。


繰り返しではないので、
集中には至らないかもしれませんが

親御さんと一緒に調理した体験
作ったお料理を一緒に食べた体験

は必ず子どもの中によいものとして残ります。


よいものとは、具体的には
自己尊重感や自己への信頼感、自信、他者への貢献心などです。


親御さんの思惑と子どものやりたいことが一致する
という大人側のメリットの中で
子どもの育ちに大切なことも育まれるなんて、
一石二鳥も三鳥もオトクな(?)感じなので
できる範囲で、続けて頂けるといいのかなと思います。



というわけで、
今回は「物の環境を変える」お話でした。


ここにもうひとつ、
人の環境=大人の接し方を見直す
というところまで考えられると
子どもの集中にグンと近づくので
次回はその話です!
長くなってスミマセン!(いつもだな)




子育てのお悩み、ご質問など、引き続き募集しています☆
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Q. 子どもが集中する活動を見つけるには ①観察のしかたで違う子どもの姿が見えてくる

【2歳3か月 男の子 お仕事(活動)に集中しません】

うちの子は集中力がないのかなと感じています。

何をするにも
「ママ、いっしょしよう」
と誘ってきて
すぐに「ママやって」と投げてきます。

好きなのは木製の車のおもちゃですが、
並べたあとは「ママ~」とお呼びがかかります。

保育園から帰ってきて甘えたいのかな
とも思うのですが、
なかなか手を割けず、
早く寝かしつけたいと焦って
あまり相手をしてあげられていません。

30分くらい一緒に遊ぶと
その後のスケジュールがおしてしまい、
息子が寝る時間が遅くなってしまいます。

(しかも、私が積み木をつんでいると、
 かたっぱしから壊してきて楽しくありません。泣)


おもちゃではなく本物がいいと聞いたので、
料理はどうかと、しめじとキャベツをちぎってもらいました。
エプロンつける!と張り切っていた割に、
おもしろく感じなかったのか
翌日もやる?と誘うと「しない」と言ってやらず。

(私としては助かりましたし、楽しく感じました。
 苦手なしめじもキャベツも食べてくれて、
 台所育児いいかも!と)

こちらが料理をしていると
「ママ!いっしょ遊ぼう」と誘ってきて、
家事がはかどりません。。


子どもの手に合う道具、ということで、
小さなフローリングワイパーも
目に付くところに置いてあります。

私が大人用のワイパーですると、
本人も少しするのですが、
その後はなぜか私に
「ここも、こっちも」と指示する係になり・・・
(私がそう言いながら教えたからか)

生活道具の使い方を黙って見せて教えようとしても、
ちっとも見ずに「〇〇ちゃんもする!」とすぐやりたがり、
少しできないと「ママして!」と言ってきます。
私もそこで「〇〇ちゃんやってみて」と返すので
お互いにだんだん険悪な感じになってしまいます。。

息子は省エネタイプで、
飽き性なのではないかと思ってしまいます。
(動きたい時期にそれはないとも思いつつ)


私の提供するものが、
ピントがずれている感があるのですが、
どんぴしゃではまるお仕事や生活訓練が見つからず、
集中現象も見たことがありません。

いま、私がさせようとしていることが、
ただ息子のやりたいことから
乖離しているだけなのでしょうか。
観察の仕方がいまいち分かりません。


私自身、根気も集中力もなく、
手先も不器用な方なので、
息子には、やり遂げる癖と器用な手を
手に入れてほしいと思うのですが、
いかんせん、親の私がこれなので
どう導けばいいのかが
いまいち理解できていない気がします。

とりとめのない内容になってしまいましたが、
どうか、迷える子羊に
ヒントをお願いいたします。


*******************


「子どもが集中しない」
という質問者様のお悩み、モヤモヤは

「家事の間は、ひとりで集中して遊んでくれたらラクなのに」
という親御さんの立場からのご希望と

「将来、1つのことをやり遂げる子どもに育ってほしい」
という、お子さんを思うが故のご要望との
2つから来ていると、ご質問を拝読して感じました。


子どもが、何に興味を持ち、
どんなことに集中するのか。


その答えは、いつも子どもの中にある。


というのが、モンテッソーリを含む、
こどものための教育の基本的な考え方です。


私たち大人ができるのは、
子どもを観察して
子どもに合う環境を整えること。


と、さらっと書いてはみたものの
実は「観察」だけでも
意外と難しいです。


ど〜〜〜〜〜しても
「主観」が入ってしまうから。


子どものありのままの姿を知るには、
子どもを「客観的に」観察することが
まず必要になってきます。


というわけで今回は
観察のしかたについてお答えします。

(大人の接し方を含む「環境の整え方」については
 次の記事でお答えさせて頂きます)



【観察について】


例えば、子どもが泣いたときに、
私たち大人は様々な原因を想像し、
思いを巡らせます。


・眠いのかな?
・お腹空いた?でもご飯からそんなに時間たってないし…
・機嫌が悪いのかな
・オムツ濡れてる?
・どこか痛いのかな。ぶつけた?
・周りの人に言われた/されたことがイヤだったのかな

などと、泣いている原因を探します。


もしくは、

・今この状況で泣かれるととっても困る!!!

と、泣いている原因を探す余裕もなく
泣き止ませること、泣かせないことに
必死になる場合も多々あります。


そして実際に抱っこしたり、オムツを換えたり、何か食べさせたり、接し方を変えてみたり、
いろいろいろいろ思考錯誤して、
泣き止んだら一息つく、

ということを、
子どもの周りにいる大人は
日々の生活の中で
時に無意識のうちに
繰り返し行っています。


この一連の流れの中で、
大人が思いを巡らし、
考えたり感じたりする部分は全て
「主観」です。


子どもが泣いたこと
その前後に起こったこと
子どもが泣き止んだこと

だけが「客観的事実」です。


子どもを客観的に見る
というのは、
見えている「事実」「事象」だけを集めること。

その集めた事実のデータから、
行動の原因と結果、
その子の傾向などを考察する
というのが客観的観察のしかたです。


国際コースで教わった観察のしかたでは

・客観的事実と自分の主観を分けてメモすること
・見るポイント(身体全体の動き、手や指の動き、言葉、表情、食事、睡眠など)

がレクチャーされ
250時間の観察時間の中で、客観的観察をトレーニングします。


もちろん、普段の生活で
このような客観的観察を
ずっとしているわけにはいきません。

親子の関係に限らず、人は皆、
それぞれの主観、価値観を持ち
しなければならないこと
したいこと/したくないこと
してほしいこと/してほしくないこと
を持ち寄って共同生活しています。


ただ、
「この子は何に集中するんだろう」
ということを探すときだけは
自分の思いや主観をいったん脇に置いて
その子を客観的に見る必要があります。


自分が子どもに呼ばれて、
子どもと関わっている間も
もしくは、家事や自分のことをしながらでも

少し引いた目で、自分の思いを置いておいて
客観的に子どもを見ようとするだけで
少し違う事柄が見えてきます。



質問者様のご質問の中から抜粋させていただくと

・お母さんから調理活動に誘われた
・「エプロンつける!」(と着けた)
・キャベツとしめじをちぎった
・調理したキャベツとしめじを食べた
(その前まではあまり食べなかった)
・次の日も調理に誘われた
・「しない」と返した

あたりが、子どもの客観的事実です。


その間の

・はりきってエプロンを着けた(ように見えた)
・私的には助かったし、楽しかった
・苦手な食材も食べてくれて、台所育児いいかも!
・(次の日誘っても断られ)面白くなかったのか

というのは、すべて質問者様の主観になります。


上記の客観的データから、
環境を整える=別の活動を探すフェーズにうつるのですが
このデータだけだと少し足りないかもしれません。


・キャベツとしめじをちぎる手の動き、
 その時の表情、
 活動を続けた時間
・次の日に誘ったときの表情、
 その前に子どもがしていたこと


などの客観的事実がさらに必要になってきます。


それらの客観的データから

・昨日の活動にはもう満足したのかも
→活動内容を変えて誘う

・誘ったときにしていたことが楽しかったから
「しない」と言われたのかも
→タイミングを変えて誘う

・誘った内容が魅力的ではなかったのかも
→活動内容を変える

・「する?」と聞いたから「しない」と返したのかも
(イヤイヤ期あるある)
→「キャベツとしめじ、どっちをちぎる?」と誘い文句を変える



などと考察し、試行錯誤を繰り返す
というのを、私たちモンテッソーリ教師は
毎日繰り返しています。


言い方は大げさかもしれませんが

100試行錯誤して、
1つでも夢中になるものが見つかればラッキー!
10の試行錯誤で見つかったらもっとラッキー!!

くらいの気持ちでいます。



様々なことに興味がある
(その分、移り気も激しい)
タイプのお子さんもいれば、 

1つのことばかり繰り返す
(その分、他のことに興味は移りにくい)
タイプのお子さんもいます。


でもどちらのタイプにせよ
「その子が何に集中するかは
 その子の中に答えがある」
という基本的な考え方は変わりません。


そして、一度ハマった活動をどのくらい繰り返すのか
その活動にどのくらい深く集中するのか
ということも、その子の中にしか答えがありません。


それを見つけるには
「これをしてほしい」「ハマってほしい」
という大人側の思いも含めた主観を
いったん脇に置いておく客観的観察が
やっぱり大切なのです。



ここまでのまとめ:

子どもが集中できる活動を見つけるには
まず客観的観察が必要。
そのためには大人の
「集中してほしい」という思いも含め
主観を一度、横に置くこと。



で、これだけだと(充分長いのに)
質問者様のご質問のお答えの一部にしかならないので
次の記事で、大人の接し方を含めた環境の整え方について書きます。
(できれば今年中に…いやまたぐかな…)


その前に取り急ぎ!

大人が子どもの遊びや活動につきあえない、時間をさけないということに
罪悪感を持ち過ぎないでください。

お子さんから呼ばれたら
「お母さん今ご飯作ってるから行けないんだ〜」
とサラリと流して大丈夫です!

お子さんが、自分のしたいことがあるように
親御さんも今自分のしたいことがある
ということを日々の生活から学んでいくのも、
お子さんにとって必要なことです。

親御さんが「今はできない」と言ったときに
どのような反応をするかということも含めて
少し引いた目で観察してみて下さい。


なるべく早く次の記事書きます〜(答えの半分もかけてなくて私がもどかしいので)

Q. 子どもがこちらの動き方を見てくれません 0-3歳の場合

<ご質問>
【2歳8か月 女の子 動作の見せ方がうまくいきません】

服を着る際に、ボタン留めを「自分でやる!」と挑戦するのですが
はじめに、私がゆ~っくりお手本を見せても、本人は全く見ていません。

本に載っていた、ボタンをはめるとおにぎりの形になるものを
練習用に作ってみましたが、
それには興味なく、実際の衣服でやりたがります。

服のボタンも大きめですが、なかなかうまくできません。

本では「ゆっくりみせるとじっと見てくれる」とありましたが
うちの子の場合、全く見ないので
他の子はどうなんだろう?
私の見せ方が違うのかな?
と疑問に感じています。

半年程前にハンカチをたたむ時も同様でお手本は見ないで、
自分のやりたいようにぐちゃっとたたんでおわりました。
(今は裏表は逆の時もありますが、前よりは少し上手にたたみます)


*******************************


<お答え>

0-3歳の子どもに動きを見せる際のキーワードは

「一緒に」「コラボレーション」

です。


0-3歳の子どもにとっては、3歳以降の子どものように
「動きをじっと見る」「見て自分の番を待つ」のはむずかしい
というのが、実際の姿です。

もっと具体的に言えば、

見ていられない
待てない
早く自分がやりたい
でもいざやってみるとできない!キー!!!

というのは、0-3歳のお子さんには本当によくあることです。

なので、その点から言いますと、
質問者様のお子さんだけが見ることができないのではなく
ごく自然な、当たり前の姿と言えます。

(多くのモンテッソーリ本に書かれていることは3歳-6歳のお子さんに当てはまることが多く、
もし0-3歳の本で「ゆっくりして見せれば、じっと見る」と書かれているのであれば
とても残念なことですが現場体験不足もしくは机上の空論だと思わざるを得ません)


そして、質問者様のお子さんに関してもう少しつっこんで言えば
このお子さんは
「自分でやりたい」意欲が強く表に出るタイプの子だということが
ご質問の文脈全体から伝わってきます。


ここで、さきほどの
「一緒にやる」「コラボレーション」
というキーワードが活きてきます。


例えばお洋服のボタンの留めはずしがしたいのであれば

まずは子どもにやらせてみる(やりたい子なので)
→大人は子どもが試行錯誤する姿を見守りつつ、どの動作が難しいのかを分析する
→子どもが「できない!」と大人の方を見てきたら
 そこで「手伝っていい?」とたずねるor「『手伝って』って言うんだよ」と伝える
→OKならできない部分をそっと手伝う
(例:ボタンホールにボタンを通すところだけ見せて、半分通ったボタンを引っ張るのは子どもがする)
→NGならまた見守る

という細かい繰り返しを経て、
最終的に「(一緒に)できた!」
となればOKです。

子どもの「自分で!」を見守りつつ
何がどう難しいのかを分析して
どこに手を貸せばできそうかを考えながら手伝う

というのを心がけていると
最初はうまくいかなくても
だんだんコツがつかめるようになってきます。



ハンカチを畳むのとは違い
ボタンの留めはずしは、できたかできてないかが
子どもにもよくわかる作業工程で
「できた!」=小さな成功体験のひとつとなります。



少し話が逸れますが、
どんなに小さな子どもでも
【本物】が好きです。
そして【目的のある活動】が好きです。

ボタン留めに関していえば
ボタンで留めるおもちゃより
(作られたお母さまの愛情と努力には敬意を示します。無駄ではないです絶対に)
【本物】の洋服を選ぶということ、
そしてボタンを留めて、着替えを自分でするという【目的のある活動】。
これもごく、自然な姿です。


質問者様のお子さんは自ら
本物を使った、目的のある活動を
自分で成し遂げる
という自然からの宿題に取り組んでいる真っ最中
です。


より、ボタン留めをしやすくするには
お子さん本人が着ているものよりも
服を平らに置いた状態で
もしくは別の人が着ているものを対面で
練習するといいかもしれません。


作業工程がよりよく見えるので
自分の指の動きと、ボタン、ボタンホールの関係が
よくわかるからです。


例えばお母さんが、大きめのボタンがついた服を着て
それをお子さんに留めてもらう

なんてすると、少しお手伝いの要素も加わり
【自分のしたことが、人のためになった!】
という貢献感も得られる
かもしれません。


長くなりましたが、
今回のご質問に対する一番のキーワードは
【0-3歳の子どもには「して見せる」より「共同作業」を目指す】
です。

また何かありましたら、ご質問ご意見お待ちしております^^

質問募集のコーナー

0-3コースを受けてからというもの、
書きたいことは山のようにあるのに
情報が脳の中で渋滞していて、何からどう書いていいのか
これを書こうと思ったら、その前にこっちを書かなきゃ
あ、でもそれを書くならこっちも
え、でもこっちも大事じゃない?
わーどうしよう何から書こうわーーーーーーーーーーー

と混乱して、結局何も書けない(=更新がない)状態になっております。
それだけ大事なことがてんこもりってことなんですが。。。


なので!
皆様から質問を頂けたら
それにお答えする形で、ブログが書けるんじゃないかと思い
ここで募集させて頂きます。

超・他力本願ですが
何も書かないよりはいいかな~なんて。
何度も言いますが、書くことがないんじゃなくて、
ありすぎて渋滞している状態なので(汗


おかげさまで
今の職場でも、週1の親子モンテッソーリクラスを持たせて頂いており
そこで様々な質問をうけますが

コースで習ったことと
今まで見てきた子どもたちの姿や
目の前にいるお子さんの姿がほぼ一致するので
(それってほんとにすごいことだと思うのです)

様々な質問に対して
質問下さった方が、納得でき、かつ希望が持てるようなお答えができるように
今、少しずつなってきています。
(まだまだ勉強中なのは言うまでもないですが)


質問した方が納得したり、安心したり
「やってみます」と前向きになったりする
その姿を見て

モンテッソーリってやっぱり素敵だな~
すきだな~
と再認識している次第です。


そのような形で
ここでもやっていけたらいいなぁと思っております。


質問を募集するにあたりまして
いくつかお願いがあります。

①質問は、この記事のコメント欄にご記入ください。

コメントは承認制になっておりますので
(私がビビりのため、、、
ですが、今まで嫌なことを書きこまれたことは1回もなく、本当にありがたいです)

基本的に非公開のままで、
質問の内容がわかるように別記事でお答えさせて頂きます。


②質問の中に、【お子様の月齢】を入れて下さい。

あくまでも目安ではありますが、大切な情報です。
今どういう時期なのか
この先どのように発達が進むか、
それに伴ってどのような環境が必要になってくるか
今必要なことは何か、逆に不要なものは何か
など、この月齢の情報があるだけで
多岐にわたってお答えできるようになります。




あとは~・・・なんかあるかな。

ま、とりあえず、お試しでやってみて
全然質問が来なかったり
うまくいかなかったりしたら
また考えるということで!w

ざっくばらんな感じですが、
よろしくお願い致します。

トイレトレーニング その後の経過

え〜と、前回の記事がもうほぼ2ヶ月前、、、


何か時空が歪んでない???



園児たちのトイレトレーニングのその後の様子をお伝えします。


1歳台でパンツにし始めたお子さん
→順調に進んでます。
漏らすことも多々ありますが
「パンツかえる〜♪」と着替えもトイレも楽しそうです。
用がないのに30分おきにトイレに座りに来る子もいます(笑)
でも出なくても、ちゃんと服を脱いでトイレに座り、何かを出そうと力んでます。
とにかく「楽しそう」の一言に尽きます。こちらも楽しいです。


2歳半すぎから始めたお子さん
→難しいです。
まずトイレに行きたがらない。
パンツではなくオムツを選んで履く。(4歳半の子もいます)
そのオムツがどんなにパンパンでも行きたがらない子も、、、

オムツに出なくなってはいる=溜められるようになってはいるので

「よ〜し、トイレまで、飛んでっちゃうぞ〜♪」

と抱っこしてムリヤリ楽しく連れていき、何とか座らせると、そこでじょ〜〜〜〜〜っと出る。

出たら「出たね〜気持ちいいね〜先生も嬉しい
♪」と伝えると、まんざらでもない顔をします。

でも次行くときにはもう
「いやだ、行かない」
「パンツはかない、オムツがいい」
に戻り、、、

正直、このご機嫌取りが、やや疲れます(苦笑)


トイレに行くのが楽しい時期に始めたら、こんなご機嫌取りいらないのにな〜
と感じつつ
まぁしょうがないか!ご家庭の事情もいろいろあるし!
と自分に言い聞かせながらやっています。


あるご家庭では、
トイレに行ったらシール、出たらもう1枚、
という、目に見えるご褒美でトイレトレーニングしているようです。


でも本来、排泄の自立を求めている時期があって
その時期に始めてしまえば、そういう外発的報酬は必要ない。

というのを、30分おきに笑顔でトイレに来る子を見ていると感じてしまいます。



やっぱり、1歳台〜2歳半が旬の時期だな〜


と改めて強く感じています。



だからといって、2歳半過ぎに始めた子やその親御さんに、変なプレッシャーや負担感を感じさせないように、努めて楽しく!というのはすごく意識しています。


いつか、取れるから。

だって人は、どの年齢でも、自立に向かう生き物だから。

その時期を楽しみに、頑張ろう〜♪

0,1,2歳のプレ幼稚園的施設

って需要ないのかなぁ~~~


というのが、最近ぼんやり思うことです。


今の日本のシステムだと

①長時間預かる(しかも落選することもある)保育園
②3歳になるまで家で過ごしてor
教育熱心なおうちはプレ幼児教室的なところに週1から通って
3歳以降、幼稚園に入る

という2択が主なんですけど


その間をとった
0,1,2歳の幼稚園的な施設があったらいいのになぁ
っていうかそういうのやりたいけど、どうやるんだろう

ということを漠然と考えています。


3歳以上は幼稚園にも入れるし、
保育園も0,1,2歳に比べて空きも出てくるけど
一番子育てが大変そう&わけわからなさそうな最初の3年間、
保育園に入れる必要はないご家庭のお子さんも
幼稚園みたいに日中通えるところがあったら
少しの時間でも手が離れて、親御さんの負担も減らせるし
子育て支援モンテッソーリエッセンスも
お子さんの成長に合わせて伝えていけるんじゃないかな~~なんて。

国際モンテッソーリコースでも
0,1,2歳児クラスは、本来は日中の4,5時間預かって活動するのが理想で
長時間預かるのは、大人側のニーズであるというようなことを言っていたので
(だからこそ長時間預かる場合は、保育者が子どもに寄り添うケアが必要とも)


そしてこういう施設にいくらまでなら出したいと思うんだろう…国や自治体の補助金もおりないだろうし経営的にやっていけるのか…いややっていける料金設定をすればいいのか…でもそのモニタリングってどうやって…


みたいな悶々としたものをここに書き出してみましたw


ベビーシッターとか、訪問モンテッソーリ教室みたいなやり方でもいいんですけどね、
モンテッソーリエッセンスを伝えていく目的だけならば。


でも大人が子どもに1対1で関わるよりも
子どもたち同士で育ちあう力の方が大きいことを
今までの保育経験で強く感じていて、無視できないので
小集団生活体験ができる0,1,2歳のプレ幼稚園を作りたいな~
という思いが、今ここになって出てきました。


意思表示すればなんか動くかもしれないという
受け身なのか前のめりなのかわからない本日の記事。w

トイレトレーニングにも敏感期があるんじゃないか説

あ~~~~~もうまた空いてしまったすみません


食事の話より先に、トイレの話をします。
いわゆるトイレトレーニングってやつです。


モンテッソーリではトイレラーニングと呼んでいますが
これはトレーニング=訓練=外部からの強制 ではなく
ラーニング=自分で自発的に学ぶ という意味合いを強調したいから。

ですが、
トイレラーニングという言葉が現在の日本では一般的ではなく、
トイレトレーニングの方が伝わりやすいであろうという判断から
この記事ではあえてトレーニングの方を使います。

(っていうかぶっちゃけ呼び方とかどうでもいいんだ
意味合いさえ理解してれば と思ってる雑な人です)


で、トイレトレーニング、オムツが外れるのにも
敏感期というか、旬の時期があるよなぁ
と日々の生活の中で実感しているわけですが
子どもたちを観察した結果

1歳半~2歳半、遅くても3歳前

頃ではないか
という結論に私の中では達しております。


その理由を述べる前に
そもそもトイレで排泄ができる=排泄の自立とは
身体と心が具体的にどういう状態なのか
というのを説明しないことには
その理由すら理解できないかもしれないので

少し長くなるかもしれませんが
少しずつでもいいので
興味ある方はお読みくださいませ。


逆に、
「いや~そう言われても、現実無理だし」
とこの時点で負担に感じてしまうなら
無理に読まないでください。

あくまでも私の目で見た事実と
0-3コースで教わった知識を統合して
知りたい方に伝えたいというだけで
親御さんの負担を増やすことは本意ではないからです。




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トイレで排泄するための身体の条件は:

①括約筋が髄鞘化していること

括約筋とは、尿道・肛門の栓となる筋肉です。
髄鞘化とは(超ざっくりな説明ですが)自分で筋肉をコントロールできるようになること。
髄鞘化を説明すると(したいけど)それだけで一記事になる。しかも長文。

おしっこやうんちの栓となる筋肉を
自分の意志で閉めたり開けたりできるようになる
ということです。


これができるようになるのが、
お座りができるようになる頃。
だいたい8~9ヶ月頃でしょうか(個人差あります)

座れるようになる、ということは
頭から腰~おしりのあたりまでの筋肉が全て髄鞘化されているということ。
なのでこの括約筋も髄鞘化されています。


これに加えて


②膀胱におしっこが溜められるようになる

これは外部からはわかりにくい身体の発達ではあるのですが
保育園で1時間おきにトイレに誘っていると
「あ、出てないね」
ということが増えてきます。



①と②のコンボで

普段は括約筋を閉めていて
トイレにすわったときに括約筋を緩めて
膀胱に溜めていたおしっこを出す

というのが排泄の自立です。



で、最初からそんなスムーズにいくわけがないので

パンツが濡れたことを感じたら着替える
定期的にトイレに座ってみる
トイレでおしっこができたら一緒に喜ぶ

を繰り返して、
最終的に子どもが自分でトイレに行くようになるのが
トイレトレーニングのプロセスです。



じゃあ8ヶ月ころからパンツにすればいいじゃない!

と思った方。
そうなんです。ほんとはそれが理想です。


じゃあなんで、1歳半頃過ぎでもいいと感じているのか。


それは、

③歩けるようになる&立ち座りがスムーズになる
→「自分でトイレに行って座る」ことがよりスムーズにできるようになる

という子ども側の身体の理由と

洗濯の負担が少しでも減るようにという大人側の理由とからです。


(ここで急に大人の都合か~い

と思うかもしれませんが、
実際トイレトレーニングを始めたら、
洗濯の量も回数も激増するので
親御さんの負担半端ないのも事実です。

そして早くから始めたとしても
2歳ころまではかかるな、というのも実感としてあります。

だからおむつ卒業までの時期をできるだけ短くしたい。
分かってもらえるかなこの思い…怒られるかな…特にモンテッソーリ関係者にw)

話を子どもの身体に戻して、
8ヶ月だとまだハイハイです。
立ち座りもスムーズではないので、おまるに座るだけでも大人の手が必要になります。

でも1歳半頃にはもう、
自分で歩いてトイレに行き、おまるに座ることができるようになっています。



さらに心理的な理由として
生まれてから2歳半~3歳頃までは
無意識的な吸収の時期なので
自然と周りの人と同じことをしたがり、真似します。

トイレも、大人と一緒に入ろうとしたり
おまるに座ってみようとしたりします。
パンツをはくのも、めっちゃよろこびます。
「おにいさんパンツ!」などと言っては
笑顔ではいています。


そして無意識の時期なので
おもらしで服が濡れることを嫌がりません。

「あ、」
という感じでちょろちょろ漏らしても

「おしっこ出たね。お洋服濡れたね。着換えようね」

と声をかけると、何のためらいもなくすんなり来てくれます。
目の前で起こった事実をすんなり受け入れられるのが、無意識的吸収期。



これが2歳半~3歳過ぎるとどうなるか。


・自尊心が強くなる→今さらパンツでおもらしとか超嫌がる→自らオムツを選ぶ


0-3歳が無意識の時期なのに対して、
3-6歳は意識的な時期です。
その移行期が2歳半~3歳ころになります。

この時期は、自尊心が急に芽生えてきて、とても強くなります。
プライドや羞恥心も、急に強くなります。

この時期からトイレトレーニングを始めると
おもらししたときの反応が1歳半とは異なります。
「気持ち悪い」「恥ずかしい」「着替えるのめんどくさい」
そして自分の意志で「トイレに行かない、オムツをはく」ことを選ぶようになります。


また、この頃になると
膀胱に溜められるおしっこの量が増えるため
おもらしも盛大になってきます。
それでよけい、嫌になってしまう子どもも(大人も)います。

1歳半頃だと
おもらしの量も可愛いものなので
大人の心理的負担も、そこまでではありません。


自らオムツを選ぶ理由はほかにもあって


・オムツを身体の一部と感じてしまっている


おしゃぶりもそうなんですけど、
生まれてから3歳までずっと身につけている物を
自分の体の一部だと、脳が錯覚することがあります。

だからここでオムツをパンツに変えられると
身体の一部をもぎとられたような不安を感じる子どももいます。

こうなると、3歳過ぎても4歳近くになっても
オムツを選びがちになります。

身体の方は、もうとっくに準備ができているのに
(膀胱におしっこを溜められて、括約筋が髄鞘化されてるという準備です)

心理的には、身体の自立と逆行することになるので
その子の身体と心がアンバランスになり、
見た目にはパンツを嫌がるという行動になりやすいのです。


さらには

・オムツならずっとトイレに行かなくていい→遊びが中断されない
ことが何となく分かってくるのも2歳半~3歳頃から。

最近のオムツは性能がいいですよね。漏れない、蒸れない、臭わないの3拍子で。
オムツがどれだけパンパンでも、気にならずに平気で遊んでいられます。

これも、身体の自立と心理面が逆行しており
総合的に見ると、人格形成がアンバランスになりやすいのです。

(そして冷静に考えれば清潔面ヤバいです。。。
おしっこをぶらさげて過ごしてるんだから、いくら蒸れなくても菌は超増殖中)


他には

冬(寒くて厚着の時期)より、
春~夏~秋(薄着で過ごせる時期)に始めた方がスムーズ

というのもあります。

単純に着替えが楽、洗濯も早く乾く、という理由です。
寒いと子どもも着替えが億劫になる上に、
厚着なので実際の着替えも薄着の時期に比べて大変になります。


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今まで触れたことを総合して
マイベスト・オブ・トイレトレーニング開始時期は

1歳半~2歳半/3歳の、春~夏にかけて

ということになりました。


実際、この夏にトイレトレーニングを始めた子どもたちは
2歳前の子どもも含め、この2ヶ月でトイレでおしっこできるようになっています。


そしてその子たちの、
トイレ以外の面での自立度も上がっています。


トイレが自立すると
他の面でも自立するのは何故なんだろう…




というわけで、
夏が終わってこの記事を書き上げたあたり
自分でもなんてタイミングが悪い!と感じていますが

今もトイレラーニング中の子どもたちはいるので
その経過もまたお伝えできればと思います。



<補足>
3歳過ぎてからパンツにしたお子さんも、今までたくさん見てきました。
そして数ヶ月でオムツが取れているのも事実です。
なので、敏感期終わっちゃったよ!と嘆かないで頂ければ幸いです。
何度も言いますが、親御さんを責めたり、親御さんの心理的負担を増やすことは本意ではありません。

それでもお伝えしたいのは
排泄の自立を身体が望んでいるときに
タイミングよく自立することができると
排泄以外の部分でも急激に自立する、
この効果を無視できないからです。

そしてトータルでかかるおむつ代を考えても、
なかなかバカにならないのも事実です。

ただ、トイレトレーニングを始めたら
漏らしても怒らない、増える洗濯を覚悟する
等の大人の心づもりも大きいので

本当に納得して、「よしやろう!」という気になったら
始めて頂けると幸いです。